EGFR陽性の非小細胞肺がんにオシメルチニブ+durvalumab療法:TATTON試験結果(ESMO2016) | 海外がん医療情報リファレンス

EGFR陽性の非小細胞肺がんにオシメルチニブ+durvalumab療法:TATTON試験結果(ESMO2016)

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EGFR陽性の非小細胞肺がんにオシメルチニブ+durvalumab療法:TATTON試験結果(ESMO2016)

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

併用療法を評価した探索的試験の結果
 ・トピック:肺および胸部腫瘍/腫瘍免疫学/抗がん剤と生物学的療法

上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)による前治療を受けた非小細胞肺がん(NSCLC)患者およびEGFR-TKI未治療患者において、オシメルチニブとdurvalumab[デュルバルマブ]の併用による有望な臨床効果が立証されたが、一部の患者で間質性肺疾患(ILD)が発現し、安全性の問題が浮上した。

 

韓国ソウルのサムスンメディカルセンター血液腫瘍内科のMyung-Ju Ahn氏は、2016年4月13日~16日にスイス、ジュネーブにて開催された欧州肺がん学会(ELCC)の「Best Abstract」セッションでTATTON試験の結果を発表した。

 

TATTON試験は、進行EGFR変異陽性肺がん患者を対象に、オシメルチニブ80mgとデュルバルマブ(抗PD-L1モノクローナル抗体)、savolitinib[ボリチニブ](MET阻害薬)またはselumetinib[セルメチニブ](MEK1/2阻害薬)の併用を検討する多群第1b相試験である。オシメルチニブおよびデュルバルマブの併用はTATTON試験のうちの1群であり、2つのパートに分かれていた。Part Aは、EGFR-TKIによる前治療を受けた進行NSCLC患者を対象とした用量漸増試験であった。Part Bは、EGFR-TKI未治療の進行NSCLC患者を対象とした用量拡大試験であった。

 

オシメルチニブ(AZD9291)は、EGFR変異とT790M耐性変異を選択的に標的とする経口の強力かつ不可逆的な第三世代EGFR-TKIであり、デュルバルマブ(MEDI4736)は、PD-1およびCD80双方へのPD-L1結合を阻害する高親和性ヒトIgG1モノクローナル抗体である。

 

すべての患者の腫瘍で変異を確認

Ahn氏は、TATTON試験のうち2パートに分かれているオシメルチニブ+デュルバルマブ群である1群で得られた最新の安全性データを報告した。この群の全患者はEGFR変異陽性NSCLCを有しており、免疫療法に対して禁忌はなかった。間質性肺疾患(ILD)の既往を有する患者は除外した。

 

Part Aには、EGFR-TKI投与後に放射線学的に進行が確認された進行NSCLC患者が含まれた。Part Bにおける用量拡大コホートのこの治療群から得られた最新の結果は、EGFR-TKI未治療でEGFR T790Mの変異の有無を判定するため試験前に腫瘍生検を必要とした患者のものと同じであった。Part Aでは、オシメルチニブ80mgを1日1回経口投与し、デュルバルマブ3mg/kgまたは10mg/kgを週2回、静脈内投与した。また、part Bではオシメルチニブ80mgを1日1回投与し、デュルバルマブ10mg/kgを週2回、静脈内投与した。

 

両試験パートの主要目的は安全性および忍容性の検討で、副次目的は併用による臨床効果を評価することであった。

 

両試験群で報告された間質性肺疾患発現率の上昇

データカットオフ時点で、オシメルチニブ/デュルバルマブの併用投与はpart Aで23人、part Bで11人に実施した。Part Aでもっとも報告されたすべての原因によるあらゆるグレードの有害事象は、悪心(39%)、嘔吐(39%)、貧血(35%)、下痢(35%)であった。Part Bでは下痢(55%)、悪心(45%)が報告された。

 

Part Aで患者6人(26%)が間質性肺疾患を発現し、このうち2人はグレード3/4であった。Part Bで患者7人(64%)が間質性肺疾患を報告し、このうち3人はグレード3/4であった。いずれのコホートでもグレード5の間質性肺疾患は発現せず、死亡もみられなかった。大部分の患者は副腎皮質ステロイドで管理した。治療開始から間質性肺疾患発現までの期間の中央値は69日であった。

 

図の説明:
(上)TATTON試験のオシメルチニブとデュルバルマブ併用群において全用量で患者3人以上で報告された有害事象
(下)オシメルチニブとデュルバルマブ併用群では、各単剤群よりも間質性肺疾患発現率が上昇したが、重症間質性肺疾患での上昇はみられなかった。
提供:Myung-Ju Ahn氏

 

進行非小細胞肺がん患者において有望な臨床効果を立証

オシメルチニブとデュルバルマブの併用投与を受けたpart Aの患者21人のデータが、効果に関して評価可能であった。患者12人が部分奏効(PR)を達成し、9人で部分奏効が確定した。患者9人が安定(SD)を達成した。

 

Part Bで評価可能であった患者10人のうち8人が部分奏効を達成し、そのうち7人で部分奏効が確定した。患者2人で安定が認められた。

 

「Combination therapies with checkpoint inhibitors: what are promising avenues(免疫チェックポイント阻害薬との併用療法:有望な方法とは)」という討論において、ベルギーのルーベン・カトリック大学附属病院呼吸器腫瘍科のJohan Vansteenkiste氏は、併用する理由、併用療法の対象患者、および同時併用または投与順序といった併用方法に関する自身の認識を述べた。
抗PD-1/PD-L1治療は、NSCLCでは二次治療として確立されており、奏効率は最大で約20%である。効果は持続性で、優れた長期生存率を示す。全体の毒性は、化学療法関連有害事象(50~69%)より少なく、グレード3~4の治療関連有害事象が患者の8~16%で、グレード3~4の特異的な免疫関連有害事象が約5%で、治療中止に至った有害事象が約5%で認められる。Vansteenkiste氏は抗PD-1/PD-L1単剤で定義された効果に関して最近の試験結果をレビューし、PD-L1の免疫組織学的検査が抗PD-1/PD-L1療法に対する効果を示す可能性がある、と述べた。さらに、Vansteenkiste氏は2重のチェックポイント阻害に関する知見をレビューした。
チェックポイント阻害薬とチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の併用に関しては、興味深い分野である、と述べた。いくつかの世代があるEGFR-TKIは有力な標準療法である。早期のEGFR変異陽性NSCLCでは、PD-L1発現が増加されると考えられる。しかし、進行NSCLCの臨床データは、EGFR変異陽性肺がんの抗PD-1/PD-L1療法での奏効率が低いことを示している。さらに、毒性の重複が生じることがある。
免疫療法の併用には明らかな根拠があり、その有効性に関して腫瘍学会がPD-L1低発現/陰性患者での効果を検討する必要があるが、治療関連有害事象などの毒性の発現がカギを握るだろう、とVansteenkiste氏は結論した。免疫療法とTKIの併用に関して、全奏効率は、TKI単剤に比べて明らかに高いとは言えない。より持続性があると考えられるが、そのように述べるには時期尚早である。毒性については、特に肺、肝、皮膚および消化管副作用に関して「危険な関係」と指摘される点がある。免疫療法と化学療法の併用による全奏効率は、化学療法単独に比べて明らかに高いとは言えず、順序立てた使用が優先されるべきか、またペメトレキセドベースのレジメンの方が併用に適しているか疑問である、とVansteenkiste氏は述べた。ただし、毒性に関しては「危険な関係」は認められないが、2つの異なる毒性の重複が認められる。

 

・免疫療法とTKIを併用した現在進行中の試験では、以下の併用が用いられている。
・EGFR変異陽性NSCLCを対象としたデュルバルマブ+ゲフィチニブ
・EGFR変異陽性NSCLCを対象としたデュルバルマブ+オシメルチニブ
・エルロチニブが無効なEGFR変異陽性NSCLCを対象としたニボルマブ+エルロチニブ
・クリゾチニブが無効なALK転座NSCLCを対象としたニボルマブ+セリチニブ
・EGFR変異陽性NSCLCを対象としたatezolizumab[アテゾリズマブ]+エルロチニブ
・クリゾチニブが無効なALK転座NSCLCを対象としたアテゾリズマブ+アレクチニブ
・エルロチニブが無効なEGFR変異陽性NSCLCを対象としたpembrolizumab[ペムブロリズマブ]+rociletinib[ロシレチニブ]
・ペムブロリズマブが無効なEGFR変異陽性NSCLCを対象としたペムブロリズマブ+アファチニブ
・ALK転座NSCLCを対象としたペムブロリズマブ+クリゾチニブ
・KRAS変異陽性NSCLCを対象としたペムブロリズマブ+ダブラフェニブ/トラメチニブ

 

図の説明:
腫瘍効果は、EGFR変異陽性NSCLCにおいてオシメルチニブとデュルバルマブの有望な臨床効果を示唆している。
提供:Myung-Ju Ahn氏

 

結論

オシメルチニブとデュルバルマブの併用における間質性肺疾患発現率は、各単剤療法で予測されたものよりも高かった。併用群の5人で報告された統合したグレード3/4の間質性肺疾患発現率は38%で、単剤群よりもはるかに高かったが、重度の間質性肺疾患発現率の明らかな上昇はなかった。

 

奏効率は、EGFR変異陽性NSCLCにおいてオシメルチニブとデュルバルマブの併用が有望な臨床効果を有することを示唆している。特に、EGFR-TKI治療歴を有する患者における医師評価の全奏効率は67%で、T790M変異陽性および陰性患者では21%、EGFR変異陽性未治療患者では70%であった。

 

著者によると、これら新規標的療法の併用に関する忍容性と安全性についてさらなる検討が必要である。結果として、TATTON試験のオシメルチニブとデュルバルマブ併用群の登録は、さらに併用方法を明確にするため中断されている。このことは、TATTON試験の他の群に影響はなく、単剤療法としてのオシメルチニブやデュルバルマブ投与、またはその他の併用療法にも影響はない。

 

情報の開示

本試験は、AstraZeneca社から資金援助を受けた(NCT02143466)。

 

参考文献
136O. Osimertinib combined with durvalumab in EGFR-mutant non-small cell lung cancer: Results from the TATTON phase Ib trial

 

原文掲載日

翻訳霜出佳奈

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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