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個別化がんワクチンが白血病の良好な転帰に関連

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個別化がんワクチンが白血病の良好な転帰に関連

ダナファーバーがん研究所

ベスイスラエル・ディーコネス医療センター(BIDMC)の研究者による臨床試験において、個別化がんワクチンが、致命的となりうる血液がんである急性骨髄性白血病(AML)の患者の転帰を著しく改善した。 BIDMCがんセンターとダナファーバーがん研究所の研究者による長期的な共同研究の成果であるこのワクチンは、AML細胞に対する強力な免疫反応を刺激し、大部分の患者の再発予防につながったと、本日研究者チームがScience Translational Medicine誌上で発表した。

 

BIDMCがんセンターの血液悪性腫瘍課課長、およびがんワクチン・プログラム担当ディレクターであり、ハーバード大学医学部教授である上席著者のDavid Avigan医師は、「免疫療法の治療戦略では、がん細胞と闘うために身体自身の防御システムを活用します」と述べた。「個別化ワクチンを作ることによって、それぞれの患者のがんを選択的に標的にし、かつ化学療法の副作用を避けるために、免疫システムの力を利用します」。

 

AML患者は、標準化学療法後に寛解を得られる可能性があるが、通常は再発し、患者のほとんどは最終的にこの疾患で死亡する。この研究では、BIDMCとダナファーバーの共同研究チームが、標準化学療法を受けた後に寛解を得たAML患者17人に対し、個別化ワクチンを作製した。

 

平均年齢が63歳であったにもかかわらず、試験参加者の70%以上が4年以上の平均追跡期間で寛解を維持していた。一連のワクチン接種の後、血液および骨髄中の白血病特異的T細胞数の増加がみられた患者があった。T細胞は、ウイルスのような病原体を、今回のケースではがん細胞を、認識して記憶する身体の能力に極めて重要な免疫細胞である。AML細胞を認識するT細胞は、ワクチン接種前には少数しか存在しなかったが、ワクチン接種後ではその数が増えたことで、白血病に対する長期間の防御をもたらした可能性がある。

 

BIDMCがんセンターのがんワクチン・プログラムの共同ディレクターであり、ハーバード大学医学部助教である筆頭著者のJacalyn Rosenblatt医師は、「個別化ワクチンを用いることで、化学療法に耐性を示す可能性がある細胞を含む、腫瘍全体を標的とするための免疫システムを利用することができます  」と述べた。「個別化ワクチンが重大な副作用なしに広範で持続的な免疫反応を起こすことが分かり、私たちは本当に興奮しました」。

 

このワクチンの礎は、ダナファーバーの著名な医師であるDonald W. Kufe医師による初期の独創性のある研究や、Kufe医師、Rosenblatt医師、およびAvigan医師によるそれに続く開発と臨床への橋渡し、ダナファーバーの成人白血病プログラム担当主任のRichard Stone医師とBIDMCの輸血医学担当ディレクターのLynne Uhl医師らの臨床研究者の貢献など、BIDMCとダナファーバーの研究者による共同研究の成果である。

 

「確立されたがんの効果的な治療において、患者自身のがん細胞によって特異的に発現される、新抗原などの複数の抗原に対する免疫の誘導を必要とするという前提に基づき、私たちのチームはこの個別化ワクチンを開発しました」と共著者であるDonald W. Kufe医師は述べた。

 

このような有望な結果に基づき、研究者は他のタイプのがんでもこのワクチンのアプローチを試験している。Avigan医師らは、別の一般的な血液がんである多発性骨髄腫の患者に対するワクチンの有効性を試験する、国による臨床試験を行っている。NIHが資金提供している臨床試験ネットワーク(Clinical Trials Network)の援助により行われたこの初めての試みでは、15の主要ながんセンターが参加している。注目すべきは、この類のない研究努力では、参加するがんセンターはBIDMCにおいてワクチン製造の教育を受けた後に全国の患者にこの治療法をもたらすために協力するという、オープンソース・アプローチを採用していることである。

 

研究の共著者(BIDMC)は以下のとおりである。 Lynne Uhl, MD; Robin Joyce, MD; James D. Levine, MD; Jon Arnason, MD; Malgorzata McMasters, MD; Katarina Luptakova, MD; Salvia Jain, MD; Jeffrey I Zwicker, MD; Ayad Hamdan, MD; Vassiliki Boussiotis, MD, PhD; Poorvi Somaiya Dutt, MS; Emma Logan, BSN; Mary Paty Bryant; Dina Stroopinsky, PhD; Kristen Palmer, MA; Max Coll; Abigail Washington; and Leandra Cole。共著者(ダナファーバー)は以下のとおりである。Richard M. Stone, MD; David P. Steensma, MD; Daniel J. DeAngelo, MD, PhD; and Ilene Galinsky, MSN.

 

この研究は、米国国立衛生研究所(NIH)/米国国立がん研究所(NCI)(NIH / NCI R21CA149987-02)からの助成金、および白血病リンパ腫協会橋渡し研究プログラム(Leukemia and Lymphoma Society Translational Research Program)からの助成金による支援を受けた。初期のワクチンに対する追加支援は、Louis B. Mayer財団、Barbara and James Sadowsky基金により提供された。

原文掲載日

翻訳中島 節

監修北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

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