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抗がん剤は高い?安い?各国の価格事情

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抗がん剤は高い?安い?各国の価格事情

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

 

低所得国では価格が低いにもかかわらず、抗がん剤は入手困難である

 

ASCOの見解

 

「国によって薬価は大きく異なりますが、より重要なことは、価格が上昇すると患者に大きな負担をかけてしまうことです。全ての患者が手頃な価格で治療を受けられるようにすることが必要です」とASCO 専門医で本日(6月6日)の記者会見の司会者である Patricia Ganz医師は述べた。

 

予備研究では、7カ国での23品目の抗がん剤の小売価格中央値に大きな差があることが明らかになった。最も高価な国は米国、最も安価な国はインドおよび南アフリカ共和国であった。特に月々にかかる医薬品の価格を、購買力平価で調整し直した一人当たりのGDP(GDPcapPPP)の割合として表現すると、小売価格が安価であるにも関わらず、低所得国にとって抗がん剤が手頃な価格ではないことがわかる。本研究は本日の記者会見に取り上げられ、2016年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される予定である。

 

「この研究で世界の抗がん剤の価格や購入しやすさに目を向ける機会を提供し、さらに調査するための準備をします」と、筆頭研究著者で、イスラエルのペタク・チクヴァにあるラビン・メディカル・センター、腫瘍内科の上級医師のDaniel A. Goldstein医師は述べた。「しかし、値引きや払い戻しについて考慮することができなかったため、私達が得た結果が意味するものには限界があります。それらを考慮できれば、薬剤の購入しやすさについて、より正確に予測したものになると考えられます」。

 

研究について

 

著者らによれば、これは世界の国々の抗がん剤の価格の差を分析した最も大規模な研究の1つであるという。これまでに行われたこの分野の調査は散発的で、わずかな国や地域でのみ単剤の価格を比較した報告に基づいたものとなっている。

 

研究者らは、広い範囲のタイプおよびステージのがんの治療に使用される15品目のジェネリック薬品と8品目の特許薬品の抗がん剤について月々の投与量を計算した。オーストラリア、中国、インド、南アフリカ共和国、英国、イスラエル、米国の薬剤小売価格リストを、主に政府のウェブサイトから入手した。

 

GDPcapPPP は生活費を考慮した国富の評価基準である。研究者らは、各国のGDPcapPPP データを国際通貨基金から入手し、そのデータを用いて抗がん剤の購入しやすさを評価した。

 

重要な知見

 

特許薬品に関する月々の小売価格中央値の範囲は、インドの1515ドルから米国の8694ドルであった。またジェネリック薬品の小売価格中央値の最高値は米国(654ドル)、最低値は南アフリカ共和国(120ドル)次いでインド(159ドル)であった。

 

支払い能力の観点から判断すると、抗がん剤が最も手頃な価格である国はオーストラリアであり、月々の医薬品の価格は、ジェネリック薬品がGDPcapPPP の3%および特許薬品が71%であった。支払い能力が最も低い国々は中国およびインドだった。中国では、月々のジェネリック薬品の価格はGDPcapPPP の48%および特許薬品は288%、インドではジェネリック薬品がGDPcapPPP の33%、特許薬品は313%であった。米国ではジェネリック薬品がGDPcapPPP の14%で、特許薬品は192%であった。

 

本研究は各国の健康保険システムを考慮しなかった。当該国で誰がその医薬品の支払いをするのかにより、政府、保険会社、あるいは患者が、財政上の負担を強いられる可能性がある。

 

本研究は助成を受けなかった。

 

抄録の全文はこちら

原文掲載日

翻訳白鳥理枝

監修東海林洋子(薬学博士)

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