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個別化リキッドバイオプシーで再発乳がんを早期発見

MITブロード研究所のガーストナーがん診断センターおよびダナファーバーがん研究所の研究者らは、リキッドバイオプシー(血液生検)の感度を高めて個々の患者から採取した血液サンプルから何百もの異なるがん変異を検出できることを実証し、それにより、従来の検査で可能な診断時期より何年も前にがんの再発を予見し、治療の決定に重要な情報が得られる可能性を示した。本研究は、米国がん学会(AACR)の機関紙であるClinical Cancer Research誌に掲載されている。

新たな研究では乳がん患者から採取した血液サンプルを用いてこの手法を検証した。乳がんは、たいてい初回治療から数年後に再発し、再発すると致命的となる。既存の診断方法は、患者の初回治療が病気を消し去ったか、または後に危険をもたらす腫瘍細胞が残存しているかを判断するための感度がまだ十分ではない。そのため、がんが二度目に発見された時には、多くの場合で手遅れになる。

患者の血液からがんを遺伝的に追跡する血液生検は、標準的な経過観察で発見されるよりも以前に、転移がんに対して早期の注意喚起をもたらす可能性がある。

研究チームは、患者の腫瘍のDNA配列に基づき、個々の患者にカスタマイズした血液生検を設計した。その後、後ろ向き解析によって、過去13年間に診断、治療、再発モニタリングを受けた乳がん患者から採取した血液サンプル中の腫瘍DNAを調べた。また、転移再発と診断される平均18カ月前、最大3年前に患者から採取された血液サンプルから腫瘍DNAを検出した。

「個々のがん患者に特化した、数多くの変異を検出する個別の手法を用いることによって、初期の計画治療を完了した患者のがん遺伝子の痕跡の検出感度を大幅に高めることができた」と、研究の責任著者であり、ブロード研究所ガーストナーセンターの研究副所長でもあるViktor Adalsteinsson氏は述べた。「さらに、その感度によって、われわれは通常の検査で再発と診断される数カ月前に採取した血液サンプルから、残存がんを特定することができた」。

「われわれの目標は、転移するであろう患者を、転移しない患者へと変えられるようにすることである」と、共同筆頭著者であり、ダナファーバーがん研究所の腫瘍内科医およびブロード研究所準研究員でもあるHeather Parsons氏は述べ、「将来、われわれが残存するがんを十分早期に発見することができれば、患者が追加治療により利益を得られ、効果的な追加治療を実施できるかを判断し、疾患の経過を変えられる可能性がある」と、続けた。

カスタム血液生検

高感度で個別化された血液生検の開発において、患者ごとに遺伝子変異をまとめた大きな「指紋」を見つけ出すために、患者の腫瘍生検から得た全エクソームDNA配列を使用した。研究チームは患者の血液サンプルから最大で数百種類におよぶ異なるがん関連変異を追跡することができ、血中のごく少量のがんDNAを検出する可能性を向上させた。

この検査を使用し、調査研究のためにデータを提供し治療を受けた142人の早期乳がん患者から採取した血液サンプルを検証した。こられの患者は、初回の計画治療が完了した術後約12カ月間を含む、治療中および観察期間中のさまざまな時点で血液サンプルを提供した。その後、最大で13年間まで患者のがんの再発の有無を観察した。

6人の患者では、術後1年で採取した血液サンプルの血液生検によってがんの徴候が確認された。これらの患者はすべて、血液サンプルの採取後、平均18カ月後、最大3年後に転移再発と診断された。他の26人の患者では、術後1年の血液サンプルの検査結果が陰性であったが、再発が認められた。これらの患者のがんは、平均して10年程度経過した、より長い期間で再発する傾向があった。残りの患者集団には再発の記録はなかった。

研究者らは、患者の腫瘍生検によって血液で検出対象となる多数の変異のデータが得られ、再発が3年以内に起きている場合に、術後1年の血液サンプルを用いて再発を予測できる可能性がより高いことを発見した。より多くの年数が経過して再発した患者の場合、術後1年の血液中に存在するがんDNAは低すぎて検出できないレベルなのだと、研究チームは考えている。

ゆくゆくは、患者ごとにより多くの情報を収集し、血液生検の感度を高めるために、腫瘍生検の全エクソームシーケンスではなく全ゲノムシーケンスを行う予定である。また、長期間にわたってより頻繁に患者から血液サンプルを採取し、血液から検出可能な残存腫瘍のある患者に対してリアルタイムに介入することで、意味のある臨床効果が得られるかどうかを検討する機会を模索している。

「われわれは、これらの患者を可能な限り多く捉えるために、現在の技術をさらに改善するべく取り組んでいる」と、Adalsteinsson氏は述べた。「初回治療の後に血中に残存腫瘍が検出されることは、将来の再発の強力な予測因子であった。本研究は後ろ向き研究であったが、血液生検が臨床医にリアルタイムでこの早期に再発の注意喚起を提供できれば、患者の転帰を変える機会となるかもしれない」。

「本研究は、どの患者にがん再発のリスクがあるかを予測するために必要な感度を、カスタマイズした血液生検検査が持ち合わせているという重要な証明になる」と、共同著者で、ガーストナーがん診断センター所長およびダナファーバーがん研究所教員のTodd Golub氏は述べた。「われわれの構想は、将来、このような検査を用いて、患者と主治医が再発を防ぐために追加治療が必要か否かの判断をする際の手助けをすることである」。

「われわれは、今回の結果が患者ケアを本当に変えることができる、検証可能な結果であることを確認するために懸命に取り組んでいる」と、Parsons氏は付け加えた。「患者がこの技術をできる限り早く必要としていることは理解しています」。

本研究の共同筆頭著者は以下のとおりである。Heather A. Parsons(DFCI, Broad Institute), Justin Rhoades(Broad Institute), Sarah C. Reed(Broad Institute).

本研究は以下の団体から支援を受けている。the Gerstner Family Foundation, the NBTII Foundation, The Bridge Project, The Terri Brodeur Breast Cancer Foundation, the Friends of Dana-Farber, the Cheryl Tessler Solit Foundation, Breast Cancer Research Foundation, National Comprehensive Cancer Network/Pfizer Collaborative Grant Program, Fashion Footwear Association of New York, National Cancer Institute Specialized Program of Research Excellence in Breast Cancer (NCI P50CA168504).

翻訳沼田理

監修下村明彦(乳腺・腫瘍内科/国立がん研究センター中央病院)

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