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乳がん化学療法中のホルモン類似薬による卵巣機能抑制は妊孕性を保持する

【サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2017】

2017年12月5日から9日まで開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された研究によると、化学療法を受けている閉経前早期乳がん患者において、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ(GnRHa)による治療が安全かつ効果的に卵巣機能を保護し、妊孕性を温存するとの高いエビデンスが5つのランダム化臨床試験の個々の患者データを統合分析したメタ解析で認められた。

 

「化学療法中に性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ(GnRHa)を使用することによって得られる一時的な卵巣機能抑制は、閉経前乳がん患者の卵巣機能および妊孕性を温存する可能性のある医学的介入です。しかし、これまでのところ、この方法は議論の余地があり、米国臨床腫瘍学会(ASCO)と欧州臨床腫瘍学会(ESMO)では実験的な手法と位置づけられています」とベルギーのInstitut Jules Bordet(ブリュッセル)の腫瘍内科医およびESMO研究員であるMatteo Lambertini氏は述べた。

 

抗がん剤治療が早発卵巣不全(POI)とその後の不妊症をもたらす可能性は、乳がんと診断された若年女性に影響を与える懸念であり、治療法を決定する際に大きな不安と感情的な緊張が加わります、とLambertini医師は述べた。

 

化学療法中のGnRHa使用による一時的な卵巣機能抑制は、妊孕性温存目的よりも治療誘発性POIの発症を予防する目的として開発されました。したがって、いずれの臨床試験も追跡調査は非常に短く、治療後の妊娠についての報告はありません、とLambertini医師は述べた。さらに、この治療法の有効性を検討した他のランダム化臨床試験では相反する結果が示され、これらの試験の一部は患者数が非常に少ないため、個々の試験の結果に基づいて十分な結論を導き出すことは困難でした、とLambertini医師は語った。

 

Lambertini医師らは、妊孕性温存に関するより決定的な臨床的エビデンスを提供することを目的に、5つのランダム化臨床試験の個々の患者データのメタ解析を実施した。閉経前女性の早期乳がん患者は化学療法単独群(437人)または化学療法とGnRHaとの併用療法群(436人)にランダムに割り付けられた。

 

この研究では、GnRHa群と化学療法単独群(対照群)のPOI率はそれぞれ14.1%と30.9%であり、GnRHa群はPOIを発症するリスクが対照群に比べて62%低減した。治療効果は、すべての患者サブグループ間で同様であった。

 

GnRHa群では1年および2年間の無月経(月経停止)率はそれぞれ36.8%および18.2%であった。対照群の1年および2年間の無月経率は、それぞれ40.4%および30%であった。

 

「絶対数は依然として低いですが、GnRHa群における治療後妊娠数は、化学療法単独で治療した患者群と比較して倍増しました。これは、化学療法中のGnRHa使用が卵巣機能を維持するだけではなく、将来の妊孕性を改善する可能性があることを示唆しています」とLambertini医師は述べた。

 

治療後の追跡期間中に1回以上妊娠した患者は、GnRHa群で37人、対照群では20人であった。

 

2群間で無病生存率および全生存率に有意差は認められませんでした。すなわち、乳がん患者における化学療法中のGnRHa使用は安全だと考えられることを示唆するものです、とLambertini医師は述べた。

 

「われわれの研究は、エストロゲン受容体(ER)陰性患者だけではなく、若年女性に多いER陽性患者においても、化学療法中のGnRHa使用による一時的な卵巣機能抑制の有効性および安全性に関する重要なエビデンスとなりました」とLambertini医師は述べた。

 

「本研究は妊孕性温存について十分なエビデンスを示しています」と、Lambertini医師は語った。 「この結果は、GnRHa使用に関するASCOとESMOの国際ガイドラインを更新するための参考資料になるだろうと確信しています」。

 

今回解析された5つの臨床試験は、PROMISE-GIM6、POEMS / SWOG S0230、Angelo Celtic Group OPTION、GBG-37 ZORO、およびMoffitt Cancer Center-led trial であった。

 

Lambertini医師は本研究の限界として、この問題に関するすべてのランダム化臨床試験を含めることが困難であったこと、高感度バイオマーカーを用いた卵巣機能の温存状態に関するデータが不足していること、患者の挙児希望に関する情報が限られていることを挙げている。

 

この研究の一部は、イタリア癌研究協会によって資金提供された。Lambertini医師は本研究に関して開示すべき利益相反はない。

翻訳小熊未来

監修田原梨絵(乳腺科・乳腺腫瘍内科)

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