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前立腺がん治療薬の評価に無転移生存期間が有効な可能性

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前立腺がん治療薬の評価に無転移生存期間が有効な可能性

ダナファーバーがん研究所

限局性前立腺がんに対する治療を受けたが再発リスクがある患者の、前立腺がんによる死亡を減らすことを目的とした新たな補助療法の試験を加速させる可能性がある「代用エンドポイント」(臨床試験における信頼性の高い統計上のショートカット)を検証した、と研究者らは説明している。

 

ダナファーバーがん研究所のChristopher Sweeney氏(MBBS)が主導する国際研究者チームは、無転移生存期間(MFS)(前立腺を越えてがんが転移するまでにかかる時間)を評価することが、補助療法の評価に通常用いられる基準である患者の全生存期間(OS)の強い予測因子になることを、Journal of Clinical Oncology誌8月号における報告で明らかにした。OSはMFSよりも評価に長い追跡期間が必要であり、評価項目としてMFSを用いることで、より短い期間でより多くの臨床試験を実施できる可能性があることが、解析で明らかになった。

 

Sweeney氏は、本試験を実施したIntermediate Clinical Endpoints of Cancer of the Prostate(ICECaP)Working Groupを代表する責任著者である。ICECaP Working Groupは、世界中の数十の機関の統計学者、腫瘍内科医、泌尿器科医、放射線腫瘍科医、医療経済学者を含む、50人以上の試験責任医師などで構成される。

 

補助療法は、放射線または手術による前立腺がんの初期治療の後に投与される薬剤である。最初の治療で生き延びたがん細胞を体から取り除くことを目的とし、前立腺がんから命を救う可能性がある。

 

前立腺がんは進行の遅いがんであるので、一般的に、評価項目としてOSを用いる臨床試験では、限局性前立腺がんに対する実験的な補助療法の評価に10~12年かかる。この分野の研究者らは、このような患者群に対して評価が行われている数々の新たな補助療法剤を用い、結果をより早く得て、効果的な薬剤をより早く利用可能にするための方法を模索している、とSweeney氏は述べた。

 

該当する患者は、がんが前立腺に限局しており、放射線または手術によって治療されたが、腫瘍のその他の病理学的特徴の悪性度により、再発リスクが中等度または高いと考えられる男性である。現在評価されている補助療法剤には、アルファラディン、エンザルタミド、アビラテロン、ドセタキセル、カバジタキセルおよびSipuleucel-T[シプリューセル-T]ワクチンがある。

 

研究者らは、28,905人の患者を対象とした28件の臨床試験のデータを解析した。

 

本解析により、MFSは、補助療法の評価における有力で信頼性の高い代用エンドポイントとしての機能を果たす可能性があることが明らかになった。研究者らは、統計的検証モデルを用いて、5年の時点で転移がなかった患者の割合は、治療後8年の時点で生存していた患者の割合と密接に関連していたことを明らかにした。

 

診療においてこれがどのように役立つかについての例として、Sweeney氏は、臨床試験において、ある薬剤によって患者が転移がんを発症するリスクが30%低下した場合、死亡リスクが25%低下すると予測できるだろうと述べた。

 

著者らは、この強力な相関関係を考慮すると、「臨床試験は、OSの代わりに主要評価項目としてMFSを用いてデザインすることができ」、その結果として「より迅速に試験を終えることができる」と記した。「臨床試験の結果をより早く読み取り、患者に薬剤をより早く提供する」のが狙いである、とSweeney氏は述べた。

 

「この代用エンドポイントの発見は、前立腺がん患者にとって非常に大きな意義があります。臨床試験の実施に必要な時間を短縮することで、がんがまだ治癒可能なできるだけ早期に投与することが可能な、新たな治療薬の開発が加速するでしょう」と、ICECaP Working Groupの設立を支援し、本プロジェクトにも参加した、Prostate Cancer FoundationのChief Science Officer兼Executive Vice PresidentのHoward Soule博士は述べた。「このプロジェクトは、膨大な量の臨床試験データの収集および解析を要した大規模な取り組みであり、さまざまな主要共同臨床試験グループおよび製薬会社の協力を必要としました。Prostate Cancer Foundationは、前立腺がんの抜本的な制圧に向けた取り組みを続ける中で、Sweeney氏のリーダーシップと、患者のためにこの非常に重要なプロジェクトを実施しているICECaPチームをとても誇りに思っています」。

 

本プロジェクトにおけるダナファーバーの試験責任医師は、Sweeney氏の他、以下のとおりである。Meredith Regan, ScD, and Wanling Xie, both of the Department of Biostatistics and Computational Biology.

 

本研究は、Prostate Cancer Foundation Challenge Awardによる資金提供およびAstellas Pharma、Medivation、Janssen Pharmaceuticals、Takeda、Sotio、およびSanofiから助成金による支援を受けた。

原文掲載日

翻訳生田亜以子

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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