ニボルマブ併用は白血病(AML)の奏効率と生存率を改善

MDアンダーソンがんセンター

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による予備的知見によれば、免疫療法薬ニボルマブと標準化学療法の併用は、急性骨髄性白血病(AML)患者における奏効率を2倍以上に高め全生存率を改善することが示された。

ニボルマブとアザシチジンを併用した現在進行中の第1B/2相試験の結果が、サンディエゴで行われた第58回米国血液学会(ASH: American Society of Hematology)年次総会で発表された。本試験の患者は完全奏効率および全生存率の不良が事前に明らかにされていた。

「アザシチジンとニボルマブの併用は、アザシチジン単独で12~15%の従来の奏効率と比較すると良好な、34%という奏効率を示しました。全生存率中央値もアザシチジン単独による従来の中央値に比べて改善を示しましたが、持続性や全生存率に利益が得られることを確認するためには、さらに長期の追跡期間が必要です」と白血病学部門の助教であるNaval Daver医師は述べた。

また、本試験では平均年齢69歳の患者51人を追跡し、患者の25~30%に肺炎、大腸炎、皮疹および肝酵素値上昇などの副作用が最も多く認められたが、それらはすべて早期発見および全身性ステロイド薬の投与により対応可能であったと報告された。

全生存期間中央値は、従来アザシチジン単剤投与患者が4.7カ月であったのに対し、アザシチジンとニボルマブの併用患者は9.3カ月であった。

「私たちは急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異型性症候群において治療前と治療中に反応を示したバイオマーカーについて調査し、新たな標的となるチェックポイントの同定に取り組むために、MDアンダーソンの免疫療法プラットフォームの研究員と密に連携し仕事を進めています。これらの免疫チェックポイントに対する治療法は白血病患者の転帰を改善するための新たな手段となることを願っています」とDaver医師は述べた。

Daver医師は、治療効果バイオマーカーに関して、免疫学部門主任のJames Allison医学博士およびGenitourinary Medical Oncology教授のPadmanee Sharma医学博士と協力して研究を行った。Allison医学博士は、MDアンダーソンがんセンタームーンショット計画の免疫療法プラットフォームを率いている。この計画は、科学的発見に基づいて予防、早期発見および治療の進歩をさらに迅速に開発し実行することによりがん死亡者を減らすことを目的とした野心的な試みである。

この計画は、2012年に発表され、現在は最も治療が困難な様々ながんに焦点を当て、革新的なアプローチを支援するための深い専門知識、最先端の科学技術、社会基盤を提供する10のプラットフォームによって裏づけられた13のムーンショットから構成されている。

研究チームのメンバーは以下のとおりである:Guillermo Garcia-Manero, M.D., Jorge Cortes, M.D., Farhad Ravandi, M.D., Elias Jabbour, M.D., Stephany Hendrickson, Sherry Pierce, Marina Konopleva, M.D., Ph.D., Michael Andreeff, M.D., Ph.D., Steven Kornblau, Naveen Pemmaraju, M.D. and Hagop Kantarjian, M.D., all of Leukemia; Sreyashi Basu, Ph.D. and Jorge Blando, D.V.M., Immunology; Jing Ning, Ph.D., Biostatistics; and Carlos Bueso-Ramos, M.D., Ph.D. and Juliana Elisa Hidalgo Lopez, M.D., Hematopathology。

本研究は、白血病部門主任のHagop Kantarjian医師率いるBristol-Myers-Squibb-MD Anderson Leukemia Department Allianceから資金提供を受けた。

翻訳担当者 青山真佐枝

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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