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医療ニュース:事実と虚偽を見分ける8つのポイント

がん関連のニュース記事を見るとがんの予防、検査、治療に関する最近の「飛躍的進歩」といった文言をいたるところで見かけます。でも、今あなたが読んでいるその情報はどれほど正確なのでしょうか?また、掲載されている研究があなたにとって重要であるのかを判断するにはどうすればよいのでしょうか?

がんを患っているか否かにかかわらず、ニュースをもとに治療計画や健康習慣を変更する前にいくつかのポイントについて慎重に検討する必要があります。以下に挙げる8つの問いが事実と虚構を見分けるのに役立つポイントとなるでしょう。

1. 誰がそのニュースを発信しているか? 多くの大手報道機関には、研究を分析し、それをすでに発表されているニュースとの関連の中で正しく理解することのできる経験豊富な医療分野担当レポーターがいます。また、政府機関や非営利団体がスポンサーとなっているウェブサイトは正確な情報を伝える優良な媒体です。病院、大学、がんセンターからの研究報告は質が高いと考えられる一方、プレスリリースの場合、時として結果が誇張されていることがあります。

2. そのニュースが調査研究に基づいているのであれば、その研究は最初にどこで発表されたか? Journal of Clinical Oncology誌(ASCO機関誌)、Journal of the National Cancer Institute誌、Science誌・・など一流の医学雑誌に発表されている研究を探すとよいでしょう。これらの雑誌の掲載記事は、研究結果が正確で、用いられた研究方法が承認されたものであることを確認するための専門家による厳正な審査過程を経ています。(*サイト注:他に、New England Journal of Medicine誌、Journal of the American Medical Association誌、British Medical Journal誌など多数)

3. そのニュースは研究分野全体に言及しているか、それともひとつの研究のみに関するものなのか? ひとつの研究のみを伝えるニュースの場合、新たな治療法や知見にかかるリスク、有益性、起こり得る長期的影響について十分に述べられていない場合が多くあります。忘れてならないのは、標準治療に変更を加えるに足るエビデンスが得られるには、長年にわたる共同研究が必要であるということです。一つの研究が強い印象を与える場合はあります。しかし良質なニュースとなると、より広範な研究をも踏まえた内容となるはずです。

4. 述べられているのはどのような研究か? 調査研究には、新たな治療法に関するもの、副作用に関するもの、予防に関するものなどさまざまな種類があります。新たな治療法に関する研究であれば、どの段階(相)の研究なのかが示されるべきです。またそれを伝えるニュースには何人の人が研究の対象となったのかが示されるべきです。このような情報を手掛かりとして、その研究結果が偶然得られたものなのか、あるいは実際に多くの人々でにあてはめられる(応用できる)ものなのかを推測することができるでしょう。

5. どのような治療の結果(転帰)が伝えられているか? だれもが知りたいのは、当該治療法に延命効果が有るか無いかというその研究の総合的結果です。これはしばしば統計学的手法で算出される生存率で示されます。実際の生存率データが得られるまでには長い年月を要するため、代替的な手法が用いられることもあります。確かに奏効率、無病生存期間、統計学的有意性などの統計学的情報は有用です。とはいえ、必ずしも医学的に重要な差を反映しているとは限りません。

6. どのようなリスク情報が伝えられているか? がんの調査研究では、任意の人にがんが発生する可能性または再発する可能性がリスクとして報告されます。また、リスクには相対リスクと絶対リスクの2種類があります。相対リスクは、特定のリスク因子を有する集団が、有さない集団と比較して、負うリスクの程度を示します。他方、絶対リスクは、ある特定の期間内に、その個人が疾患を発症する確率を示します。ほとんどの調査研究では相対リスクに焦点があてられますが、絶対リスクの方が実際のリスクをより明解に示しています。

7. そのニュースは「飛躍的進歩」や「奇跡の治療」に関するものではないか? 派手な謳い文句を信用してはいけません。医学研究は小さなステップを積み重ねつつ進展するのであり、一気に進展するものではないのです。飛躍的進歩はまれであり、促成の治療法は滅多にありません。その記事には治療法の有益性とリスクの両方が述べられているかを必ず確認してください。たいていの場合、副作用やマイナス面が伴うものです。副作用やマイナスの面は期待される有益性との関連の中で示されていることが大切です。

8. あなたの担当医療チームはどのように考えているか? あなたの現在の病態を知っているのはあなた自身と担当の医療チームだけです。関心のある医療ニュースがあれば、そのニュースとあなたやあなたの治療との関連性について主治医に相談しましょう。

翻訳八木佐和子

監修吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

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