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FDAがタイケルブ(ラパチニブ)を進行した乳癌患者に承認

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FOR IMMEDIATE RELEASE:2007年3月13日
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本日、米国食品医薬品局(FDA)が、新しい標的抗癌剤であるタイケルブ[Tykerb](ラパチニブ[lapatinib])を承認した。同剤はカペシタビン(ゼローダ)との併用で用いられる予定であり、HER2陽性の進行性/転移性乳癌(HER2タンパク質を発現している腫瘍)患者を対象としている。この併用治療が適応となるのは、他の抗癌剤(アントラサイクリン、タキサン、トラスツズマブ(ハーセプチン))を用いた治療歴のある女性である。米国癌協会によると、毎年約180,000名が乳癌の新規診断を受けている。また、毎年約8,000~10,000名の女性がHER2陽性転移性乳癌で死亡している。

新規分子成分であるタイケルブは、複数の経路(標的)を介して作用するキナーゼ阻害剤であり、腫瘍細胞が成長するのに必要なシグナルを阻害する。例えば、モノクローナル抗体であるトラスツズマブはタンパク質の大分子であり、細胞表面のHER2タンパク質の一部を標的とするが、小分子であるタイケルブは細胞内に侵入し、HER2タンパク質や他のタンパク質の機能を阻害する。このような作用機序の相異のため、トラスツズマブ治療を行っても効果がなかったHER2陽性乳癌に対し、タイケルブが作用する場合もある。

 

FDAの医薬品評価研究センター(CDER)局長であるSteven Galson(M.D., M.P.H.)氏は「現在利用できる最も有効な乳癌療法での治療後に癌が進行した患者に対する新治療が可能となるという点で、本日の承認は1つの前進である。タイケルブのような新標的薬によって、患者の選択肢が多くなる」と述べている。

 

タイケルブの承認は、HER2陽性の進行性/転移性乳癌を有する女性約400名を対象としたランダム化臨床試験に基づいている。同試験において、半数の患者はタイケルブ+カペシタビン投与を受け、残り半数の患者はカペシタビン単剤投与を受けた。カペシタビン単剤投与群と比較して、タイケルブ+カペシタビン投与群では腫瘍進行期間において統計学的に有意な改善が認められた。さらに、腫瘍の寛解率は、タイケルブ+カペシタビン投与群で高くなった(24%対14%)。ただし、生存率データは、現在のところ十分ではない。

 

タイケルブ関連の副作用で最も高頻度に報告されたのは、下痢、悪心、嘔吐、皮疹、手足症候群(しびれ感、ピリピリ感、発赤、腫脹、手足の不快感)であった。少数の患者において、心機能の低下(呼吸困難の原因となり得る)が報告されたが、概して可逆的なものであった。副作用や薬物相互作用の可能性、また心臓や肝臓の問題などの他の医学的状況について、患者は医師と話し合うべきである。タイケルブは250 mg錠剤であり、1回1,250 mgを21日間1日1回経口投与し、1サイクル21日間のうち1~14日の間はカペシタビンと併用投与する。

 

同薬は、ノースカロライナ州のResearch Triangle Parkにあるグラクソスミスクライン社が販売している。

 

(斉藤芳子 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

 

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