ヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんの新たな病期分類をMDアンダーソンの研究者らが提案 | 海外がん医療情報リファレンス

ヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんの新たな病期分類をMDアンダーソンの研究者らが提案

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんの新たな病期分類をMDアンダーソンの研究者らが提案

中咽頭がんに対する現行の病期分類システムは不十分――本研究は、上咽頭がんにおける「N」カテゴリーに基づく病期分類がより正確な予測につながることを示す初めての研究である

MDアンダーソンがんセンター

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)の状態は口腔咽頭がん患者の強力な予後予測因子であるが、HPV陽性口腔咽頭がんと、アルコールや喫煙が一般的な原因となるHPV陰性口腔咽頭がんの生物学的差異および臨床的差異を表すのに現行の病期分類システムは適切ではない。HPV関連口腔咽頭がんの発生率が急速に上昇していることから、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、患者の予後をより正確に予測し、最も適切な治療法を決定するため、新たな病期分類システムを提案している。

 

現在刊行されているJournal of Clinical Oncology誌に掲載されている研究記事では、MDアンダーソンがんセンターの研究者によって、さまざまながん種の病期分類を行うため国際的に最も一般に用いられている分類法である現行のTNM病期分類に基づいた新たな病期分類基準が検討されている。現行のTNM病期分類システムは、原発腫瘍(Tカテゴリー)、がんの隣接リンパ節への到達有無(Nカテゴリー)、転移(Mカテゴリー)に基づいている。定説によると、TNM病期分類法は有用で、4つの特徴を有している。

 

• 「T」カテゴリーおよび「N」カテゴリーで定義されるグループにおける患者の生存率は同等である
• 生存率はグループごとに著しく異なる
• 転帰を正確に予測できる
• グループ間の患者分布は均衡が取れている

 

研究者らは、2003年1月~2012年12月にMDアンダーソンがんセンターで治療を受けた患者660人以上から得たデータを用い、現行のTNM病期分類がHPV陽性口腔咽頭がん患者においても基準を満たすかどうか適用してみたところ、同基準には満たなかったことを明らかにした。グループごとの生存率に差は見られず、患者分布も均衡を欠いており、さらに現行の分類法では、患者の大半がステージ4の疾患を有すると分類されたという。こうしたことから、研究者らは、改定版病期分類システムの開発を試み、HPV関連口腔咽頭がん患者を分類した。

 

「病期分類は、治療計画をデザインするための重要な要素であり、患者の予後の予測や理解に役立つものです」と、同研究記事の責任著者であり、MDアンダーソンがんセンター頭頸部外科部教授であるErich M. Sturgis医師は述べる。「HPV陽性口腔咽頭がん患者は、HPVに関連しない口腔咽頭がん患者よりも進行した疾患状態を呈する傾向にありますが、一般的に生存率は良好です。HPV陽性口腔咽頭がんとHPV陰性口腔咽頭がんは非常に異なる疾患であるため、病期分類法も分ける必要があります」。

 

この数十年間、舌根、扁桃、軟口蓋、咽頭壁を含む中咽頭のがんであるHPV関連口腔咽頭がんの患者数は急激に増加している。米国がん登録のデータによると、同国では毎年、11,000人を上回る口腔咽頭がん患者の約72%がHPV感染歴と関連している。アメリカがん協会(ACS)によると、HPV関連口腔咽頭がんの発生率は、女性よりも男性の方が5倍高く、HPVに関連しない口腔咽頭がんと診断される患者は高齢者に多いものの、HPV関連口腔咽頭がんは40~50代の患者に発生しやすいという。

 

HPV関連口腔咽頭がん患者集団の生存率を予測するため、研究者らが従来とは異なる病期分類を検討したところ、現行の病期分類における「T」カテゴリーは最も重要であり、「N」カテゴリーは予測に有効ではないと考えられることが明らかにされた。そのため、口腔咽頭がんにおける「N」カテゴリーの代わりに、別のウイルスに関連する咽頭がんである上咽頭がん(NPC、喉の上部や鼻の奥に発生するがん)における「N」カテゴリーを用いた。HPV陽性口腔咽頭がん患者の生存率予測に「N」カテゴリーを代用しても「T」カテゴリーは最も重要であったが、上咽頭がんにおける「N」カテゴリーも生存率予測に重要な因子となった。上咽頭がんにおける「N」カテゴリーをHPV陽性口腔咽頭がんに適用したのは本研究が最初である。

 

こうしたことから、MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、従来の口腔咽頭がんにおける「T」カテゴリーと上咽頭がんにおける「N」カテゴリーの両方を用い、新たな病期分類を作成した。

 

• T1およびN0~N2であればステージ1A、T2およびN0~N2であればステージ1Bとし、ステージ1疾患の患者を2つのグループに分ける
• T1~T2およびN3またはT3およびN0~N3であればステージ2
• リンパ節転移の有無に関わらずT4であればステージ3
• M1であれば常にステージ4

 

この新たな分類法により、HPV陽性口腔咽頭がん患者の生存率に対して現行のTNM病期分類システムを適用するよりも、別の分類をした方がより適切であることが証明された。さらに、この新たな病期分類法を用いると、各ステージの死亡リスクが上昇し、ステージ3疾患患者の死亡リスクはステージ1A疾患患者よりも5倍上昇した。こうしたことから、新たな分類法は有用な病期分類の基準を満たすことを示している。

 

「われわれが検討した改訂版病期分類システムは、HPV陽性口腔咽頭がんには不十分であると考えられる現行のシステムに比べ、予測能力の高さを示しています」とSturgis医師は述べる。「われわれが得た知見は他の施設の患者でも検討される必要があるものの、TNM病期分類システムが進化するにつれて、上咽頭がんにおける「N」カテゴリーが従来の口腔咽頭がんにおける「N」カテゴリーの代わりになるという考えが強くなるであろうと感じています」。

 

今回、MDアンダーソンがんセンターが行った研究に参加したSturgis医師以外の著者は以下のとおりである:Kristina R. Dahlstrom, Ph.D.; Adam S. Garden, M.D.; William N. William Jr., M.D.; and Ming Yann Lim, M.D。

 

本研究は、MDアンダーソンがんセンター助成金No. CA016672を通して米国国立衛生研究所(NIH)から助成を受けた。また、本研究は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター中咽頭プログラムで行われ、Stiefel Oropharyngeal Research Fundから資金援助を受けた。

原文掲載日

翻訳重森玲子

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3アルコールとがんについて知ってほしい10のこと
  4. 4個別化医療(Precision Medicine)に...
  5. 5専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  6. 6アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  7. 7非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9ルミナールAタイプの乳がんでは術後化学療法の効果は認...
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他