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思い込みが副作用に影響か、術後ホルモン療法乳がん患者

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思い込みが副作用に影響か、術後ホルモン療法乳がん患者

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

乳がんに対する治療の一環としてタモキシフェンなどのホルモン療法を受ける女性に関する研究によって、経験した副作用の数や重篤性は、これらの女性の思い込みに影響されることがわかった。

 

主要ながん学術誌であるAnnals of Oncology誌に本日(火曜日)発表された本試験(1)により、治療を開始する前に、より多くの、そしてより深刻な副作用が生じると思い込んだ女性は、実際に、術後ホルモン療法の2年後により多くの副作用を経験したことがわかった。これらの女性は、楽観的な思い込みをした女性、またはそれほど悪い影響はないだろうと考えた女性に対し、ほぼ2倍の数の副作用を経験した。

 

研究者らは、女性が非常に多くの副作用や健康に関連する生活の質の悪化を経験した場合、術後ホルモン療法を中止してしまう可能性があり、その結果、治療の成功や生存に影響する可能性があるため、今回の結果は重要であると述べている。しかし、思い込みによって経験する副作用のリスクを予測できるのであれば、カウンセリングなどの介入によってリスクを減らすことができ、その結果、ホルモン療法に対するアドヒアランスを向上させられる可能性がある。

 

本試験を主導した、ドイツにあるハンブルグ大学メディカルセンター心療内科および心理療法科のYvonne Nestoriuc教授は、「われわれの研究結果では、思い込みが、ホルモン療法の長期転帰に影響を及ぼす臨床的な関連要因の一部であることを示しています。長期にわたる副作用の苦痛を軽減し、乳がんサバイバーの予防的抗がん剤治療に対するアドヒアランスを最大限に向上させるために、思い込みを変えることは可能です」と述べた。

 

本研究は、ドイツにあるマールブルク大学乳がんセンターの臨床試験に登録された、ホルモン受容体陽性乳がんに対する手術を受けたことがあり、タモキシフェン、またはエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害剤を用いた術後ホルモン療法を開始する予定であった111人の女性を対象に実施された。

 

研究者らは、本試験の開始時に、術後ホルモン療法の影響に関して思っていることについて患者に質問し、その3カ月後(107人)と2年後(88人)に、それらについて評価した(2)。

 

試験開始時、9人の患者(8%)は術後ホルモン療法による副作用はないと思っていると答えた。70人の患者(63%)は軽度の副作用が、そして32人の患者(29%)は中等度から重度の副作用があると思っていると答えた。

 

3カ月後、後に試験から脱落した患者(19人)は、試験を継続した患者(88人)に比べ、有意に多くの副作用を報告した。2年後、ホルモン療法に対するアドヒアランスは、3カ月の時点で経験した副作用および試験開始時の思い込みと関連があった。治療を開始する前に軽度の副作用があると思い込んだ女性の方が(アドヒアランス率87%)、重度の副作用があると思い込んだ女性(アドヒアランス率69%)よりも、2年間のアドヒアランス率が高かった。試験開始時に重度の副作用があると思い込むことによって、副作用がないまたは軽度であると思い込んだ女性と比較して、2年後の副作用の発生率が1.8倍増加し、健康関連生活の質が低くなると推測された。研究者らは、社会人口学的要因や、試験開始時に女性がすでに経験していた症状や更年期症状の既往を含む医学的要因などの、結果に影響を及ぼす可能性のある要因を考慮し、研究結果を調整した。調整後も、思い込みは独立した臨床的な関連要因であることが示された。

 

副作用は、関節痛(71%)、体重増加(53%)、のぼせ(47%)などであった。しかし女性らは、背部痛(31%)、呼吸障害(28%)、めまい(26%)など、ホルモン療法に直接起因するはずのない症状も報告した。「このことは、治療に関する悲観的な思い込みなどの心理的メカニズムが、乳がん患者が経験する副作用において重要な役割を果たしているという結果を立証しています」と、Nestoriuc教授は述べた。「術後化学療法開始前の患者の思い込みがより悲観的な場合、特に、3カ月後に重度の副作用を最初に経験することによってそれらが一旦裏づけられてしまうと、長期的な忍容性に対して明らかに影響があると考えられます」。

 

本試験の限界は、試験への参加が適格であった患者のほぼ40%が参加しなかったことであった。これらの女性の決定は、術後ホルモン療法についてすでに悲観的な思い込みをしていたことよる影響を受けた可能性がある。

 

Nestoriuc教授らは、女性の思い込みの改善に対する戦略が有効であるかどうかを調べるため、ランダム化対照試験を実施中である。これらの戦略には、治療の開始直前だけではなく最初の数カ月間の心理学者や熟練した医療スタッフによるカウンセリング、治療の有益性を強調した情報提供や思い込みによる影響の可能性についての説明、副作用対策のための戦略の提供が含まれる。

 

注:

  1. “Is it best to expect the worst? Influence of patients’ side-effect expectations on endocrine treatment outcome in a two-year prospective clinical cohort study”, by Y. Nestoriuc et al. Annals of Oncology. doi:10.1093/annonc/mdw266
  2. ホルモン療法を中止、もしくは開始せず、連絡がとれない、追跡評価への参加拒否、または医学的な理由から、一部の女性は本試験の途中で脱落した。

 

原文掲載日

翻訳生田亜以子

監修小坂泰二郎(乳腺外科/順天堂大学附属練馬病院)

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