FDAがベバシズマブとトラスツズマブのバイオ後続品を推奨

審査官らは、2つのバイオシミラー(バイオ後続品)とその参照製品との間に臨床的に有意な差がないと判断

2017年7月13日、米国食品医薬品局(FDA)抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)は、ベバシズマブ(アバスチン)とトラスツズマブ(ハーセプチン)のバイオシミラーの承認を満場一致で提言した。

午前のセッションにおいて、ODACメンバーは、Amgen Inc.社が提出したGenentech/Roche社のアバスチン(ベバシズマブ)のバイオシミラーであるABP 215の生物学的製剤承認申請(BLA)761028について検討した。委員会メンバーは、ベバシズマブのバイオシミラー候補品であるAmgen社のABP 215において、ベバシズマブの適応のうち6つの適応について、17対0の票数で承認を可決した。しかし、委員会は、ベバシズマブの卵巣がんに関する2つの適応については、2021年から2023年までオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定の対象となるため、Amgen社のデータが承認の根拠となるかどうかを検討しなかった。したがって、この製品の適応/用法は、以下のとおりである。

(1)転移性大腸がん患者の一次または二次治療における静注投与の5-フルオロウラシルを含む化学療法との併用。

(2)ABP 215を含む一次治療において進行した転移性大腸がん患者の二次治療におけるフルオロピリミジンおよびイリノテカン、またはフルオロピリミジンおよびオキサリプラチンの化学療法との併用。

(3)切除不能、局所進行性、再発性または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がんの一次治療におけるカルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用。

(4)治療歴のある成人患者を対象とした、進行性病変を有する膠芽腫の治療における単剤での投与。

(5)転移性腎細胞がんの治療におけるインターフェロンαとの併用。

(6)持続性、再発性または転移性の子宮頸がんの治療におけるパクリタキセルおよびシスプラチン、またはパクリタキセルおよびトポテカンとの併用。

午後のセッションにおいて、ODACのメンバーは、Mylan GmbH社が提出したGenentech Inc.社のハーセプチン(トラスツズマブ)のバイオシミラーであるMYL-1401Oの生物学的製剤承認申請(BLA)761074について検討した。ODACのメンバーは、トラスツズマブのバイオシミラー候補品であるMylan社のMYL-1401Oで、2017年10月20日まで希少疾病用医薬品指定により保護される転移性胃がんの適応を含む、ハーセプチンのすべての適応について、16対0の票数で承認を可決した。したがって、この製品の適応/用法は以下のとおりである。

(1)HER2過剰発現リンパ節陽性またはリンパ節陰性(ER/PRが陰性または高リスクな特徴を伴う)乳がんの術後補助療法。すなわち、(a)ドキソルビシン、シクロホスファミド、およびパクリタキセルまたはドセタキセルのいずれかを含むレジメンの一部としての使用(b)ドセタキセルおよびカルボプラチンとの併用(c)アントラサイクリン系製剤を含む集学的治療後の単剤での投与。

(2)HER2過剰発現転移性乳がんの一次治療におけるパクリタキセルとの併用。

(3)転移性疾患のため1つ以上の化学療法での治療歴がある患者のHER2過剰発現乳がんの治療における単剤での投与。

(4)転移性疾患の治療歴がないHER2過剰発現転移性胃または胃食道接合腺がん患者の治療におけるシスプラチンおよびカペシタビン、または5-フルオロウラシルとの併用。

ODACおよびFDAの審査官らは、2つのバイオシミラーとその対照製品との間に臨床的に有意な差がないと判断したが、一部の委員会メンバーは、複数の適応について単一疾患の研究に基づいてデータを外挿することについて懸念を表明した。

翻訳担当者 会津麻美

監修 北尾章人(腫瘍・血液内科/神戸大学大学院医学研究科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性の画像

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ転移が始まった大腸がんに対する手術の後、多くの人はそのまま化学療法を受ける。この術後(アジュバント)治療の背景にある考え方は、がんが体内の他...
認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足の画像

認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足

オハイオ州立大学総合がんセンター仕事中にあまり身体を動かさず肥満率が上昇している現代アメリカでは、何を飲食し、どのくらい身体を動かすかによって大腸がん(30〜50代の罹患者が増えつつあ...
若年成人の大腸がん罹患率増加に肥満とアルコールが関与の画像

若年成人の大腸がん罹患率増加に肥満とアルコールが関与

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2024年におけるEUと英国のあらゆるがんによる死亡率を専門家が予測

欧州連合(EU)と英国における25〜49歳の大腸がんによる死亡率の上昇には、過体重と肥満...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...