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腋窩リンパ節郭清は若年乳がん患者の上肢可動域を減少させる

【サンアントニオ乳がんシンポジウム2017】

2017年12月5日から9日まで開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されたデータによると、腋窩リンパ節郭清を受けた若年乳がん患者は、センチネルリンパ節生検を受けた患者よりも、上肢の腫脹や上肢可動域が減少する可能性がある。

 

「乳がんは40歳未満の女性において最も一般的ながんですが、若年乳がん患者における臨床試験では過小評価されることがしばしばあります」と同研究筆頭著者であるAnne Kuijer博士(Dana-Farber Cancer Institute / Brigham and Women’s Hospitalの博士研究員、オランダDiakonessen Hospital Utrechtの外科研修医)は述べた。「結果として、若年患者では、最適治療法や、上肢の腫脹や可動域の減少などの併存疾患についてはほとんど知られていません」。

 

「これらの問題は、がん治療後の長い人生、活動的であることが多いライフスタイルや身体イメージの重要性を考慮すると、これらの患者にとって特に重要です」とKuijer氏は付け加えた。

 

多くの乳がん患者は、乳がんが近くのリンパ節に拡がっているかどうかを判断するために腋窩手術を受ける。伝統的に、リンパ節関与のある女性は、より広範な腋窩リンパ節郭清(ALND)を受けている。近年、研究により、低侵襲性のセンチネルリンパ節生検(SLNB)法は、診断時に結節の関与がないかまたは限られている特定の乳がん患者にとって安全であることが示されている。

 

Kuijer氏らは、腋窩リンパ節郭清(ALND)またはセンチネルリンパ節生検(SLNB)に伴う上肢罹患率を評価するために、Young Women’s Breast Cancer Study(若年女性乳がん研究)に登録された40歳以下の1,302人の女性からのリポートを調べた。同研究は多施設前向きコホート研究であり、若年乳がん患者の生物学的、医学的そして心理社会的問題を探究する目的で設立された。登録女性の55%がセンチネルリンパ節生検のみを受けており、41%が腋窩リンパ節郭清を受けていた。残りの4%の患者では、腋窩手術は行われなかった。

 

Kuijer氏らは、Cancer Rehabilitation Evaluation System(CARES-SF)の基準を用いて、診断後1年目に患者の報告した上肢の腫れや可動域の減少を調べた。全体として、13%の女性が上肢の腫脹を報告し、40%の女性が乳房の腫瘍と同側の上肢の可動域減少を報告した。

 

乳房温存手術を受けた患者の診断後1年目の上肢腫脹の発生率は、センチネルリンパ節生検を受けた患者では6%、腋窩リンパ節郭清を受けた患者では24%であった。片側または両側乳房切除術を受けた患者において、センチネルリンパ節生検または腋窩リンパ節郭清を受けた患者の上肢腫脹の発生率はそれぞれ6%と23%であった。

 

Kuijer氏は、診断後1年目の同側上肢の可動域減少の自己報告の割合が高いことに驚いていると述べた。 センチネルリンパ節生検または腋窩リンパ節郭清と組み合わせた乳房温存手術を受けた患者ではそれぞれ32%と36%、センチネルリンパ節生検または腋窩リンパ節郭清で片側または両側乳房切除術を受けた患者ではそれぞれ28%と44%であった。

 

Kuijer氏は、若年乳がん患者に適切な場合は、腋窩治療を段階的に縮小することの重要性を強調し、保存手術でさえも長期的な影響が あることを本研究が示していると述べた。 「女性には手術に関するあらゆる選択肢と期待される成果について、医師に聞いてみるよう促すべきです」とKuijer氏は語った。

 

Kuijer氏は、ある一定の患者因子が上肢の罹患率の大きなリスクと関連していると指摘した。診断時に太りすぎであることは、上肢が腫れ、可動域が狭くなるリスクが高い。 「これは、診断時に患者がすぐどうこうするわけにはいきませんが、活動的で健康的なライフスタイルがすべてに重要であることを強調しています」と述べた。

 

経済状態もまた影響を与える。経済的にゆとりがあると答えた女性は、上肢の腫れを起こす割合が低かった。 「これは、乳がん治療を受けている若年患者に対する十分な社会的支援と財源の確保の重要性を強調しています」とKuijer氏は付け加えた。

 

Kuijer氏は、この研究コホートには、いくつかの北東部最大のがんセンターで治療を受けた女性が含まれていたと指摘した。この研究参加者は、一般住民と比べて社会経済的地位が高く、より活動的な生活を送っていた可能性がある。そうであれば、一般集団における上肢の罹患率はさらに高くなる可能性がある。また、Kuijer氏は、本研究では上肢罹患率の客観的測定ではなく、患者の自己報告結果を用いたと述べた。

 

この研究は、国立衛生研究所、スーザン・G・コメン財団、ピンクアジェンダ、乳がん研究財団から資金提供を受けた。 Kuijer氏と彼女の同僚は、利益相反がないことを宣言している。

翻訳塔本容子

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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