Erlotinib HydrochlorideのFDA承認 | 海外がん医療情報リファレンス

Erlotinib HydrochlorideのFDA承認

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Erlotinib HydrochlorideのFDA承認

商品名:Tarceva®[タルセバ]

原文 2013/07/10 更新

  • 非小細胞癌の一次治療 2013年5月14日
  • 非小細胞肺癌(NSCLC)の維持治療 2010年4月20日
  • 膵臓癌 2005年11月2日
  • 非小細胞肺癌 2004年11月18日

 

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報はFull prescribing information で参照できます。

非小細胞肺癌の一次治療

2013年5月14日、米国食品医薬品局(FDA)は、転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者で、その腫瘍が上皮成長因子受容体(EGFR)のエクソン19欠失変異、またはエクソン21(L858R)置換変異を起こしたケースに対する第一選択療法として、エルロチニブ(Astellas Pharma 社製のタルセバ)を認可しました。このエルロチニブの適応と同時に、患者選択のためのコンパニオン診断検査である、Cobasと呼ばれるEGFR 変異試験も認可されました。

この認可は上皮成長因子受容体(EGFR)のエクソン19欠失変異、またはエクソン21(L858R)置換変異の腫瘍を持つ転移性NSCLC患者に対して、エルロチニブ(n=86)とプラチナダブレット化学療法(N=88)との、多施設非盲検ランダム化比較試験の臨床試験分析(CTA)結果に基づいています。試験への参加資格を有する被験者は無作為に(1:1の割合で)、エルロチニブの1日150mgの経口投与群と、プラチナダブレット化学療法の群に割り当てられました。さらにEGFR変異(エクソン19欠失、またはエクソン21(L858R)置換変異)とECOGのパフォーマンスステータス(PS 0 対PS 1 対 PS 2)に基づく分類法によってランダム化されました。134名の患者から採取した腫瘍サンプルを対象に、cobas® EGFR 変異試験と共にレトロスペクティブ・スタディを行いました。

この試験の主要評価項目は、試験責任医師が評価する無増悪生存期間(PFS)で、副次的評価項目は全生存期間(OS)および奏効率でした。

被験者の年齢中央値は65歳で、女性(72%)、白人(99%)、非喫煙者(69%)、および腺癌の既往歴を持つ者が大半を占めました。

無増悪生存期間の中央値はエルロチニブ群で10.4カ月、プラチナ製剤中心の化学療法群では5.2カ月でした[HR 0.34 (95% 信頼区間 [CI]: 0.23, 0.49), p <0.001]。全生存期間の中央値はエルロチニブ群で22.9カ月、プラチナ製材中心の化学療法群では19.5カ月でした[HR 0.93 (95% CI: 0.64, 1.35), p=0.6482]。奏効率についてはエルロチニブ群で65%、プラチナ製剤中心の化学療法群では16%でした。プラチナ製剤療法に属する被験者の大半(82%)はその後、試験責任医師による疾患増悪の診断を受けて、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬を投与されました。cobas® EGFR変異試験陽性患者を対象とした無増悪生存期間に関する分析結果は、一次解析と一致しました。

全フェーズに共通してエルロチニブ群に現れた最も一般的(30%以上)な有害反応は、湿疹、下痢、無力症、咳嗽、呼吸困難、および食欲減退でした。第3相から第4相にかけてエルロチニブ群に現れた最も一般的(5%以上)な有害反応は、湿疹および下痢でした。

NSCLC治療における1日のエルロチニブの推奨量は、食前1時間以前もしくは食後2時間以降の150mgの経口投与です。治療は疾患の増悪または容認できない毒性が出現するまで継続される必要があります。

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新保孝史 翻訳
吉松由貴(腫瘍内科/淀川キリスト教病院)監修
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非小細胞肺癌(NSCLC)の維持治療

2010年4月16日米国食品医薬品局(FDA)は、エルロチニブ(タルセバ®[Tarceva®])錠を局所進行性あるいは転移性の非小細胞肺癌(NSCLC)でプラチナ製剤を用いた一次療法を4サイクル行ったのち病状が進行しなかった患者の維持治療として承認しました。今回の承認はエルロチニブにとって局所進行性あるいは転移性のNSCLCにおける2番目の適応となります。エルロチニブは、局所進行性あるいは転移性非小細胞肺癌患者で事前に少なくとも1回以上化学療法を行ったにもかかわらず無効となった後の治療薬として2004年11月に初めて承認されました。

エルロチニブの維持治療としての効果および安全性は、ランダム化二重盲検プラセボ比較多施設多国間共同臨床試験で明らかにされました。局所進行性あるいは転移性NSCLC患者でプラチナ製剤を用いた一次化学療法の間病状が進行しなかった患者計889人がエルロチニブ(150mg)、あるいはプラセボを1日1回、病状が進行または忍容できない毒性が現れるまで経口投与する2つの群にランダムに(1対1)割り付けられました。臨床試験の主要目的は、標準的なプラチナ製剤化学療法の後にエルロチニブ投与を行うことにより全ての患者または免疫組織学的に上皮増殖成長因子受容体(EGFR)陽性を示す腫瘍がある患者のいずれかでプラセボと比較して無増悪生存期間(PFS)に改善が見られるかを評価することでした。試験において全生存期間(OS) は副次評価項目でしたが、今回の適応症の承認については、薬事規制としての評価項目という位置づけでした。

患者背景および病状は2群の間でバランスを取るようにしました。約70%の患者の腫瘍がEGFR陽性でした。無増悪生存期間(PFS)のハザード比(HR)は0.71(95%CI: 0.62, 0.82, p<0.0001)、全生存期間(OS)のハザード比は、0.81(95%CI: 0.70, 0.95, p=0.0088)でした。免疫組織学的にEGFR陽性腫瘍が見られる患者のPSFハザード比は0.69(95%CI: 0.58, 0.82)およびOSハザード比は0.77(95% CI: 0.64, 0.93)でした。免疫組織学的にEGFR陽性を示す腫瘍がある患者のPFSハザード比は0.77(95% CI: 0.51, 1.14)およびOSハザード比は0.91(95% CI: 0.59, 1.38)でした。

病状が進行した後、プラセボ投与群の患者(57%)のほうが、エルロチニブ投与群の患者(47%)より多くのNSCLCに対する二次治療を受けていました。プラセボ投与群の中で二次治療を受けた250名のうち37名(14%)は初めて病状が進行した時にエルロチニブまたはゲフィチニブのいずれかが投与され、31%はドセタキセルそして14%はペメトレキセドが投与されました。プラセボ投与群で腫瘍が進行した時点で治療を受けた59名はFDA認可されているNSCLCの二次治療薬が投与されました。

エルロチニブが投与された患者についての安全性に関する結果は、従来の薬剤添付文書に記載された既知の安全性情報と一致するものでした。エルロチニブ投与で最も多い(20%以上)有害反応は発疹のようなイベントと下痢でした。

訳:西川百代
監修:後藤 悌 (呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科)


 

膵臓癌

2005年11月2日FDAはエルロチニブ(タルセバ錠剤、OSI Pharmaceuticals社)をゲムシタビンとの併用で、局所進行、切除不能または転移性膵臓癌の治療として承認しました。

安全性と有効性は局所進行または転移性膵臓癌患者のファーストライン化学治療として、エルロチニブ+ゲムシタビン対ゲムシタビン+プラセボの比較を多施設共同(米国と世界諸国)、二重盲検、プラセボ対照無作為化第3相単独試験によって示されました。

試験は569人の患者が含まれそのうちエルロチニブ100mg投薬群に521人、エルロチニブ150mg投薬群は48人でした。150mg投薬群は解析のために少なすぎる患者数でした。結果は100mg投与群で提出されました。

この試験の主要エンドポイントは全生存期間でした。生存期間は100mgエルロチニブ+ゲムシタビン群の全生存期間中央値は6.4ヶ月でプラセボ+ゲムシタビンの場合6.0ヶ月と、有意な延長がありました。エルロチニブ群のプラセボ群に対する死亡の調整ハザード比(HR)は0.81、P値は0.028でした。

二次エンドポイントは無進行生存期間、腫瘍奏効率、奏効期間、EGFR(上皮成長因子受容体)の役割、生存率、生活の質でした。エルロチニブとゲムシタビンの組み合わせにより無進行生存期間が延長し(100mg投与群で無進行期間中央値がエルロチニブ+ゲムシタビンは3.8ヶ月、プラセボ+ゲムシタビンは3.5ヶ月)、調整ハザード比は0.76、P値は0.006でした。それに対して腫瘍奏効率(エルロチニブ+ゲムシタビン8.6%に対してプラセボ+ゲムシタビン7.9%)と奏効期間(エルロチニブ+ゲムシタビン24週間に対してプラセボ+ゲムシタビン23週間)で統計的に有意差がありませんでした。

EGFRの腫瘍における発現と生存の関連性はこの試験ではみられませんでした。しかし、EGFRのサンプルが入手可能であった症例は少数でした(対象者の三分の一以下がEGFRの発現状態が入手可能)。

エルロチニブとゲムシタビンの投与を受けた患者で最も一般的な副作用は疲労感、発疹、吐き気、食欲不振、そして下痢でした。重篤な発疹と下痢はエルロチニブ+ゲムシタビン群でより頻繁に見られました。エルロチニブ+ゲムシタビンを受けた患者で他に新たに認識された重篤な副作用は脳卒中、失神、血小板減少症を伴う微小血管性貧血、心筋梗塞・虚血、不整脈、腎不全、腸閉塞、膵炎そして神経障害を含みます。

この適応追加申請は2005年9月13日にODAC会議で提出され、委員会はこの申請承認に10対3で賛成しました。

(内村美里人 訳・榎本 裕(泌尿器科)監修)

 


 

非小細胞肺癌(NSCLC)

2004年11月18日米国食品医薬品局はエルロチニブ塩酸塩(タルセバ[Tarceva]錠、OSI Pharmaceutical Inc.開発製造)を局所的に進行した、または、転移性の非小細胞癌(NSCLC)で、事前に1つ以上の化学療法で奏効しなかった患者の治療に対して承認しました。

安全性と有効性は731症例の二重盲験式国際ランダム化比較試験を行い、150mgのエルロチニブを毎日経口投与した群とプラセボ群とを比較して実証されました。生存期間はエルロチニブ治療群で有意に延長し、全生存期間の中央値はエルロチニブ治療群が6.7カ月であったのに対しプラセボ群は4.7カ月でした。エルロチニブ治療群とプラセボ群を比較したときの死亡に関する調整後ハザード比(HR)は0.73、 p = < 0.001でした。無進行生存期間(PFS)はエルロチニブ治療群で有意に延長し、PFSの中央値はエルロチニブ治療群が9.9週間であるのに対しプラセボ群は7.9週間でした。進行に関する調整後ハザード比は0.59、 p < 0.001でした。

RECISTの基準での奏功率ではエルロチニブ治療群は8.9%でした(95% CI: 6.4-12.0%)。

(RECISTは固形ガンの効果判定基準のことであり、広く認められている一連の規則で、治療中、癌患者が好転する場合は[“奏効” ]、変化がみとめられない場合は[“安定” ]、悪化する場合は、[“進行” ]と判定する基準を定義します。)エルロチニブ治療群の奏功期間の中央値は34.3週間で、9.7週間から57.6週間以上まで及びました。プラセボ群では2症例の奏効(0.9%、95% CI: 0.1-3.4)が報告されました。

治療による生存効果について上皮増殖因子受容体(EGFR)というタンパク質発現の状態が探索的に解析されました。しかし、EGFRの状態は患者の33%しか識別できませんでした。EGFRの発現はDAKO EGFR pharmDx 商標のキットを使用することで判断されました。EGFR状態が識別できた患者の約半数は陽性で残り半数は陰性でした。

EGFR陽性群ではエルロチニブはプラセボ群と比較して生存期間が延長しました(中央値10.7ヶ月に対して3.8ヶ月、HR = 0.65、 p = 0.0033)。EGFR陰性群ではエルロチニブによる有意な生存効果は観察されませんでした(エルロチニブの中央値5.2ヶ月対プラセボ群の中央値7.5ヶ月、HR = 1.01、 p = 0.958)。しかし、EGFR陽性群と陰性群の信頼区間は幅広く重なり合っています。従い、EGFR陰性群でのerlotinibによる生存効果は除外できません。承認後の臨床試験でEGFR状態と生存効果の関連性が追跡調査される予定です。

喫煙状態の影響を試験した追加のサブグループの生存期間の解析によるとエルロチニブによる生存期間延長の有効性は、喫煙者(HR 0.87、 95% CI: 0.7-1.1)よりも全く喫煙歴のない患者の方(HR 0.42、 95% CI: 0.3-0.6)で大きかったです。

エルロチニブ治療群のもっとも一般的な有害反応は下痢と発疹でした。グレード3から4(中等度から高度)までの発疹が9%、下痢が6%の患者に起きました。それぞれ発疹と下痢のゆえにエルロチニブ治療群の1%が試験中止となりました。それぞれ6%の患者のみが発疹、1%の患者のみが下痢ゆえにエルロチニブ投与量の減量を必要としました。発疹発症までの中央値は8日間で下痢発症までの中央値は12日間でした。

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有田香名美 翻訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

 

 

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