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局所進行頭頸部がんに対する現在の各治療戦略および化学療法選択肢の比較

シスプラチンを用いた化学放射線併用療法が標準治療であると、ネットワークメタ分析で明らかに

Oral Oncology誌で最近発表された論文で、イタリア、ローマにあるIRCCS(科学的入院医療施設)レジナ・エレナ国立がん研究所耳鼻咽喉科・頭頸部外科のOreste Iocca氏のチームが、局所進行頭頸部がんに対する全身療法および放射線療法に関して入手可能なエビデンスをまとめ上げた。この分析により,頭頸部がんにおける治療上のいくつかの問題点について道筋がつけられた。

 

進行頭頸部がんに対するさまざまな治療法を対象とし、直接的あるいは間接的であるかを問わず、徹底的に調査分析したものが、この研究成果である。これらの研究の主たる知見から、シスプラチンを用いた化学放射線併用療法が標準治療であることが明らかになった。また、この解析は同時化学放射線療法が実施可能な場合、放射線分割法は問題とならないことも明らかにした。これらの結果を局所進行頭頸部がん患者に限定して解析したのは今回が初めてである。

 

研究背景として、著者らは局所進行頭頸部がんの治療には未解決の問題が数多くあると説明している。多くの化学療法剤および放射線照射分割法が選択可能であるが、すべてが直接比較臨床試験で評価されているわけではない。同著者らは、局所進行頭頸部がんに対して利用可能な治療方針と化学療法選択肢を比較することを目的として、系統的レビューとベイズネットワークメタ解析を行った。

 

研究チームは、2000年1月1日から2017年12月1日までに行われた既発表および未発表のランダム化試験の文献データベース、試験記録および議事録の検索を行った。これら試験は、局所進行非転移性頭頸部がんに対する全身療法および放射線療法のアプローチを比較していることが要件であった。

 

手術が第一の治療選択肢であった患者を対象とした試験、サンプルサイズが治療群あたり20未満であった試験、治療群割り付けを無作為で行わなかった試験は、解析から除外した。

 

定義済みのデータベースシートで該当試験から、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および毒性結果(グレード3~4の粘膜炎および好中球減少)の要約推定値を抽出した。偏りはコクラン・バイアスリスク評価ツールを用いて評価した。変量効果モデルを使用したペアワイズメタ解析一式を行うとともに、ベイズフレームワーク下で変量効果モデルを使用したネットワークメタ解析を行った。

 

患者15,723人を含む解析対象試験57件から、OSに関しては26種類の治療法、PFSに関しては22種類の治療法、毒性に関しては10種類の治療法の解析を行うことができた。

 

全生存(OS)に関する結果としては、シスプラチンを用いた同時化学放射線療法(CCRT)(ハザード比HR 0.70)と、セツキシマブを用いた同時化学放射線療法(ハザード比0.7)は、従来の放射線療法(RT)単独より明らかに優れている。同時化学放射線療法前に実施するシスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法(ハザード比HR 0.74)、およびドセタキセル+シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法(ハザード比 0.55)、ならびにパクリタキセル+シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法(ハザード比 0.55)はいずれも、従来の放射線療法よりも優れている。シスプラチンを用いた同時化学放射線療法は、非通常分割照射による放射線療法と比べても優れている(ハザード比 0.74)。 非通常分割照射は、従来の放射線療法より優れているとは言えない(ハザード比0.95)。

 

無増悪生存(PFS)に関しては、シスプラチンを用いた同時化学放射線療法(ハザード比0.72)、シスプラチン+フルオロウラシル(ハザード比0.67)、カルボプラチン(ハザード比0.63)、カルボプラチン+フルオロウラシル(ハザード比0.75)、シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法(ハザード比0.59)、またドセタキセル+シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法(ハザード比0.53)、ならびにパクリタキセル+シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法(ハザード比0.59)は、従来の放射線療法および非通常分割照射よりも優れている。ドセタキセル+シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法は、シスプラチンを用いた同時化学放射線療法に対して有意に優れている(HR 0.73)。非通常分割照射は、従来の放射線療法より優れているとは言えない(HR 0.91)。

 

非通常分割照射法では従来の放射線療法と比較して、グレード3~4の粘膜炎が発症するリスクが増加した(オッズ比3.74)。

シスプラチンを用いた同時化学放射線療法は今もなお標準治療であると、著者らは結論づけた。タキサンベースの導入化学療法レジメンは、局所進行頭頸部がんに影響を与える可能性がある。非通常分割照射は同時化学放射線療法よりも劣る上、従来の分割照射RT単独よりも有意に優れているとは思われない。locca医学博士のチームによると、局所進行頭頸部がんにおけるその役割は再評価しなければならないとのことである。

 

参考文献:

Iocca O, Farcomeni A, Di Rocco A, et al. Locally advanced squamous cell carcinoma of the head and neck: A systematic review and Bayesian network meta-analysis of the currently available treatment options. Oral Oncology 2018; 80:40–51. https://doi.org/10.1016/j.oraloncology.2018.03.001

翻訳有田香名美

監修松本 恒(放射線診断/仙台星陵クリニック)

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