石油由来の合成着色料を段階的に廃止ー米FDAとHHSが発表

石油由来の合成着色料を段階的に廃止ー米FDAとHHSが発表

2025年4月22日
米国保健福祉省(HHS)と米国食品医薬品局(FDA)は、米国国内の食品供給から石油由来の合成着色料を段階的に廃止するための新たな施策を発表した。これは、「アメリカを再び健康に(Make America Healthy Again:MAHA)」という政権の広範な取り組みの重要な一歩である。

FDAが講じる施策は次のとおり:

  • 食品業界が石油由来の着色料から天然由来の代替品へ移行するための国の基準とスケジュールを策定する。
  • 合成着色料シトラスレッド2号オレンジBについて、数カ月以内に使用認可を取り消す手続きを開始する。
  • 残る6種類の合成着色料(緑色3号、赤色40号、黄色5号、黄色6号、青色1号、青色2号)については、食品業界と連携し、来年末までに食品供給から排除する。
  • 今後数週間以内に新たな4種類の天然由来の着色料を認可するとともに、その他の候補についても審査と承認を加速する。
  • 米国国立衛生研究所(NIH)と連携し、食品添加物が子どもの健康や発達に与える影響について包括的な研究を実施する。
  • 食品メーカーに対し、2027~2028年と定めていた期限よりも前倒しで赤色3号の排除をするよう要請する。

「長きにわたり一部の食品メーカーは、消費者に知らせたり同意を得たりすることなく石油由来の化学物質を米国民に摂取させてきました」と米国保健福祉省長官ロバート・F・ケネディ・Jr.(Robert F. Kennedy, Jr)氏は述べる。「これらの有害な化合物には栄養的な利点はなく、実際にデータで確認できるレベルで子どもたちの健康や発達に危険をもたらしてきたのです。ただそのような時代は終わろうとしています。私たちは科学的な厳格な基準を再び採用し、当たり前の判断をし、国民の信頼を取り戻し始めています。私たちの家族が毎日食べる食品からこれらの有毒な着色料を取り除くために業界と協力することによって、この改革を実現します」

FDAは現在、リン酸カルシウム、ガルディエリア抽出物の青色素、クチナシ青色素、バタフライピーの花抽出物など、合成着色料の天然代替品について審査を優先的に進めている。同時に、業界に対して指針を提示し、規制を柔軟にするなどの取り組みも進めている。

「本日FDAは、米国の子どもたちのために石油由来の着色料を天然成分に置き換えるよう食品会社に要請しました。欧州やカナダではすでに行われていることです」とFDA長官のMarty Makary氏(医師、公衆衛生学修士)は述べる。「小児糖尿病、肥満、うつ病、ADHDといった問題が増えています。石油由来の食品着色料がこうした問題に関連しているのではと医師や親が懸念する中、私たちは危険を冒すべきではなく、子どもの健康を守るために可能な限りのことを行うべきです」
 
また、FDAはNIH栄養規制科学・研究プログラムと連携し、栄養や食品関連の研究を強化していく予定である。これにより、科学的根拠に基づいて食品政策を策定し、国民の健康を支え、「MAHA(アメリカを再び健康に)委員会」が掲げる優先課題の解決を目指す。

  • 監修 吉松由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)
  • 記事担当者 平沢沙枝
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2025/04/22

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がんと生活・運動・食事に関連する記事

加糖飲料が進行大腸がんの転移リスクを高める可能性の画像

加糖飲料が進行大腸がんの転移リスクを高める可能性

● 前臨床試験により、大腸がんの転移と、砂糖入り飲料に含まれるブドウ糖と果糖の混合物との関連性を示す初の直接的な証拠が得られた。
● 大腸がん患者における主な死亡原因は転移である。
● ほ...
石油由来の食品用着色料廃止に向けた、業界の取り組み実施状況の画像

石油由来の食品用着色料廃止に向けた、業界の取り組み実施状況

2025年4月22日、米国保健社会福祉省(HHS)と米国食品医薬品局(FDA)は、石油由来の食品用着色料(合成着色料)を米国の食品供給から段階的に排除する大胆な国家的取り組みを発表した...
飲酒によるがんリスクを、ほとんどの米国人が認識していないの画像

飲酒によるがんリスクを、ほとんどの米国人が認識していない

アルコールは、がんの予防可能な原因の最たるものだが、その関連性についての一般市民の認識は依然として著しく低く、アルコールをがんのリスク因子と認知している米国成人はわずか40%に過ぎない...
【ASCO2025】運動は薬:運動プログラムは大腸がんの再発/死亡リスクを下げるの画像

【ASCO2025】運動は薬:運動プログラムは大腸がんの再発/死亡リスクを下げる

ASCOの見解(引用)「本試験は、ステージ3および高リスクのステージ2結腸がん患者を対象としたランダム化第3相試験であり、治療後の運動は達成可能であり、無病生存期間の延長に有効...