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レンバチニブが切除不能肝細胞がんの全生存でソラフェニブに対し非劣性

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レンバチニブが切除不能肝細胞がんの全生存でソラフェニブに対し非劣性

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

ベースラインでの血清VEGF、ANG2、FGF21低値は、有意ではないが両薬剤による好結果の傾向を示す

切除不能肝細胞がん(HCC)患者においてレンバチニブとソラフェニブとを比較し、両薬剤に対応する推定バイオマーカーを検出するために使われた第3相試験の全生存(OS)データと患者サンプルを用いて、より長い全生存と関連があるVEGF、FGFファミリーの遺伝子発現レベルが明らかになった。第3相試験データのバイオマーカー解析からのこれらの知見は欧州臨床腫瘍学会年次総会2017(ESMO 2017)(スペイン、マドリッド)で発表された。

 

米国カリフォルニア州サンタモニカのUCLA 医療センターGeffen医科大学血液・腫瘍学科Richard S. Finn氏と国際研究員チームは切除不能肝細胞がんの一次治療においてレンバチニブをソラフェニブと比較した患者において血清及び組織バイオマーカーの分析を行った。

 

レンバチニブはVEGF受容体1–3、FGF受容体1–4、 PDGF受容体α、RET、KITの 経口マルチキナーゼ阻害剤である。

 

非盲検第3相試験(NCT01761266)で切除不能肝細胞がん患者に対するレンバチニブ一次治療は、全生存に関してソラフェニブに対して非劣性が確認された。現在の標準治療であるソラフェニブの全生存中央値12.3カ月に対し、レンバチニブは13.6カ月であった(ハザード比 [HR], 0.92; 95% 信頼区間 [CI] 0.79, 1.06)。

 

本試験では一次治療で前治療歴のない患者954人をフロントライン治療としてレンバチニブ1日1回体重により8mgか 12mg投与する群(n = 478)、またはソラフェニブ1日2回400mg投与する群(n = 476)に1:1で無作為に割り付けた。本試験の主要評価項目は全生存であった。

 

保存腫瘍組織はベースラインで、血液サンプルは治療前と治療中特定時点に採取された。この研究の臨床データと患者サンプルを使用して、研究員はそれぞれの薬剤に有用な潜在的マーカーを割り出すため血清サンプルでバイオマーカー解析を行った。

 

バイオマーカーサブグループ解析セットは患者119人の保存組織サンプルと血清サンプルであった。研究員は患者114人の血清サンプルにおいて、ベースラインと時間の経過ごとにELISAプロトコールもしくは化学発光を用いてVEGF、ANG2、FGF21、FGF23、 PIVKA-IIの評価をした。患者119人のバイオマーカーセットのうち、58の組織サンプルが品質保証基準を満たした。

 

血清分析はレンバチニブ群の患者66人とソラフェニブ群の患者48人のサンプルで行われた。ベースライン時点での血清VEGF、ANG2、FGF21低値と両薬剤による好結果との間に、ある傾向がみられた。時間の経過と共にレンバチニブ療法、ソラフェニブ療法ともに血清VEGF値は上昇し、特にレンバチニブではより上昇した。ANG2、FGF19、FGF23値の調節はレンバチニブのみにみられた。FGF19とFGF23のデータに一致性はなかった。

 

バイオマーカー解析の結果には全生存と相関性があった

遺伝子発現解析はレンバチニブ投与患者34人、ソラフェニブ投与患者24人で行われた。3つの発現グループを特定する遺伝子36個に基づく血管新生増殖因子経路遺伝子発現データを使って、supervised clustering(教師ありクラスタリング)を行った。

 

全生存中央値は、レンバチニブ投与群患者のうちVEGFとFGFファミリー遺伝子発現レベルが高い患者でより長かったが、対照的にソラフェニブ投与患者群での全生存は、VEGFとFGFファミリー遺伝子発現レベルが低い患者でより長かった。
これらの結果は全体を通して比較的少ないサブセットサンプルに基づいているため、仮説生成型となる。

 

結論

研究員はこれらの結果は仮説生成型であり、検証が必要であると結論付けた。それでも、レンバチニブは切除不能肝細胞がん患者の全生存においてソラフェニブに対して非劣性を認められた。評価可能サンプルの患者サブセットにおいて、血清バイオマーカーと遺伝子発現レベルは生存転帰と相関性があるとみられた。

 

上記以外に、レンバチニブ療法後とソラフェニブ療法後のバイオマーカー値の変化は使用薬剤で異なることも判明した。

 

Humanitas Clinical and Research Center(イタリア、ミラノ、Rozzano)のHumanitas Cancer Center腫瘍内科ユニットLorenza Rimassa氏は試験結果を考察し、以下のように述べた。分子異質性、クローン進化による薬剤耐性、しばしば非対照研究によって行われることから、肝細胞がんのバイオマーカー解析は困難である。本研究は臨床転帰と相関性のある血液と腫瘍のバイオマーカーを特定するための事前に計画された試験的随意バイオマーカー解析であった。研究員は臨床的に有用なバイオマーカーを特定した功績を認められるべきである。患者が少数であったこととベースラインの結果が異なっていたことにより仮説生成型にしかならないと考えられる。バイオマーカーで定義されたサブグループでの有効性はレンバチニブを一次治療の新しい選択肢として支持するであろう(ソラフェニブに対して非劣性であった)。 

 

開示

本試験はエーザイ株式会社の資金提供を受けた。

 

参考文献

LBA30 – Finn RS他
Analysis of serum biomarkers (BM) in patients (pts) from a phase 3 study of lenvatinib (LEN) vs sorafenib (SOR) as first-line treatment for unresectable hepatocellular carcinoma (uHCC).

原文掲載日

翻訳松本千春

監修花岡秀樹(遺伝子解析/サーモフィッシャーサイエンティフィック)

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