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他の治療前に毎週のパクリタキセル(タキソール)投与は早期ステージ乳癌の転機を改善する

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他の治療前に毎週のパクリタキセル(タキソール)投与は早期ステージ乳癌の転機を改善する

Weekly Paclitaxel (Taxol) Before Any Other Treatment Improves Outcomes in Early-Stage Breast Cancer
(Posted: 09/12/2005)Journal of Clinical Oncology 2005年9月1日号によると、他の治療に先駆けて、パクリタキセル(タキソール)を毎週投与した浸潤性早期ステージ乳癌女性は、同薬剤の3週ごとの標準的投与に比べ奏効率が高かった。


要約
その他の治療を受ける前に治療薬パクリタキセル(タキソールR)の投与を1週間おきに受けた浸潤性早期乳癌の女性に、従来の3週間おきに受ける投与と比較して、高い奏効率が見られました。

出典  Journal of Clinical Oncology(オンライン版は2005年8月8日、書籍版は2005年9月1日)(ジャーナル要旨参照)

背景
従来の乳癌化学療法は通常3週間おきに投薬が行われていますが、近年、一部の医師達が、化学療法薬剤の投与頻度を増やす(例えば1週間おき、もしくは2週間おき)という「用量強化」投薬計画の研究を始めました。薬剤の投与量はそのままか、やや減量させます。癌細胞が薬剤にさらされる頻度が高ければ高いほど死滅する細胞がますます多くなり、その結果、化学療法の有効性が向上するという考えです。

最近の臨床試験では、転移乳癌(癌が体の他の部位に転移した)患者が1週間おきに治療薬パクリタキセル(タキソールR)投与を受けると、従来の3週間おきに受ける投与(関連の臨床試験を参照)と比較して、奏効率が高く、病気の進行がさらに遅延することが明らかになりました。別の臨床試験では、1週間おきにパクリタキセルを投与すると別の女性患者群(浸潤性初期乳癌患者)の結果を改善する可能性があることを示唆しています。

患者が新たに浸潤性乳癌と診断された際の標準治療は外科手術から始まり化学療法へと続きます。しかし、いわゆる術前化学療法または一次全身性化学療法を受ける浸潤性乳癌患者が増えつつあります。これは、薬剤療法を外科手術前の数週間に行う場合のことで、腫瘍を縮小し、除去されなければならない組織の量を減らす手助けを目的としています。

ここに記載する臨床試験の主要な目的は、外科手術の前にパクリタキセルを1週間おきに投与すると浸潤性早期乳癌の女性に有益かどうかをさらに調査することです。

試験
合計で浸潤性早期乳癌の女性480例が、今回1998年11月から2001年7月にかけて実施された第3相臨床試験に登録されました。そのうち、外科手術未経験の女性258例が、パクリタキセルを1週間おきに投与する群(131例)、従来の3週間おきに投与する群(127例)のいずれかに無作為に割り当てられました。1週間おきの投与群では、56例がリンパ節に癌があり(リンパ節転移陽性)、75例がリンパ節転移陰性でした。従来の比較対照群では、54例がリンパ節転移陽性で73例がリンパ節転移陰性でした。

1週間おきのパクリタキセル投与群は、さらに高用量投与群と低用量投与群に振り分けました。癌が既にリンパ節に転移した患者は高用量投与、リンパ節転移陰性の患者は低用量投与を受けました。高用量投与群の患者には、重篤な副作用が現われたため、臨床試験の途中で投与量を減らしてから引き続き投与を受けましたが、調整後の高用量投与の投与量はまだ低用量投与のほぼ2倍でした。

パクリタキセル終了後直ちに、患者全員が3週間おきに標準治療であるフルオロウラシル+ドキソルビシン+シクロホスファミド(FAC)の投与を4サイクル受けました。

臨床試験に登録された残りの222例が術後療法を受けました。すなわち、患者たちは外科手術など別の一次治療を受けた後パクリタキセルの投与を受けました。この患者たちの臨床試験結果は別の報告に掲載されます。

本臨床試験の責任医師は、テキサス州ヒューストンのUniversity of Texas、M.D. Anderson Cancer CenterのMarjorie C. Green医師です。

結果
1週間おきというパクリタキセルの投与計画は、乳房およびリンパ節に見られる浸潤性乳癌の兆候全てを根絶させる可能性を有意に改善します。パクリタキセルおよびFAC終了後、浸潤性の癌細胞が消失したのは、1週間おきの投与群の患者が28.2%に対し、3週間おきのパクリタキセル投与群の患者は15.7%でした。

今回の試験結果は、統計学的に有意で、リンパ節転移陽性、陰性に関係なく見られました。奏効率において、1週間おきのパクリタキセル投与サブグループの高用量投与群と低用量投与群に有意な差はありませんでした。

1週おきのパクリタキセル投与群の患者に、神経系の副作用がより多くみられましたが、血球数低下の事例は比較少なく見られました。

コメント
「パクリタキセルの投与計画を変更すると乳房およびリンパ節の浸潤性乳癌を根絶する能力が有意に改善することが分かりました。」とGreen医師および臨床試験を実施した他の医師達は締めくくりました。付随の論説で、ニューヨークのMemorial Sloan-Kettering Cancer CenterのAndrew D. Seidman医師は、「(今回の臨床試験と別の臨床試験を)一緒にしたことは、早期癌の治療でパクリタキセル投与の間隔を短くすることに有望な見通しがあることを示唆している。」と記述しています。

米国国立癌研究所のCenter for Cancer Researchの腫瘍内科医であるJennifer Eng-Wong医師M.P.H は、「今回の臨床試験は、パクリタキセルの投与間隔を調査する(その他)多くの臨床試験を支持し、化学療法の時期が重要だという増えつつある証拠をもたらします。投与間隔が短ければ短いほど、乳癌の転移性および術後療法にとってますます有効になります。」と述べています。

制限事項
臨床試験は、早期乳癌の治療で1週間おきのパクリタキセル投与の良好な見通しを示しているけれども、投与間隔を短くする投与計画が全生存率に影響を与えるという情報は提供していないと、Eng-Wong医師は語りました。

また、1週間おきにパクリタキセルを投与するための理想的な投与量はまた設定されておらず、ここで用いた高用量投与の毒性により実用性が制限されますが。「(低)用量のパクリタキセルの投与量を増加させたり、減少させたりすることで、よりすぐれた結果をもたらすかとうかを明らかにする必要がある」と、臨床試験を実施した医師達は述べました。

(ポメラニアン 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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