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がん研究における患者アドボケートの役割

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がん研究における患者アドボケートの役割

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【リサーチアドボケート】(患者が研究を支援する)

がん研究への招待 はじめに―

 

[2015年8月、対談者によりレビュー・更新済み]

1.臨床試験は、がん患者の予防、ケアおよび治療の進展に寄与してきました。このことは、患者、患者アドボケート(患者支援者)および医療従事者の参加なくしては得られませんでした。がん研究推進のために患者アドボケートと医師がどのように協力してきたかをより良く理解するため、Cancer.Netは米国臨床腫瘍学会(ASCO)前会長George W. Sledge Jr.医師と長年の患者アドボケートであるMary Lou Smith氏との対談を行いました。Sledge医師とSmith氏は、主に臨床がん研究組織であるEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)で長年協働しています。

 

Q.がん研究者と患者アドボケートの共通のゴールは何ですか?

George Sledge医師:共通のゴールはいくつかあります。第一のそして一番のゴールは、生死にかかわる疾患である、がんの克服です。第一のゴールに付随する第二のゴールは、治癒を可能にするがん研究に関する政策およびその行程を進展させることです。そして、アドボケートはその研究基盤に対して大きな影響を与えてきました。

 

Mary Lou Smith氏:それらのテーマから発展させるため、がん研究者と患者アドボケートは、患者ケアの進展、生活の質の改善、そしてがんサバイバーシップの強化といった課題を解決するというゴールを共有しています。加えて、研究者とアドボケートは、患者負担を最小化することで、臨床試験が適切な設計かつ倫理的に行われるよう努めています。

 

Q:がん研究における患者アドボケートの役割とは?

George Sledge医師、Mary Lou Smith氏: 患者アドボケートは今までも、そしてこれからも、数多くの貢献をしていきます。たとえば、彼らはがん研究のための募金に重要な役割を果たしました。国家レベルでは、がんへの資金集めや募金のため、慈善団体を通して米国国会でロビー活動を行っています。地方レベルでは、各地域のほとんどすべてのがんセンターにおいて、研究のための募金集めの実例が数えきれないほどあります。

 

加えて、アドボケートグループ(患者支援団体)は、種々のがん種に関する患者教育を行うとともに、なぜ臨床試験が重要なのか、臨床試験にはどこで参加できるのか、そしていかにして良好な生活の質が維持できるかなどについての患者教育を実施しています。その他多くの部分においても、アドボケートグループは改善を目指して率先し、前向きな力となっているのです。

 

増加しているアドボケートの中には、いくつかのがん研究基盤を構成する顧問会議や委員会のメンバーになっている者も増えてきています。たとえば、NCI臨床試験ネットワーク(NCTN)には委員会に関与するアドボケートが含まれています。そこでは、アドボケートは患者の考えを臨床研究の計画や実施に取り入れます。彼らは、どの研究トピックを追求すべきかに関する議論に参加したり、臨床試験プロトコルにおける患者負担を最小化する方法を提案したり、また患者にわかりやすい同意書や教育資材の作成、そして意識を向上させたり、文化的に適切な資材や方法を使用することで臨床試験の参加における格差を減らす、といったことを行っています。アドボケートはまた、この臨床研究の先にある実世界の人々の生活における研究のインパクトを強調することで、一定のレベルの真剣な議論をもたらしています。

 

Q:がん研究における患者アドボケートの役割はどのように発展してきたのですか?

George Sledge医師:かつては、アドボケートの科学的な議論に貢献する能力について、研究者は今ほど認識していませんでした。しかしながら、過去数十年の間にそれは劇的に変化しました。アドボケートは科学的な査読の過程において、ますます有用で重要であるとみなされています。

 

Mary Lou Smith氏:査読過程における重要な役割に加え、アドボケートは研究プログラムにおいても役割を果たしています。アドボケートの代表者は資金団体から必要とされる場合がよくあります。このことにより、アドボケートは課題を理解したり、新しい方法で患者を代表する機会を得るのです。私が共同設立した非営利組織The Research Advocacy Networkは医学研究過程に関与するすべての関係者を団結すべく働きかけています。インディアナ大学のAdvocacy Core for the Breast Cancer Center of Excellenceのリーダーとして、この組織はトレーニングプログラムを主導し、患者とアドボケートのための教育資材を作成、そして研究を発展させるためにコミュニティからのフィードバックを集めました。

 

Q:がん研究と患者アドボケートの関係を強化するためにはどんな方法がありますか?

George Sledge医師:近年の患者アドボケートと研究者との関係の良好な発展に関わらず、両者にはまだ教育の余地が残されています。アドボケートは、患者が研究者と議論するために十分準備できるよう、がん研究における科学的および臨床的な課題に関する自分たちの知識を向上させることができます。アドボケートグループはその目標を達成するために働いてきました。たとえば、National Breast Cancer Coalition(米国乳がん連合)は、研究の現状と科学的な背景についてアドボケートがより理解できるための手助けを、トップレベルの研究者に依頼しています。前進し、科学的知識の基盤をもつことにより、一連の過程におけるアドボケートの重要性が増すことでしょう。一方、研究者はアドボケートが研究に持ち込む価値感を認識し、がんとの闘いにおける貴重な同志として彼らに手を差し伸べる必要があるでしょう。

 

Mary Lou Smith氏:研究者とアドボケートは、臨床試験への参加促進やインフォームドコンセントの強化、組織サンプル提出時の強制性または自主性の決定、参加者への研究結果の提示、そして生体試料研究に関する公衆および新患患者への教育などといった研究に関する重要な課題への解決に向けて、ますます協力していくべきです。その協力のための付加的な機会としては、研究結果をコミュニティに広める良い方法を見つけるためのパイロットプログラムの開発や、がん研究に対する患者の理解を深めることを目的としたアドボケート・イニシアチブへの募金を行うことなどがあります。

 

The Research Advocacy Network Advocate Institute(リサーチアドボカシー・ネットワーク・アドボケート・インスティテユート)は、毎年、がん研究の基礎においてアドボケートを訓練する授業を運営したり、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会に参加する機会を与え、アドボケートが自分たちのコミュニティに戻って患者にそれらの研究発表を広めることの手助けを行ったりしています。加えて、効果的な研究者とアドボケートの協力における具体例について議論する協賛フォーラムを行うことで、将来のプロジェクトに適用できるような成功事例が同定されうるのです。たとえば、当Research Advocacy Network(リサーチアドボカシー・ネットワーク)は研究における現在の課題を議論するためのフォーラムを提供する「シンクタンク」を主宰してきました。

 

Q:がん研究に貢献したいと考える患者アドボケートにどのようなアドバイスをしますか?

Mary Lou Smith氏:私は以下のことを推奨します:

・長期的な視点をもってください。変化は一晩ではおきません。

・研究者コミュニティと効果的にコミュニケーションができるよう、科学について学んでください。

・もし力を発揮して、その組織内での成功に貢献したいと望むなら、組織がどう動いているか学んでください。

・あなたががん研究に意義のある方法(研究者が評価する方法)でサポートできることを示し、信頼関係を確立してください。もし彼らが何を評価するのかわからない場合は、尋ねてください。

・よき協力者になってください。それは他者の視点に耳を傾け、コミュニケーションをとり、理解を確かめ、そして譲歩することです。大きな利益を達成するために、各当事者がすべき努力は少しでよいのです。

・これは社会事業ではなく、研究事業であることを認識してください。したがって、あなたがほかの状況下で経験してきたような社交上の細かい点に研究者が従わないことがあっても咎めないでください。

・とりわけ、これはあなたやあなたの問題ではなく、がん患者のための答え探しであることを忘れないでください。

 

 

対談者について
George W. Sledge Jr.医師は、乳がんの新規治療を専門とした臨床研究家でスタンフォード大学医学部腫瘍学の長である。またASCO前会長でもある。

Mary Lou Smith, JD氏は経営学修士で、Research Advocacy Networkの共同設立者である。現在、ECOG-ACRIN がん研究グループにおけるCancer Research Advocacy Committeeの共同議長、トランスレーショナル乳がん研究組合患者支援ワーキンググループの共同議長を務め、NCI Board of Scientific Advisorsの一員でもある。

 

詳細情報(英語)

がんアドボケートであること http://www.cancer.net/node/24403

患者アドボケート(支援者)のための政策アドボカシー http://www.cancer.net/node/24862

 

原文掲載日

翻訳大澤朋子

監修東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

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