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適格でない患者も試験参加により利益を得られる可能性

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適格でない患者も試験参加により利益を得られる可能性

MDアンダーソンがんセンター 米国血液学会(ASH)2016

併存疾患のある白血病患者でも安全に治療ができるかもしれない

 

臨床試験に参加できれば非常に大きな利益を得られるかもしれない予後不良疾患の患者が、併存疾患のために臨床試験の適格基準を満たさないことはしばしばある。テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで行われた新たな研究から、従来なら臨床試験の対象とされなかった急性骨髄性白血病(AML)と骨髄異形成症候群(MDS)の一部の患者において、そうした状況下でも治療効果が得られ、かつ安全に治療が行われたことが明らかになった。

 

白血病学教授Guillermo Garcia-Manero医師が統括したこの研究では、アザシチジン(AZA)とボリノスタットによる治療を受けたAML患者とMDS患者合わせて109人を追跡調査した。研究結果は12月3日サンディエゴで開催された第58回米国血液学会(ASH)年次総会で発表された。

 

「がん臨床試験のほとんどでは、併存疾患を有する患者、治療の完了していない悪性腫瘍や最近に罹患した悪性腫瘍を有する患者、臓器障害を有する患者や全身状態が良くない患者を除外しています」とGarcia-Manero医師は語る。

 

「こうした基準が患者を守るのにどう関わるっているかはよく分かりません。臨床推論にもとづく部分もありますが、こうした基準は患者というよりむしろ試験対象の薬や治療介入を守るために存在しているような気がします」。

 

研究にははじめに、前治療歴のない17歳以上の 合計30人のAML患者とMDS患者が登録された。全身状態不良の患者や腎機能障害を有する患者、肝機能障害を有する患者や、未治療の全身性疾患(AML、MDS以外の悪性腫瘍も含む)を有する患者が適格とされた。報告によると60日生存率は83%で、低グレードの消化管副作用がみられた。

研究ではさらに79人の患者が組み入れられた。第2群の60日生存率は79%で、全生存期間の中央値は7.6カ月であった。無イベント生存期間の平均値は4.5カ月であった。ここでもみられた副作用は低グレードの消化管副作用のみであった。

 

研究では副作用や完全寛解率のモニタリングなどによる「終了ルール」を設けていた。もし振り分けた治療法で60日以内に完全寛解に至らなければ、患者はただちに別の治療に切り替えられる。

 

終了ルールを適用するための期待生存率および寛解率の最低値を設定するにあたり、研究班はMDアンダーソンで過去に治療を行った181人の患者データを参照した。

 

「臨床試験への参加は、新しい治療法を開発するための基本なのです」と、研究メンバーである Guillermo Montalban-Bravo 医師(白血病学フェロー)は語る。「このようにニーズがあるにもかかわらず、米国内ではがん治療中の患者の3~5%しか臨床試験に登録されないのが現状です」。

 

研究では、AMLおよびMDS患者の治療に特化した臨床試験の将来的な拡大を目的として標準的な除外基準の今後の見直しを行い、治療から利益を得る可能性の高い患者層の増加を見込むことを挙げている。

 

MDアンダーソン研究チームへの参加者は以下のとおり: Elias Jabbour, M.D.; Gautam Borthakur, M.D.; Courtney DiNardo, M.D.; Naveen Pemmaraju, M.D.; Jorge Cortes, M.D.; Srdan Verstovsek, M.D.; Tapan Kadia, M.D.; Naval Daver, M.D.; William Wierda, M.D., Ph.D.; Yesid Alvarado, M.D.; Marina Konopleva, M.D., Ph.D.; Farhad Ravandi, M.D.; Zeev Estrov, M.D.; Nitin Jain, M.D.; Ana Alfonso Pierola, M.D., Ph.D.; Mark Brandt; Troy Sneed; Hui Yang, M.D., Ph.D.; Sherry Pierce; Elihu Estey, M.D.; Zachary Bohannan, and Hagop Kantarjian, M.D., all of Leukemia; Carlos Bueso-Ramos, M.D., Ph.D., Hematopathology; and Xuelin Huang, Ph.D. and Hsiang-Chun Chen, Biostatistics。

 

研究は下記の機関およびプログラムから資金提供を受けている: the Cancer Prevention and Research Institute of Texas (RP140500), the National Institutes of Health (P30 CA016672), Merck Sharpe and Dohme Corp. (NCT00948064), the Dr. Kenneth B. McCredie Chair in Clinical Leukemia Research endowment, the Edward P. Evans Foundation, the Fundación Ramón Areces, and the MD Anderson MDS/AML Moon Shots Program。

原文掲載日

翻訳渋谷武道

監修佐々木裕哉(血液内科・血液病理/久留米大学病院)

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