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慢性骨髄性白血病では持続奏効後にニロチニブを中止できる可能性

米国食品医薬品局(FDA)は本日、抗がん剤ニロチニブ(商品名:タシグナ)の添付文書を更新し、医療供給者に向けて一部の患者への投薬中止の方法に関する情報を付け加えた。

 

2007年にFDAによって初めて承認されたニロチニブは、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病(CML)患者の治療が適応とされている。今回更新された推奨投与方法では、ニロチニブを3年以上服用しており、FDAの販売承認を受けた検査薬により、特定の基準をもとに治療の奏効が明らかにされた早期(慢性期)CML患者はニロチニブの服用を中止できる可能性がある。

 

「一般的にCMLと診断された患者は、白血病の進行や再発を防ぐため、生涯にわたる治療に直面します」とFDA医薬品評価・研究センターの血液学・腫瘍製品室長代理兼、同局Oncology Center of Excellence室長のRichard Pazdur医師は述べる。「本日の承認により、治療に対する強い反応がみられる場合、一部の患者でニロチニブによる治療を完全に中止できる可能性が示されました。私たちは患者ケアにおけるこの進歩を歓迎する一方で、治療中止後も再発に備え患者が定期的に経過観察を受けねばならないことに注意しなければなりません」。

 

CMLは骨髄のがんであり、白血球が体内で過剰に産生される原因となる。CML患者のほぼすべてがフィラデルフィア染色体として知られる異常を有し、これはBCR-ABLと呼ばれるタンパク質を産生する。国立衛生研究所の国立がん研究所は、今年CMLと診断される患者は約8,950人であり、1,080人がCMLにより死亡すると推定している。ニロチニブは、異常な細胞増殖を促進するタンパク質であるBCR-ABLをブロックすることでCMLに作用するキナーゼ阻害剤である。FDAによる本日の承認により、添付文書には患者および医療供給者に向けた治療中止の必要条件に関する情報が追記されるとともに、治療を中止した場合も疾患の再発に備えて定期的な患者のモニタリングが必要であることが明記された。

 

ニロチニブの中止に関する情報は、Ph+慢性期CML患者を対象とした2つの単群試験に基づいている。これらの試験では、患者が白血病を再発することなくニロチニブの服用を中止できた期間(無治療寛解維持(TFR))を測定した。

 

2つの試験において、患者はニロチニブ投与中止前にがんが治療に対してどのように反応したかを示す厳しい基準を満たさなければならなかった。最初の試験では、新規にCMLと診断され、3年以上投与を受けた後に特定の基準を満たしてニロチニブを中止した190人の患者のうち、約1年後(48週間後)の時点で51.6%が、約2年後(96週間後)で48.9%がTFR期にあった。2つ目の試験では、抗がん剤をイマチニブからニロチニブへ切り替え、3年以上投与を受けた後にニロチニブを中止した126人の患者のうち、約1年後(48週間後)に57.9%が、約2年後(96週間後)に53.2%がTFR期にあった。

 

両試験における重要な点は、血液中のBCR-ABLタンパク質の発現量を示す特定の遺伝子(RNA)情報の定期的かつ頻繁なモニタリングが行われたことである。モニタリングでは、FDAの販売承認を受けた検査薬を使用した。再発の最初の徴候がこのモニタリングで明らかになるため、ニロチニブの投与を安全に中止するには、特定のRNA情報の減少を高精度で正確に検出できる検査薬を用いてモニタリングを行うことが不可欠である。

 

ニロチニブを中止した患者の一般的な副作用には、体の痛み、骨の痛み、四肢の痛みなどの筋骨格症状が含まれる。一部の患者では、長期の筋骨格症状がみられた。

 

ニロチニブ服用による一般的な副作用としては、悪心、発疹、頭痛、倦怠感、そう痒、嘔吐、下痢、咳嗽、便秘、関節痛、上気道炎(鼻咽頭炎)、発熱、寝汗、血小板の減少(血小板減少症)および特定の血液細胞の減少(骨髄抑制または血小板減少症、好中球減少症および貧血)がある。

 

ニロチニブ服用による重大な副作用としては、骨髄抑制、心臓または動脈の閉塞(心臓および動脈閉塞症)、膵臓の炎症および血中酵素の増加(膵炎および血清リパーゼ活性上昇)、重度の肝臓障害(肝毒性)、血中の電解質異常、代謝異常(腫瘍崩壊症候群)、重度の出血(大出血)、CYP3A4阻害薬との薬物相互作用、胃全摘出術(胃切除術)、体液貯留などがある。発育中の胎児または新生児に対して有害となる可能性があるため、妊娠中または授乳中の女性はニロチニブを服用してはならない。

 

ニロチニブ投与を中止した患者では、ニロチニブ投与でみられることの多い重度の副作用が少なかった。しかし、治療を中止または継続した患者の長期的な結果は現時点では不明である。

 

ニロチニブの添付文書には、医療従事者および患者に対し心拍異常(QT延長)および突然死のリスクについて警告する枠組み警告が記載されている。血中カリウム濃度の低下(低カリウム血症)、血中マグネシウム濃度の低下(低マグネシウム血症)、またはQT延長を有する患者はニロチニブを服用してはならない。ニロチニブを服用している患者で突然死が報告されている。また、枠組み警告ではQT間隔を延長する薬剤や強力なCYP3A4阻害薬をニロチニブとともに投与してはならないと明記している。患者は食前2時間または食後1時間はニロチニブを服用してはならない。

 

ニロチニブの添付文書の内容変更は優先審査の指定を受けた。優先審査制度とは、重篤な疾患の治療、診断、または予防において安全性と効率の著しい改善が見込まれる薬剤に対し、6カ月以内に審査を完了することを目的とする制度である。ニロチニブはオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定も受けている。希少疾病用医薬品指定とは、希少疾患の治療を目的とした医薬品の研究開発を支援し奨励するための優遇措置が得られる制度である。

 

FDAは、ノバルティスファーマ社に対しタシグナの添付文書変更を承認した。

 

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翻訳担当者高橋多恵

監修北尾章人(腫瘍・血液内科/神戸大学大学院医学研究科)

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