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適正体重でがんリスクは低下、肥満ではリスク増大

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適正体重でがんリスクは低下、肥満ではリスク増大

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

国際がん研究機関(IARC)は、過体重/肥満がこれまでに考えられていたよりも多くのがん部位の危険因子であることを見出した。

 

IARCがん予防ハンドブックプログラムによって新たに実施された評価により、過体重/肥満がこれまで立証されていたよりも多くのがん部位の危険因子であると結論づけられた。IARCがん予防ハンドブック第16巻「肥満度」のワーキンググループは、これまでに発表された科学文献を体系的にレビューすることにより得られた、適正な体脂肪とがん予防効果に関する最新の評価結果を示した。結果の要約は、2016年8月25日にスペシャルレポートとしてThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。

 

IARCにより召集された21人の独立した国際的専門家からなるワーキンググループにより、介入試験、コホート研究、症例対照研究、実験動物研究や過度の肥満度とがんを関連づけるメカニズムに関する研究を含む1000以上の研究が評価された。

 

この新たな論文の発表にともなう報道発表で、筆頭著者であるBéatrice Lauby-Secretan氏は、「この包括的な評価により、健康的な体重の維持がいくつかの異なったタイプのがんのリスクを低下させるのに有益であることがより確かなこととなります」と述べている。

 

過体重/肥満とがんの関連

 

IARCハンドブック(第6巻、2002年発行)によると、体脂肪率が適正な範囲内であれば結腸、直腸、食道(腺がん)、腎臓、閉経後の女性の乳がんや子宮内膜のがんリスクが低下すると評価されていたが、専門家たちによる今回の検討でもこの結果が再確認された。

 

さらに中年世代に関する文献のレビューにより、体脂肪率が適正な範囲内であれば胃噴門、肝臓、胆嚢、膵臓、卵巣、甲状腺のがんや髄膜腫、多発性骨髄腫のリスクが低下するという十分な証拠が、ヒトにおいて見出された。

 

しかし体脂肪が適正でも前立腺のがん、男性の乳がんやびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のリスクが低下するかどうかについては、限定的な証拠しか得られていない。

 

ワーキンググループは、子供、青少年、若年成人(25歳以下)の肥満度に関するデータもレビューし、若い時期の肥満が成人期のがんと関連するかどうかも評価した。その結果、結腸や肝臓を含むいくつかのがん部位において、成人において報告されたのと同様の、過体重とがんとの関連が認められた。

 

実験動物においては、過体重により数種類のがんの発生が増加することがしっかりと立証されている。過体重の動物を用いた研究で、カロリーあるいは食餌を制限することで乳腺、結腸、肝臓、膵臓、皮膚や脳下垂体のがんのリスクが低下することが示された。

 

過体重と肥満の世界的負荷

 

肥満度は主として、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値(kg/m2)として定義される肥満度指数(BMI)で評価される。成人では、BMI ≥ 25 kg/m2を過体重、BMI ≥ 30 kg/m2を肥満と定義する。全世界では、2014年には6億4000万人の成人が肥満(1975年から6倍増加)、2013年には1億1000万人の子供と青少年が肥満(1980年から2倍増加)、と推定された。2014年における年齢標準化された有病率は、男性10.8%、女性14.9%、子供5.0%であると見積もられており、全世界では過体重や肥満である人の方がやせている人より多い。

 

2013年には、全世界における450万の死亡例が過体重と肥満によるものと推定されている。肥満が関連する新たながん部位が同定されたことにより、全世界での肥満による死亡例数が増えるだろう。

 

「今回の新しい証拠により、がんやその他の非感染性疾患の負担軽減を目指すために、世界保健機構(WHO)の食や身体活動の生涯にわたる習慣改善に関する推奨を実践するための、個人および社会レベルで有効な方法を見つけることの重要性が強調されています」とIARC 所長であるChristopher Wild氏は述べている。

 

これらの評価結果は、IARCがん予防ハンドブック第16巻として出版される。

 

IARCはWHOの研究機関である。ヒトがんの原因、発がんのメカニズムに関する研究を調整、実施し、がんの抑制に対する科学的な戦略を立てることを任務としている。

 

参考文献

Lauby-Secretan B, Scoccianti C, Loomis D, et al. Body Fatness and Cancer — Viewpoint of the IARC Working Group. N Engl J Med 2016; 375:794-798. DOI: 10.1056/NEJMsr1606602

 

原文掲載日

翻訳伊藤彰

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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