石油由来の食品用着色料廃止に向けた、業界の取り組み実施状況
2025年4月22日、米国保健社会福祉省(HHS)と米国食品医薬品局(FDA)は、石油由来の食品用着色料(合成着色料)を米国の食品供給から段階的に排除する大胆な国家的取り組みを発表した(FDAニュースリリース日本語訳)。これは「アメリカを再び健康に(Make America Healthy Again:MAHA)」というトランプ政権の取り組みにおける大きな一歩である。
この取り組みの一環として、FDAは食品メーカー、小売業者、各業界団体と緊密に協力し、市販されている食品に頻繁に使用されている6種類の合成着色料―緑色3号、赤色40号、黄色5号、黄色6号、青色1号、青色2号―を2027年末までに排除することを目指している。またFDAは、オレンジBおよびシトラスレッド2号の使用を認めている着色料規制を速やかに撤廃する措置も進めている。今年初めには、FDAは赤色3号の使用承認をすでに取り消している。
「石油由来の合成着色料には栄養上の利点がなく、親や医師からは懸念が示されています」とFDA長官のMarty Makary氏(医師、公衆衛生学修士)は述べた。「小児糖尿病、肥満、うつ病、ADHDといった問題が蔓延する中、子どもの健康的な食習慣に向けた広範な取り組みの一環として、これらの化学物質を排除することは当然です」
全米で各企業は対応を進めており、天然由来の代替色素を用いて製品の再配合を行い、移行完了の早期達成を目指したタイムラインを設定している。
以下は2025年8月18日時点の業界各社の取り組みの概要である。各企業は、自社の進捗をこのページに反映する場合はFDAの食品化粧品情報センターに連絡のこと。
食品業界各社の動き:石油由来の食品用着色料廃止へ向けて掲げる約束
| 企業名 | 対象となる製品またはブランド | 予定されている変更内容 | 実施状況 (2025年8月18日現在) |
|---|---|---|---|
| WKケロッグ社 (WK Kellogg Co®) | ・ケロッグ アップルジャックス (Kellogg's APPLE JACKS®) ・ケロッグ コーンフレーク (Kellogg's CORN FLAKES®) ・ケロッグ フロスティ (Kellogg's FROSTED FLAKES®) ・ケロッグ フルーツループス(Kellogg's FROOT LOOPS®) ・ケロッグ レーズンブラン (Kellogg's Raisin Bran®) | ・新製品については、2026年1月以降、合成着色料を使用しない。 ・既存製品については、2027年末までに合成着色料を排除。 | 進行中 |
| ウォルマート (Walmart, Inc.) | ・ウォルマートブランド製品(Walmart) ・メンバーズマーク (Member's Mark®) | ・2025年末までに食品・飲料から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| タイソン・フーズ (Tyson Foods, Inc.) | ・タイソン(Tyson®) ・ジミー・ディーン(Jimmy Dean®) ・ヒルシャー・ファーム(Hillshire Farm®) | ・2025年5月末までに、製品から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| クラフト・ハインツ (The Kraft Heinz Company) | ・クリスタルライト(Crystal Light®) ・クールエイド(Kool-Aid®) ・ミオ(MiO®) ・ジェロー(Jell-O®) ・ジェットパフド(Jet-Puffed®) | ・2027年末までに製品から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| JMスマッカー (The J.M. Smucker Company) | ・ダンキン(DUNKIN'®) ・フォルジャーズ(Folgers®) ・ジフ(Jif®) ・トゥインキー(Twinkies®) | ・2026〜2027年度までに、学校(K12:幼稚園年長〜高校)向けに合成着色料を使用した製品を販売しない。 ・2027年末までに、一般消費者向け食品から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| ハーシー (The Hershey Company) | ・ブルックサイド(BROOKSIDE®) ・ドッツ・プレッツェル(Dot's Homestyle Pretzels®) ・ジョリーランチャー(JOLLY RANCHER®) ・キットカット(KIT KAT®) ・スキニーポップ(SKINNYPOP®) ・トゥイズラー(Twizzlers®) | ・2027年末までにスナック菓子から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| PIM Brands (PIM Brands, Inc.) | ・ウェルチ フルーツスナック(Welch's® Fruit Snacks) | ・2026年初頭までに全製品から人工着色料を排除。 | 進行中 |
| ペプシコ ( PepsiCo, Inc.) | ・レイズ(Lay's®) ・トスティートス(Tostitos®) ・チートス(Cheetos®) ・ドリトス(Doritos®) | ・2025年末までにレイズとトスティートスを合成着色料不使用で再発売。 | 進行中 |
| ネスレ (Nestlé S.A) | ・カーネーション(Carnation®) ・ディジョルノ(DiGiorno®) ・ガーバー(Gerber®) ・ホットポケット(Hot Pockets®) ・ネスプレッソ(Nespresso®) ・ストウファーズ(Stouffer's®) ・トールハウス(Toll House®) | ・2026年半ばまでに米国で販売されている食品・飲料から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| マコーミック (McCormick & Company, Inc.) | ・フランクス レッドホット(Frank's RedHot®) ・フレンチズ(French's®) ・マコーミック(McCormick®) | ・香料、シーズニング、調味料、香辛料を再配合。 | 進行中 |
| マース (Mars, Inc.) | ・エクストラ(Extra®) ・エムアンドエムズ(M&M's®) ・スキットルズ オリジナル(SKITTLES® Original) ・スターバースト(Starburst®) | ・2026年から合成着色料不使用の製品オプションを提供。 | 進行中 |
| ケラノヴァ (Kellanova®) | ブランドは未公表 | ・2026/27年度内に米国の学校で提供される学校(K12:幼稚園年長〜高校)向け食品から合成着色料を排除。市販食品については2027年12月31日までに排除。 | 進行中 |
| 国際乳製品協会 (International Dairy Foods Association, IDFA) | ・アボット(Abbott) ・a2ミルクカンパニー(a2 Milk Company) ・ブルーベル・クリーマリーズ(Blue Bell Creameries, L.P.) ・チョバーニ(Chobani, Inc.) ・ホライゾン・オーガニック・デイリー(Horizon Organic Dairy) ・ティラムック・カウンティ・クリーマリー協会(Tillamook County Creamery Association) ・シュライバー・フーズ(Schreiber Foods, Inc.) | ・2026-2027年度開始時点(2026年7月)までに、全国学校給食・学校朝食プログラムとして学校(K12:幼稚園年長〜高校)に販売される牛乳・チーズ・ヨーグルト製品から合成着色料を排除。 ・2028年までに、アイスクリームおよび冷凍乳製品デザートから合成着色料を排除。 | 進行中 |
| イン・アンド・アウト・バーガー (In-N-Out Burger®) | ・ストロベリーシェイク(Strawberry Shakes) ・シグネチャー・ピンクレモネード(Signature Pink Lemonade) | ・対象製品から合成着色料を排除済み。 | 完了 |
| グルポ・ビンボ (Grupo Bimbo, S.A.B. de C.V.) | ・アーノルド(Arnold®) ・リトルバイツ(Little Bites®) ・トーマス(Thomas'®) | ・2026年末までに全製品から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| ゼネラル・ミルズ (General Mills, Inc.) | ・ベティクロッカー(Betty Crocker®) ・ビスケットミックス(Bisquick®) ・チェックスシリアル(Chex® Cereal) ・シナモントーストクランチ(Cinnamon Toast Crunch®) ・ハーゲンダッツ(Häagen-Dazs™) ・ピルズベリー(Pillsbury®) ・プログレッソ(Progresso®) ・トリックス(Trix®) | ・2026年夏までに、米国で販売しているシリアル製品と学校(K12:幼稚園年長〜高校)向けの全ての食品から合成着色料を排除。 ・2027年末までに、米国で小売店経由で販売しているすべての商品から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| ダノン (Danone S.A.) | ・アクティビア(ACTIVIA®) ・アプタミル(Aptamil®) ・エビアン(evian®) ・インターナショナルデライト(INTERNATIONAL delight®) ・シルク(Silk®) | ・米国で展開している製品から合成着色料を排除。 | 進行中 |
| 消費者ブランド協会 (Consumer Brands Association, CBA) | 加盟企業 | ・2026年度までに学校給食から合成着色料を使用中止。 ・米国食品・飲料メーカーに対して、2027年12月31日までに合成着色料を使用した商品の製造中止を推奨。 | 進行中 |
| コンアグラ・ブランズ (Conagra Brands, Inc.) | ・バーズアイ(Birds Eye®) ・ダンカン・ハインズ(Duncan Hines®) ・マリー・カレンダーズ(Marie Callender's® ・スリムジム(Slim Jim®) | ・2025年末までに米国で販売されている冷凍製品から合成着色料を排除。 ・2026/27年度までに、合成着色料を含む製品の学校(K12:幼稚園年長〜高校)向け販売を中止。 ・2027年末までに、米国で小売される製品において合成着色料の使用を中止。 | 進行中 |
- 監修 吉松由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)
- 記事担当者 平沢沙枝
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- 原文掲載日 2025/04/22
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