女性のための妊よう性、その問題と温存 | 海外がん医療情報リファレンス

女性のための妊よう性、その問題と温存

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

女性のための妊よう性、その問題と温存

Cancer.NET (ASCO患者向けサイト)

多くのがん治療により、一時的あるいは永久的な妊よう性への影響が生じます。妊よう性とは、妊娠する能力のことで、不妊とは妊娠あるいは妊娠継続が難しいことです。

治療が始まる前に、ご自分のヘルスケアチームと話し、治療が自分の妊よう性にどのような影響を与えるのかと、妊よう性温存のための選択肢について聞きましょう。

 

がん治療は妊よう性にどのように影響を与えるのか

がんやがん治療によって起こる妊よう性問題は主に2つあります。

・卵巣、卵管、子宮、子宮頸部といった生殖器官へのダメージ
・卵巣といったホルモン産生器官へのダメージ

卵巣は女性の卵子を貯蔵しています。
卵巣へのダメージは卵巣予備能力を低下させせる可能性があります。卵巣予備能力とは左右の卵巣の未成熟な卵子の合計数のことです。健康な卵子の減少により、不妊や早発閉経が起こります。

 

妊よう性に影響を与えるがん治療

以下のがん治療は妊よう性に関連した副作用を引き起こすことが知られているか、その可能性があります。

 

化学療法
特にアルキル化剤と呼ばれる薬剤による化学療法は妊よう性に影響する可能性があります。以下の薬剤は妊よう性に影響を与える能力があります。

・ブスルファン(ブスルフェクス、Myleran)
・カルムスチン(BiCNU)
・クロラムブシル(リューケラン)
・シクロホスファミド(Neosar)
・ドキソルビシン(アドリアマイシン)
・ロムスチン(CeeNU)
・メクロレタミン(Mustargen)
・メルファラン(アルケラン)
・プロカルバジン(Matulane)

 

放射線療法
以下の部位への放射線療法は妊よう性に影響を与える可能性があります。

・腹部
・骨盤
・下部脊椎
・卵巣およびその周辺部位
・子宮
・脳内の下垂体
・全身(骨髄移植のため)

 

外科療法
これらの生殖器官の外科的切除は妊よう性に影響を与える可能性があります。

・子宮(子宮摘出)
・子宮頸部(子宮摘出または子宮体を温存する子宮頸部切除術)
・片方あるいは両方の卵巣(卵巣摘出術)

さらに、骨盤リンパ節を除去する手術も妊よう性に影響を与える可能性があります。

 
妊よう性問題への支援の探し方

不妊治療専門医との面会を考えましょう。不妊治療専門医は妊よう性に影響を与えるコンディションを専門としています。がんに関連した妊よう性問題を専門とする不妊治療専門医もいます。

 

がん治療後の月経と妊よう性の評価

がん治療後に月経のある女性は妊娠する可能性があります。しかしながら、月経は妊娠することの証明にはなりません。

一部の女性では、がん治療により月経周期が停止します。これは早発閉経といわれ、永久的な不妊となります。

月経周期が治療の間に停止し、その後、再開する女性もいます。化学療法後、月経が再開した女性はまだ妊よう性が低下しているかもしれません。治療期間中に月経があり、受胎能が維持されている女性でさえも、後に妊よう性が低下し、早発閉経が起こる可能性もあります。

一般的には、年齢が高く、高用量の放射線療法または化学療法を受けた女性のほうが月経再開に時間がかかります。また、これらの女性では、月経周期が再開しにくい傾向があります。

医療提供者は、卵巣予備能力について調査することができます。これは、抗ミュラー管ホルモンなどのホルモンに対する高感度なテストによって調べられます。

小児や若い女性には、高年齢の女性よりも高い卵巣予備能力があります。これらの女性は、化学療法後の早発閉経や不妊を経験することが少ないです。しかしながら、若い女性が妊よう性を失わないということではありません。骨盤、下腹部への放射線療法や強い化学療法には小児でさえも早発閉経を引き起こす力があります。

 

がん治療後の妊娠

不妊治療なしに妊娠するには、以下のことが必要です。

・十分な数の卵子が残っている少なくとも1つの健康な卵巣
・1つの健康な卵管
・赤ちゃんが成長する健康な子宮
・特定のホルモンの理想的理想的な濃度

しかし、ヘルスケアチームによって妊娠をしばらく待つように勧められるかもしれません。その期間は以下によります。

・がんのタイプとステージ
・治療の種類
・年齢

 

例えば、ホルモン治療を受けた女性は妊娠を遅らせる必要があるかもしれません。

女性は加齢に伴い卵子を失うため、妊娠が遅れるとさらに妊よう性が低下する可能性があります。もし、時間がかかっているなら、妊よう性温存の選択について検討しましょう。

ここをみるとがん治療後に出産することについて、さらに学べます。

 

妊よう性温存の選択肢

大部分の妊よう性温存はがん治療が開始する前に行われなければなりません。妊よう性温存の選択肢はいくつかの要因によります。

・年齢
・交際状況(精子を提供するパートナーがいるか)
・身体的、性的な成熟
・個人の考え

ヘルスケアチームは、これらの選択肢について調べるのを助けてくれます。

 

受精卵凍結:これは妊よう性温存に最も成功率の高い方法です。体外受精ともいわれています。

女性は排卵誘発剤を約2週間服用し、ヘルスケアチームのメンバーが女性の卵子を採取します。これらの卵子を研究室内で精子と受精し、できた受精卵を後まで凍結しておきます。

 

卵子(未授精卵)凍結:この手法は受精卵凍結と似ていますが、卵子は精子によって受精されないまま凍結されます。

これは、男性パートナーがいない女性のための選択肢ですが、受精卵凍結よりは成功率がわずかに下がります。ここでの計算によって成功率を見積もります。

 

妊よう性温存術:子宮頸部あるいは卵巣の手術のうちのいくつかのタイプでは、妊よう性を温存することができます。

 

・子宮頸がんの手術:子宮頸部は子宮とつながっていますが、場合により、外科医は頸部のみ取り除くことができます。これにより女性は帝王切開により出産することができるようになります。一部の初期子宮頸がんの女性のための選択肢です。

 

・卵巣がんの手術:場合により、外科医は片側のみの卵巣の切除を行うことができます。片側の卵巣に限局した初期がんのうち一部の女性のための選択肢です。これにより、生殖のための健康な卵巣を温存し、早発閉経を防ぎます。

 

卵巣を保護する放射線療法

一部の女性は片側の卵巣のみに放射線照射を受けるかもしれません。これは妊よう性を温存します。別の選択肢は卵巣固定術と呼ばれるもので、外科医が片側あるいは両側の卵巣を放射線が届かない位置に移動させ、治療後、外科医が卵巣をもとの位置に移動させます。しかし、この方法はいつも成功するわけではなく、放射線照射が不正確で、移動させた卵巣や卵巣への血液供給器官に照射してしまう可能性もあります。

 

卵巣の抑制

これは、妊よう性温存に対する臨床試験段階のアプローチです。卵巣機能を抑制するホルモン剤を摂取することで、治療による影響から卵子を保護できるかもしれません。
効果については、まだ研究者たちによって明らかにされておらず、この方法は一般的には推奨されていません。

 

卵巣組織凍結保存

これは、臨床試験段階の方法です。卵巣組織を外科的に切除し、凍結保存し、がんの治療後に外科医が保存してあった組織を移植します。

これは、卵子あるいは受精卵の凍結を受けることのできない若い女性に対する唯一の選択肢となるかもしれません。例えば、一部の女性はまだ性成熟を迎えていないかもしれないからです。この技術によりたくさん妊娠しています。しかし、まだ時期が早すぎて成功率を見積ることができません。

 

妊よう性温存の選択肢の評価

これらの妊よう性温存のための選択肢はすべての人にとって適切というわけではありません。以下について考慮しましょう。

・たいていの場合、妊よう性温存のためには費用がかかること
・効果がばらつくこと
・すでにかかっている精神的ストレスがさらに増す可能性があること

妊よう性温存決定のためにカウンセリングをうけることで、恩恵を被るかもしれません。

ここをみると妊よう性温存のためのASCO推奨について知ることができます。

 


治療前にあなたのヘルスケアチームに聞く質問

ご自分のヘルスケアチームに以下の質問をすることを考えましょう。

・推奨されている治療法によって不妊となるリスクは何か?
・可能性のある不妊は一時的なものか永久的なものか?
・不妊のリスクが高くなさそうな他の効果的な治療法はあるか?
・自分の妊よう性を温存するためにどんな選択肢があるか?
・これらの選択肢によって、がん治療が延期するか?延期ががん治療にどんな影響を与えるか?
・これらの妊よう性温存のための選択肢ががんの再発リスクを増加させるか?
・不妊治療専門医と話すべきか?
・自分はどんな臨床試験に参加できるか?
・妊よう性問題に対処するサポートをどこで探すことができるか?
・妊よう性に関して自分のパートナーと話すためのサポートをどこでみつけることができるか?
・がん治療後に妊娠できるかをどのように知ればいいか?

 

関連情報

交際、性、生殖
交際、セクシャリティ
がんと妊よう性温存
サバイバーシップ

 

追加情報

女性のための不妊テスト
不妊治療
MyOncofertility.org
ファミリービルディングに対する援助

 

このトピックに関する何冊かの本も入手可能です。図書館や本屋で探してみてください。

 

2017年4月 Cancer.Net編集委員会により承認

原文掲載日

翻訳春田 裕子

監修太田真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1診療時の腫瘍マーカー検査は不要な可能性
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3EGFR陽性非小細胞肺がん一次治療にオシメルチニブが...
  4. 4リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6ペムブロリズマブが治療歴ある進行再発胃がんに有望
  7. 7若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  8. 8緩和ケアにより進行がん患者の医療利用が減少
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10FDAがベバシズマブ-awwbをバイオシミラーとして...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他