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早期乳がん手術後のMammaPrint遺伝子検査が術後化学療法を削減できる可能性

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早期乳がん手術後のMammaPrint遺伝子検査が術後化学療法を削減できる可能性

米国がん学会(AACR)

4月16~20日に開催された2016米国がん学会年次総会(AACR Annual Meeting 2016)で発表されたランダム化第3相MINDACT(microarray in node negative disease may avoid chemotherapy)臨床試験の結果によれば、臨床学的および生物学的基準に従い、がんの再発リスクが高いと考えられる早期乳がん患者に対してMammaPrint遺伝子検査を実施したところ、大規模な患者群で術後化学療法(術後に行われる化学療法)の実施の有無にかかわらず5年時の無遠隔転移生存率が同等に良好であったことが明らかにされた。

 

「現在、多くの腫瘍内科医は、患者の年齢、病期、悪性度ならびに腫瘍のホルモン受容体とヒト上皮細胞成長因子受容体2(HER2)の状態などの共通した臨床学的および生物学的基準を考慮した後に術後化学療法を行うことを推奨しています。MINDACT試験の結果はレベル1Aのエビデンスを提供しており、MammaPrintを使用した場合、術後化学療法を大幅に減らすことができ、効果が得られない強力な治療を多くの患者に提供しなくてもよくなることで診療を変えることができる可能性があります」とベルギーのブリュッセルにあるJules Bordet Instituteの医学部部長であり、Breast International Group(BIG)の共同創設者および議長であるMartine Piccart医学博士は述べた。

 

MINDACT試験に登録し、共通した臨床学的および生物学的基準に従って乳がんの再発リスクが高い(C-high)と判断された3,356人の患者においては、MammaPrintによって、化学療法で処方される薬剤が46%削減された。再発リスクが遺伝子学的(G)には低いが臨床学的(C)には高い(G-low/C-high)など評価が異なる群においては、CTの実施の有無にかかわらず、5年時の無遠隔転移生存率は94%を超えている。

 

MINDACT試験に登録したすべての患者を検討した際に、70遺伝子シグナチャーMammaPrint遺伝子検査を用いた場合には、従来の臨床評価を用いた場合と比べて14%の患者が化学療法を回避できたと、Piccart医学博士は説明した。

 

2007年から2011年に、Piccart医学博士らは、9カ国111施設の早期乳がん手術を受けた患者6,693人(スクリーニングを受けた11,288人中)を本試験に登録した。すべての患者を、次の2つの評価方法を用いて腫瘍の再発リスクが低い患者または高い患者に分類した。まずアムステルダムの中央検査室でMammaPrintを用いて腫瘍組織を解析し、次に共通した臨床学的および生物学的基準に従って乳がんの再発リスクを算出するツールであるAdjuvant! Onlineを用いて評価した。

 

その後、患者を4つの群に分けた。2,745人がいずれのリスク評価方法によっても再発リスクが低い(G-low/C-low)、1,806人がいずれのリスク評価方法によっても再発リスクが高い(G-high/C-high)、592人がMammaPrintでは再発リスクが高くAdjuvant! Onlineでは再発リスクが低い(G-high/C-low)、および1,550人がMammaPrintでは再発リスクが低くAdjuvant! Onlineでは再発リスクが高い(G-low/C-high)に分類された。

 

G-low/C-lowに分類された患者を術後化学療法なしに、G-high/C-highに分類された患者を術後化学療法に割り付けた。G-high/C-lowまたはG-low/C-highに分類された患者を術後化学療法または術後化学療法なしのいずれかに無作為に割り付けた。

 

Piccart医学博士によれば、MINDACT試験は、レベル1Aのエビデンスを有する乳がんの再発に対して遺伝子解析を用いた初めての前向きランダム化試験であり、乳がんにおいて重要な主要目的の結果を報告した初めての前向きなトレンスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)である。また、本試験は今後の研究にとって膨大なリソースとなるが、これは患者の腫瘍サンプル、血液サンプル、および臨床転帰のデータを用いた研究は乳がんの生物学的特性に対する理解をさらに深めることになるからだと、Piccart医学博士は付け加えた。

 

MINDACT試験は、BIG、Agendia社、その他多数の学術機関や提携企業、ならびに患者の支援者との広範かつ多岐にわたる協力のもと、欧州がん研究治療機関(EORTC)によって運営および助成されている。本研究は、European Commission Framework Programme VI (FP6-LSHC-CT-2004-503426,“TRANSBIG Network of Excellence”)、Breast Cancer Research Foundation、Novartis、F. Hoffman La Roche、Sanofi-Aventis、Eli Lilly、Veridex、U.S. National Cancer Institute、European Breast Cancer Council-Breast Cancer Working Group (BCWG grant for the MINDACT biobank)、Jacqueline Seroussi Memorial Foundation (2006 JSMF award)、Prix Mois du Cancer du Sein (2004 award)、Susan G. Komen for the Cure (SG05-0922-02)、Foundation Belge Contre le Cancer (SCIE 2005-27)、Dutch Cancer Society (KWF)、Association Le Cancer du Sein、Parlons-en!、Brussels Breast Cancer Walk-Run and the American Women’s Club of Brussels、NIF Trust、Deutsche Krebshilfe、Grant Simpson Trust and Cancer Research UKの助成金による支援を受けた。また、MINDACT試験はEORTC Charitable Trustによる支援も受けている。全ゲノム解析は同様にAgendia社により提供された。資金総額は約4,700万ユーロ。Piccart医学博士により、利害の対立はないことが明らかにされている。

 

原文掲載日

翻訳青山真佐枝

監修小坂泰二郎(乳腺外科/順天堂大学附属練馬病院)

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