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血糖指数が高いと肺がんリスクが上昇

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血糖指数が高いと肺がんリスクが上昇

米国がん学会(AACR)

血糖指数(GI: 炭水化物摂取と血糖値の関係を計る尺度)は、非ヒスパニック系白人では肺がんリスクの上昇と関連し、喫煙歴がない場合には有意に高リスクであったことが、米国がん学会機関誌、Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に発表された研究により明らかとなった。

 

「喫煙は、既に明らかにされている主な肺がんリスク因子ですが、喫煙だけで肺がんリスクの差違のすべては説明できません。今回の試験によって、食事が独立的な因子としても、その他のリスク因子と共に働く因子としても、肺がんの病因に影響を与える可能性があるとの新たな証拠が示されました」と今回の試験統括著者であるテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター疫学部門の教授でBetty Marcus Cancer Preventionの議長であるXifeng Wu医学博士は述べた。

 

血糖指数(GI)は、食物中の炭水化物による食後の血糖値の上昇速度および増加量を示す指標値を食物に割り振るものである。血糖負荷(GL)は、血糖指数と炭水化物グラム量を乗じ、100で割って求めた関連尺度である。以前の試験では、血糖指数および血糖負荷と、大腸がん、胃がん、および膵臓がんを含む特定の種類のがんとの関連性が調査されているが、肺がんとの関係については、調査が少なかった。

 

Wu医学博士らは、MDアンダーソンで実施中の肺がんに関する症例対照研究から患者と対照者を選択した。患者らは、新たに肺がんと診断され、手術以外の治療を受けたことがなかった。対照群の健常者は、ヒューストン地区の大規模医師グループであるKelsey-Seybold Clinicsの患者リストから選択した。本試験結果には1905人の患者および2413人の対照群を含んでいる。研究者らは対面面談を実施して、参加者の既往歴および食事の摂取頻度や摂取量を含めた食生活習慣を調べた。既報の試験にしたがって食物に血糖指数値を割り当て、参加者をWu医学博士らが定めた血糖指数と血糖負荷に基づいて五分位に分類した。研究者らは、試験データを年齢、性別、教育、喫煙状況、および肥満指数(BMI)にしたがって分類し、交絡因子を補正した。

 

全体として、血糖指数が上位2割の人は下位2割の人より肺がん発症リスクが49%高かった。血糖指数が下位2割の人に比べて上位2割の人は、扁平上皮がんの発症リスクが92%高いが、腺がんの発症との関連にはあまり有意性が認められなかった。

 

喫煙歴のない参加者の中で、血糖指数が上位2割の人は血糖指数の下位2割の参加者に比べて肺がんの発症が2倍を越えていた。Wu医学博士は、喫煙は肺がんの最も強力なリスク因子であるため、喫煙因子が不在なことにより血糖指数などその他のリスク因子を検出できたと説明した。

 

Wu医学博士の研究室員で博士研究員であり論文の主著者でもあるStephanie Melkonian博士によれば、ほとんどの患者について肺がんリスク上昇と血糖負荷との関連性はなかったが、喫煙歴のない患者については例外で、上位2割の患者が下位2割の患者に比べて肺がんリスクは81%高かった。学校教育が12年に達していない参加者の中では、上位2割の人が下位2割の人よりも肺がん発症リスクは55%高かった。

 

Melkonian博士は、血糖指数と肺がんとの関係で考えられるのは、血糖指数の高い食事が血糖値とインスリン値を高め、その結果、耐糖能異常とインスリン抵抗性を促進することだと述べた。一方、これまでの研究によるとインスリン抵抗性は身体のインスリン様成長因子の変化に関係しており、このことががんにおける細胞増殖と分化の役割を果たしている。

 

Wu医学博士は、今後研究を進める場合、食生活変化ががん関連バイオマーカーに与える影響の有無、および血糖指数と肺がんとの関連性が他の人種や民族にもみられるかどうか調査できると述べた。Wu医学博士は、今回の試験には、患者および医療提供者に対して直ちに提案することがあると述べた。

 

「今回の試験結果は、健康な生活スタイル維持だけでなく、血糖指数の高い食物や飲料の摂取量を減らすことが、肺がんリスクの低減方法となりえることを示している」とWu医学博士は述べた。

 

さらに、「従来、血糖指数は、糖尿病の予防と管理だけが強調されていました。しかし、今回の試験結果が確証されたら、医療提供者には血糖指数と肺がんの関連を認識してもらい、肺がん予防と食生活変化について患者と一般の人々とコミュニケーションを図れるようにするべきです」とWu医学博士は付け加えた。

Wu医学博士は、本調査に一定の限界があることを認めている。まず、後ろ向き試験では食事摂取について参加者の記憶と報告に誤りが出やすい点である。また、今回の調査では、患者が糖尿病、高血圧症、または心臓疾患かのいずれであるかの情報を含んでいなかったことである。

 

「血糖指数が高い食事と糖尿病との間に因果関係があるとすれば、この関係は、今後の研究でさらに注目されることが確実です」とWu氏は述べた。

 

本試験の一部は、米国国立衛生研究所(NIH)、テキサス州立がん予防研究所、MDアンダーソンのthe Center for Translational and Public Health Genomicsへの組織的サポート、およびthe NCI R25T Postdoctoral Fellowship in Cancer Preventionにより、一部資金援助を得ている。Wu氏は、利益相反状態にないことを宣誓している。

 

原文掲載日

翻訳大木勝弥

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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