ボルテミゾブベース化学療法+幹細胞移植が多発性骨髄腫の無増悪生存を延長(ASCO2016) | 海外がん医療情報リファレンス

ボルテミゾブベース化学療法+幹細胞移植が多発性骨髄腫の無増悪生存を延長(ASCO2016)

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ボルテミゾブベース化学療法+幹細胞移植が多発性骨髄腫の無増悪生存を延長(ASCO2016)

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

 

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「新規薬剤が使われる時代になっても、実績のある治療法がその価値を保っています。新規薬剤による治療後に幹細胞移植を実施するという、新旧それぞれの最良の方法を組み合わせることで患者に最善の治療効果がもたらされることがこの試験で立証されたのです」と、ASCO会長であり、経営学修士、ASCOフェローであるJulie M. Vose 医師は述べた。

 

第3相臨床試験の初期の結果から、自家造血幹細胞移植(ASCT)を受けた多発性骨髄腫患者のほうが、新規薬剤を用いた化学療法のみを受けた患者よりも、病勢が進行することなく長く生存したことが明らかとなった。この試験は65歳未満の患者を対象に、ASCTとボルテゾミブをベースとした単独療法との比較を目的としたこれまでで最大規模の試験である。本日の記者会見で取り上げられたこの試験は、シカゴで開催される2016年ASCO年次総会で発表される予定である。

 

ASCTは強力な治療法で、高用量での化学療法を行った後に、それ以前に採取し保存しておいた患者の幹細胞を患者自身へ戻すというものである。

 

プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブは、多発性骨髄腫に対する先行治療として2008年に米国食品医薬品局(FDA)から承認された。以来、ASCTを受けられるかどうかに関わらず、新たに多発性骨髄腫と診断された患者に対する標準治療として用いられてきた。しかしながら、ボルテゾミブなどの新規薬剤の時代になっても65歳未満の患者にASCTが必要であるかどうかは、これまで議論されてきた(注:多くの場合65歳を超えた患者はASCTを受けることができない)。

 

「われわれの試験結果は、65歳以下の多発性骨髄腫患者に対する推奨療法として自家幹細胞移植を維持するべきであるということを示しています」と、この試験の筆頭著者でありボローニャ大学Seràgnoli血液学研究所所長であるMichele Cavo医師は述べた。「新規薬剤を用いた移植を行わない治療法には興味深い将来性がある一方で、実際には幹細胞移植はいまだ強力かつ実績のある治療法であり、新規薬剤を補助的に用いることで、これまで以上の効果を示すことができます」。

 

試験内容

このランダム化第3相試験には、新たに多発性骨髄腫と診断された1,266人の患者が参加した。ボルテゾミブ+シクロホスファミド+デキサメタゾンによる寛解導入療法を受けた後、患者はボルテゾミブ+メルファラン+prednisone[プレドニゾン](VMP)による治療を受ける群または高用量のメルファラン後にASCTを1回受ける群に無作為に割り付けられた(2回のASCTを標準の治療法としている施設では、患者をVMP群またはASCT1回群あるいはASCT2回群に無作為に割り付けた)。

 

試験の第2段階では、両群の患者をボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンによる地固め療法を受ける群と受けない群とに無作為に割り付けた。すべての患者が、病勢の進行あるいは忍容できない有害事象が認められるまでレナリドミドによる維持療法を受けた。計画されていた中間解析は、2016年1月に実施された。

 

主な結果

無作為に割りつけられた最初の治療からの追跡期間中央値は、解析の時点で2年(23.9カ月)であった。無増悪生存期間中央値の算出にはまだ至っていないが、幹細胞移植を受けた患者の方が移植を行わないVMP療法を受けた患者よりもより穏やかな進行であったことがデータから示された。病勢の進行がまだ認められていない患者においては、ASCT群の方が移植を受けなかった群よりも将来的に進行するリスクが24%低かった。

 

移植の有益性は、さらに進んだ多変量解析で確認され、早期に進行するリスクの高い特定の患者ではより一層高かった。ASCT群に無作為に割り付けられた進行疾患の患者(国際病期分類によるIII期)では、移植を受けなかった患者と比べ、次の解析時に進行している可能性が48%低かった。ハイリスクな特定の遺伝因子を持つ患者においては、移植を伴わないVMP療法を受けた患者に比べASCT療法を受けた患者の方が、将来進行する可能性が28%低かった。移植を受けなかった患者と比較すると、ASCTを受けた患者では治療に対する良好な反応(少なくとも90%の腫瘍細胞量の減少)が得られる傾向にもあった(それぞれ74%対84%)。この良好な反応は長期生存の重要な指標である。

 

地固め療法を受けるあるいは受けないという2回目の無作為割り付けに関するデータの中間解析はまだ終了していない。この試験は進行中であり、今後の解析によってその他の指標と同様に全生存期間、安全性および生活の質(QOL)についても評価されることになる。

 

本試験は、the Haemato Oncology Foundation for Adults in the Netherlands (HOVON)より資金提供を受けた。

 

抄録の全文はこちら

原文掲載日

翻訳田村克代

監修野崎健司(血液腫瘍科/国立がん研究センター中央病院)

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