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Rocapuldencel-Tは、転移性腎細胞がんに有望な可能性

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Rocapuldencel-Tは、転移性腎細胞がんに有望な可能性

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) ESMO 2017

新たな個別化免疫療法薬rocapuldencel-Tの転移性腎細胞がんに対する長期的有用性が検証中

 

新たに診断された転移性腎細胞がん(mRCC)に対してrocapuldencel-T(ロカプルデンセル-T)+標準治療と、標準治療単独とを比較した試験で、有望な臨床的有用性が示された。この知見は、スペイン、マドリードで開催された欧州腫瘍学会年次総会2017(ESMO2017)で発表された。

 

さらに、全生存期間(OS)とrocapuldencel-Tに誘導される記憶T細胞の増加との間に、統計的に有意な関連があることが報告された。

 

これらの有望な長期データは第3相ADAPT試験によるもので、この試験は中止を勧告された後にも進行中である。2017年2月、ADAPT試験の独立モニタリング委員会(IDMC)は、計画されていた中間解析で、設定されていた290件のイベント(死亡)の75%に達したこと、また、rocapuldencel-T+標準治療群の全生存(OS)ハザード比が、3回目の中間解析用にあらかじめ定義していた無益性の境界0.98を上回ったことが示され、試験を中止するように勧告した。

 

治験依頼者は、試験の予備データについて米国食品医薬品局(FDA)と討議し、安全性プロファイル、成熟途中の生存データ、長期記憶免疫反応の誘導を含むrocapuldencel-Tの作用機序に基づきADAPT試験を継続するという結論がくだされた。Rocapuldencel-Tは、それぞれの患者の腫瘍から分離したRNAを用いた個別化免疫療法薬で、腫瘍特異抗原を伴った自家樹状細胞を活性化し、患者それぞれに特異的な腫瘍抗原を標的とする腫瘍特異的な記憶T細胞などの免疫反応を誘導する。

 

米国ロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ医療センター血液腫瘍科のRobert Figlin氏は、転移性腎細胞がんと新たに診断された患者に対するrocapuldencel-T+標準治療と標準治療単独とを比較したADAPT試験の結果を発表した。

 

この試験では、同時性転移を有する淡明細胞型の腎細胞がんで、腎摘出術が適応となる成人を募集した。ADAPT試験は進行中の第3相試験で、北アメリカ、ヨーロッパ、イスラエルの107カ所で実施されている。

 

計462人の患者を、rocapuldencel-Tの皮内注射0.2mLを3回+標準治療を行う群と、標準治療を単独で行う群とに、2:1の割合でランダムに割り付けた。

 

Rocapuldencel-T+標準治療は、転移性腎細胞がん患者において、有望な延命効果を示した

追跡期間中央値20カ月時点で、両治療群の患者の多くは依然生存していた。

 

ランダムに割り付けられた患者の最初の3分の1である154人のデータレビューでは、最長の追跡期間と最小の打ち切りデータ(44%)が含まれおり、併用治療群で、延命効果の可能性が認められた。

 

研究者らは、Rocapuldencel-Tを7回投与され、解析されたデータがある患者114人において、生存期間とrocapuldencel-Tに誘導された記憶T細胞(CD8+/CD28+/CD45RA-)増加との間に統計的に有意な関連性を認めた。

 

Rocapuldencel-Tの忍容性は良好で、安全性プロファイルは、第2相試験の結果と同等であった。

 

結論

この、忍容性良好な個別化免疫療法の長期的影響を評価するため、ADAPT試験は進行中である。今回明らかになった延命効果の可能性は、さらに評価していく価値がある。

 

ギリシャの国立カポディストリアコス・アテネ大学、第一医学科腫瘍内科Helen Gogas教授は、試験結果について、打ち切り症例は生存期間中央値と、第2相試験で示された“tail-of-the curve”効果(*監修者注:長期経過後の成績がよいこと。詳細下部参照)の可能性の両方に影響を与えた可能性がある、と意見を述べた。しかし同氏は、中間解析時に両群で参加者の50%以上が打ち切りとなったことから、この試験から良い結果が得られるかは疑わしいとしている。独立モニタリング委員会は無益性から、試験の中止を勧告した。そして同氏が知る限り、委員会の勧告が無益性を理由とする中止である時、良い結果が得られた試験はない。試験では、良い結果も悪い結果も得られる可能性がある。これは臨床研究である。それを受け入れなければならず、それが第3相ランダム化臨床試験を行う理由であると、同氏は指摘した。

(*監修者注:長期での試験成績を意味し、その長期成績が良い場合、long tail, tail plateauなどと表現されるカプラン・マイヤー生存曲線が水平に近い状態になること)

 

情報の開示

本試験は、アルゴス・セラピューティクス社から支援を受けた。

 

参考

1137O – Figlin R, et al. Interim Analysis of the Phase 3 ADAPT Trial Evaluating Rocapuldencel-T (AGS-003), an Individualized Immunotherapy for the Treatment of Newly-Diagnosed Patients with Metastatic Renal Cell Carcinoma (mRCC).

 

原文掲載日

翻訳平沢紗枝

監修野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部付属病院)

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