FDAが再発または難治性の白血病(CLL、SLL)にデュベリシブを承認

2018年9月24日、米国食品医薬品局は、再発または難治性の慢性リンパ球性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)で2種類以上の治療施行後の成人患者を対象として、duvelisib[デュベリシブ](商品名:COPIKTRA、Verastem,Inc社)を承認した。

Duvelisibは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)で全身療法を2回以上実施した成人患者に対する迅速承認も受けている。

CLLとSLLに対する今回の適応は、再発または難治性CLLまたはSLL患者を対象として実施されたduvelisibとオファツムマブを比較するランダム化多施設非盲検試験(NCT02004522)に基づくものである。今回の試験では、患者を1対1の割合でduvelisib 25mg1日2回経口投与群またはオファツムマブ投与群のいずれかに無作為に割り付けた。オファツムマブ300mgを静脈内投与し、1週間後に同剤2000mgを週1回、7回投与した後、4週間ごとに2000mgを4回追加投与した。

2種類以上の前治療を受けた患者196人(duvelisib群95人、オファツムマブ群101人に無作為化)について、独立審査委員会(IRC)が評価した無増悪生存期間の推定中央値は、duvelisib群が16.4カ月、オファツムマブ群が9.1カ月であった(ハザード比0.40、標準誤差0.2)。IRCが評価した全奏効率は、duvelisib群が78%、オファツムマブ群が39%であった(39%差、標準誤差6.5%)。

濾胞性リンパ腫(FL)の適応は、リツキシマブが奏効せず、化学療法または放射線免疫療法のいずれかに抵抗性の患者83人を対象にduvelisibの投与を検討した多施設共同単群試験(NCT02204982)に基づくものである。IRCの評価による全奏効率は42%(95% CI:31~54)で、患者の41%に部分奏効が認められ、1人は完全奏効であった。治療が奏効した患者35人のうち15人(43%)は6カ月以上奏効が継続し、6人(17%)は12カ月以上継続した。FL適応の継続的な承認は、計画されているランダム化試験で示される臨床的有用性の検証に左右される。

処方情報には、致死的または重篤な感染症、下痢または大腸炎、皮膚反応、肺炎に関する枠組み警告、好中球減少症、肝毒性に関する警告が含まれている。承認用量のduvelisibにより治療した血液悪性腫瘍患者442人のうち、65%に重篤な副作用が認められ、最も頻度が高かったものは感染、下痢または大腸炎、肺炎であった。最もよくみられた副作用(発現率20%以上)は、下痢または大腸炎、好中球減少症、発疹、疲労、発熱、咳、悪心、上気道感染、肺炎、筋骨格痛、貧血であった。副作用のため、患者の35%がduvelisibの投与を完全に中止し、24%は用量を減量した。

Duvelisibの推奨用量は、1サイクル28日で1日2回25mgを経口投与である。

Duvelisib(商品名:COPIKTRA)の全処方情報はこちらを参照。

FDAは本申請を優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム – 医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 久保優子

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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