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遺伝子変異が多いほど、免疫チェックポイント阻害薬の奏効率が上がる

「遺伝子変異」量により、免疫チェックポイント阻害薬に奏効するがん種が予測可能に

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  • この研究は、さまざまながん種に関して遺伝子変異量が免疫チェックポイント阻害剤の奏効結果にどれほど大きな影響を及ぼすかを明らかにした。
  • 腫瘍に含まれる遺伝子変異量は、免疫チェックポイント阻害剤として知られる種類のがん免疫療法薬が奏効するかどうか予測するのに役立つ。

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「遺伝子変異負荷」、つまり腫瘍に存在する遺伝子変異の量によって免疫チェックポイント阻害剤として知られるがん免疫療法薬の一種が奏効するかをある程度予測できるとジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターの研究者主導による新しい研究で明らかになった。New England Journal of Medicine誌12月21日版に掲載されたこの知見は、今後実施されるこれらの薬剤の臨床試験の指針になるかもしれない。

 

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞から身を隠すために用いるメカニズムを妨害する働きを持ち、免疫系にがんを認識させることによって、免疫が感染と闘うのと同じようにがんと闘わせることができるという比較的新しい種類の薬である。これらの薬は、進行性メラノーマ(悪性黒色腫)や肺がんなど、これまで予後不良だったがん種の治療において顕著な成功を収めている。しかしながら、これらの治療は、膵臓がんや膠芽腫をはじめとする他の致命的ながん種にはほとんど効果がなかった。

 

特定のがんが他のがんよりも免疫チェックポイント阻害薬に奏効する理由として、これまでの研究でがんの遺伝子変異量が指摘されていると、研究リーダーでチーフ・メディカルオンコロジー・フェローのMark Yarchoan医師は述べている。ジョンズホプキンス大学腫瘍学准教授であるDung Le医師および同ブルームバーグ・キンメルがん免疫療法研究所の研究者らによる研究で、遺伝子変異の量が多い大腸がんは、そうでない場合に比べて、チェックポイント阻害薬に奏効しやすいことが明らかになっている。しかし、さまざまながん種について、免疫チェックポイント阻害薬の奏効結果に遺伝子変異量がどのくらい大きな影響を及ぼすかは不明であった。

 

この疑問を調査するためにYarchoan医師やその同僚のAlexander Hopkins医学博士・リサーチフェローおよびElizabeth Jaffee医師(Skip Viragh Center for Pancras Cancer Clinical Research and Patient Careの副部長およびブルームバーグ・キンメルがん免疫療法研究所の副所長)は、チェックポイント阻害剤を用いたさまざまながん種に関する臨床試験の結果に関する医学文献をくまなく捜した。そしてこれらの結果を、さまざまながん種の患者から採取した何千もの腫瘍検体の遺伝子変異量に関するデータと組み合わせた。

 

研究者らは、上記両方のデータが入手可能であった27のがん種を分析したところ、がん種の遺伝子変異量が高いほどチェックポイント阻害薬が奏効しやすいという強い相関関係があることを発見した。免疫チェックポイント阻害薬への奏効度合いの違いの半分以上は、遺伝子変異量で説明できた。

 

「遺伝子変異が多いがん種は、そうでない場合にくらべて治療しやすいという案は普通には信じがたいことです。一見間違えているように聞こえるでしょう」とHopkins医師は言う。「しかし、免疫療法では、遺伝子変異量が多いほど免疫系ががんを認識しやすくなります」。

 

この発見は、彼らが研究した大多数のがん種に当てはまったものの、いくつかの異常値が出たとYarchoan医師は述べた。例えば、とても進行の速い希少皮膚がんであるメルケル細胞がんは遺伝子変異量がそれほど多くないものの、チェックポイント阻害薬が極めて良好に奏効する。しかし、このがん種はウィルスが原因になっていることが多く、このことにより、がんの遺伝子変異量が低いにもかかわらず強い免疫反応が引き起こされるようだ、と同医師は説明する。対照的に、最も一般的なタイプの大腸がんは、中程度の遺伝子変異量を有しているがチェックポイント阻害薬にはほとんど奏効せず、その理由はまだわかっていない。

 

Yarchoan医師は、これらの知見を活用して、新たながん種にチェックポイント阻害剤を用いる方向で臨床試験を組み立てるのに役立つ可能性があると述べている。また今後は、遺伝子変異量の低いがんを遺伝子変異量の高いがんと同じように機能させる方法を見つけることで、当該治療法に良好に奏効させることを焦点とした研究が行われるかもしれない。

 

同医師らは、個々の患者のがんがこの種類の免疫療法薬に奏効するかどうかを突き止めるために遺伝子変異量が予測因子となりうるかを調査する方向でこの研究の範囲を広げる予定である。

 

「最終目標は高精度医療です。つまり、大人数の患者にとっての真実の発見を超えて、個々の患者の治療にどうこの情報を役立てることができるか、ということです」。

 

Yarchoan医師はNorman&Ruth Rales財団とConquer Cancer Foundationから資金提供を受けている。

 

Aduro Biotech社とのライセンス契約により、Jaffee医師は今後ロイヤルティを受け取る可能性がある。

翻訳関口 百合

監修前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

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