進行肺がんにおいてペムブロリズマブはドセタキセルよりも長期に生存を改善する

ペムブロリズマブは治療歴のある進行非小細胞肺がん患者の全生存期間を有意に延長する

治療歴のある進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するペムブロリズマブ投与は、ドセタキセル投与よりも有意に長い全生存期間(OS)を示したと、スイスのジュネーブで行われた2018年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)免疫腫瘍学会議(Immuno-Oncology Congress)において報告された。米国ニューヘイブンのイェール大学医学大学院腫瘍内科のRoy S. Herbst氏は、国際共同非盲検第2/3相KEYNOTE-010試験(NCT01905657)の長期の結果を発表した。

KEYNOTE-010試験では、治療歴のある進行非小細胞肺がんを有し、PD-L1発現陽性腫瘍細胞の割合(TPS)が≧1%である成人患者を登録し、疾患の進行または忍容できない毒性が発現するまで、3週ごとに最大35サイクルでペムブロリズマブを10mg/kg投与する群と2mg/kg投与群、またはドセタキセル75mg/m2を3週ごとに現地のガイドラインによる最大数のサイクルで投与する群へと1:1:1で無作為に割り付けた。RECIST v1.1に基づいた独立中央審査委員会による奏効評価を9週ごとに行い、生存を治療後2カ月ごとに評価した。主要解析ではペムブロリズマブの用量による差異はみられなかったため、今回の解析では用量はプールされた。

この試験についての過去の報告によると、PD-L1発現レベルが高値および低値(PD-L1のTPS≧50%および≧1%として定義)の患者のサブグループでは、フォローアップ中央値13.1カ月での全生存期間はドセタキセルよりもペムブロリズマブによって改善されていた。

2018年ESMO免疫腫瘍学会議で、Herbst医師は、フォローアップ中央値43カ月での試験全体における最新の全生存期間および安全性の結果と、35サイクルまたはおよそ2年のペムブロリズマブ投与を完了した患者および2コース目にペムブロリズマブ療法を受けた患者についての長期の結果を報告した。

35サイクル(2年間)のペムブロリズマブ投与を完了した患者は、奏効率と全生存率が極めて高かった

フォローアップ中央値42.6カ月(範囲、35.2~53.2カ月)の後、患者1033人からなる全集団の全生存期間は、ドセタキセル群よりもペムブロリズマブ群で改善がみられた。

ペムブロリズマブ投与群のPD-L1のTPS≧50%の患者では、ドセタキセル投与群よりも有意に長い全生存期間が示された。全生存期間の中央値はペムブロリズマブで16.9カ月(95%信頼区間[CI], 12.3–21.4)に対し、ドセタキセルで8.2カ月(95% CI 6.4–9.8)であった(ハザード比[HR] 0.53; 95% CI 0.42–0.66; p < 0.00001)。このコホートでは、36カ月での全生存率はそれぞれ35%対13%であった。

同様に、TPS≧1%の患者の全生存期間についても、ペムブロリズマブ群がドセタキセル群よりも長かった(HR 0.69; 95% CI, 0.60–0.80; p < 0.00001)。

35サイクルまたは2年間のペムブロリズマブの投与は、患者690人中79人に対して行われた。これらの患者の36カ月での全生存率は99%であった。これらの患者の95%は最良奏効としての完全奏効または部分奏効に達し、48人(64%)は持続的奏効を示した。奏効持続期間の中央値に達していない(範囲、4~46+カ月)。

35サイクルまたは2年間のペムブロリズマブ投与を完了した患者のうち、72人(91%)の患者が生存していた。試験担当医師によると、疾患の進行は25人(32%)の患者にみられた。14人の患者が2コース目にペムブロリズマブを投与され、そのうち5人の患者が17サイクルを完了した。この群のうち、11人(79%)の患者が生存し、そのうち6人(43%)の患者が部分奏効、5人(36%)の患者は安定を示した。

安全性プロファイルは主要解析で報告されたものと同様であった。グレード3から5の治療関連の有害事象(TRAE)の発生率は、ドセタキセル投与群の37%と比較して、ペムブロリズマブ投与群では16%であった。

2年間のペムブロリズマブ療法により、持続的奏効と長期にわたる疾患管理が可能となる。

結論
43カ月の追跡期間では、治療歴のあるPD-L1発現陽性進行非小細胞肺がん患者に対して、ペムブロリズマブはドセタキセルよりも全生存期間を延長し続けた。安全性は長期的に管理可能であることも証明された。35サイクルのペムブロリズマブ投与を完了した患者の大半は、持続的奏効を示した。

試験担当医師により疾患が進行したと判定され、2コース目にペムブロリズマブを投与された患者の大部分は生存しており、部分奏効または安定のいずれかを示した。

参考文献:LBA4 – Herbst RS, Garon EB, Kim D-W, et al. Long-term follow-up in the KEYNOTE-010 study of pembrolizumab (pembro) for advanced NSCLC, including in patients (pts) who completed 2 years of pembro and pts who received a second course of pembro.

翻訳担当者 串間貴絵

監修 川上正敬(肺癌・分子生物学/米国国立がん研究所)

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