胃癌、食道癌の術前、術後の化学療法は生存期間を改善する | 海外がん医療情報リファレンス

胃癌、食道癌の術前、術後の化学療法は生存期間を改善する

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胃癌、食道癌の術前、術後の化学療法は生存期間を改善する

Chemotherapy Before and After Surgery Improves Survival in Stomach and Esophageal Cancer
(http://cancer.gov/clinicaltrials/results/perioperative-chemo0505)
(Posted: 05/14/2005) 2005年ASCOでの発表によると、切除可能な胃癌、下部食道癌患者において、術前と術後に化学療法を受けた患者は手術のみの患者に比べ、顕著に生存期間を延長した。


キーワード  胃癌、食道癌、化学療法

要約
胃と食道下部の手術可能な癌患者では、手術前および手術後の両方に化学療法を行ったほうが、手術単独の患者よりも、有意に生存期間が長くなります。

出典米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会、フロリダ州オーランドで2005年5月14日に発表

背景
2005年に、胃癌もしくは食道癌と診断されるアメリカ人は36,000人、またこの二つの癌による死者は25,000人に上ると考えられています。この二つの癌も、他の多くの癌同様、発見が初期であるほど、完治する可能性は大きくなります。しかしながら、胃癌・食道癌では発見が後期になることがほとんどです。全体での5年生存率は、胃癌で23%、食道癌で13%です。

胃癌と食道癌に対する治療の柱は手術です。今回の臨床試験では、ECF療法と呼ばれているエピルビシン、シスプラチン、5-FUの3剤併用を、手術の前後に投与した場合(このような化学療法を ” perioperative chemotherapy(周術化学療法)” といいます)に、患者の生存期間が延長するかを明らかにすることを目的としています。ちなみに、手術不能な進行胃癌および下部食道癌患者では、上述のECF療法は臨床上の有用性を示しています。

またアメリカでは、手術単独よりも生存期間が延長したという、2001年に発表された胃および胃と食道の接合部の腺癌患者に対する臨床試験の結果に基づき、術後に放射線と化学療法を併用する場合もあります。

臨床試験

503名の手術可能な胃癌および下部食道の腺癌患者を対象に、手術のみを行う群と、手術前後にECF療法を行う群に無作為に割付をしました。臨床試験はイギリスで行われ、試験チームは、サットンにあるRoyal Marsden病院のDavid Cunningham医師が主導しました。この試験の予備解析結果は2003年の米国臨床腫瘍学会総会で発表されています。

結果
診断から5年後の生存率は、ECF療法を受けた患者では36%、手術単独の患者では23%でした。さらに、癌が憎悪した患者の割合についても、ECF療法を受けた患者の方が手術単独よりも小さいという結果が出ています(ECF療法群70% 対 手術単独群83%)

コメント
Cunningham医師は「この結果は、胃癌および下部食道癌における周術化学療法が、患者の延命に寄与するということを示したはじめてのものです。この治療法は、手術可能な胃癌および下部食道癌患者に対する標準療法の一つとして考慮されるべきです。」とコメントしています。

それに対し、ボストンのDana-Farber Cancer InstituteのRobert J. Mayer医師は、「進行胃癌において、最もよい治療効果を示すのはシスプラチンと5-FUにドセタキセルかエピルビシンを併用したレジメンです。」と米国臨床腫瘍学会総会においてこの発表がなされた時にコメントしています。

Mayer医師はさらに、「この臨床試験の結果は、『周術化学療法』の概念を立証するものであることは確かです。しかしながら、進行胃癌に対して、化学療法単独では、別の選択肢よりも優れているということを示すには至っていないのが現状です。」と付け加えています。

(こばやし 訳・島村義樹(薬学) 監修)

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