T-DM1が過去に複数の治療法を受けたHER2陽性乳がん患者の全生存期間を改善(サンアントニオ乳がんシンポジウム2015) | 海外がん医療情報リファレンス

T-DM1が過去に複数の治療法を受けたHER2陽性乳がん患者の全生存期間を改善(サンアントニオ乳がんシンポジウム2015)

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

T-DM1が過去に複数の治療法を受けたHER2陽性乳がん患者の全生存期間を改善(サンアントニオ乳がんシンポジウム2015)

米国がん学会(AACR) プレスリリース

 

2種類以上のHER2標的治療(トラスツズマブ[商品名:ハーセプチン]+ラパチニブ[商品名:タイケルブ])を受けたにもかかわらず病態が進行したHER2陽性転移性乳がん患者のうち、トラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1[商品名:カドサイラ])投与を受けた患者では、医師の選択した治療法を受けた患者と比較して全生存期間中央値が改善したことが、2015年サンアントニオ乳がんシンポジウム(12月8~12日)で発表された第3相TH3RESA臨床試験結果により示された。

 

HER2を標的とする抗体薬物複合体であるT-DM1は、トラスツズマブ+タキサン併用療法後に病態が進行したHER2陽性転移性乳がん患者の治療薬として、2013年2月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た。

 

ベルギーのルーヴァン・カトリック大学内科腫瘍学教授のHans Wildiers医学博士は、「がん治療の基準として広く用いられてきた全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)ガイドラインでは最近、トラスツズマブ投与後のHER2陽性転移性乳がん患者の優先治療薬としてT-DM1を推奨するように変更された。つまり、この薬剤は、タキサン・ベース化学療法+トラスツズマブ、またはタキサン・ベース化学療法+トラスツズマブ+ペルツズマブ(パージェタ)のいずれかの併用療法を受けた後、転移疾患が進行した場合に広く使用されている。しかし、この治療が推奨される以前に二次治療以降の治療を受けた患者が数多く存在する。TH3RESAは、T-DM1が二次治療以降の治療を受けた患者においても有益性を示す可能性があるかどうかを確定するようにデザインされた」と述べた。

 

「以前公表したTH3RESA結果から、T-DM1により無増悪生存期間が2倍近くに延長することがわかった」とWildiers氏は続いて述べた。

 

「われわれは今回の研究で、過去に複数の治療法を受けたHER2陽性転移性乳がん患者において、T-DM1が実際に全生存期間を改善したことを明らかにしている。無増悪生存期間を改善する乳がん治療は複数あるが、それらは全生存期間を改善しておらず、対象患者は新しい治療選択肢を緊急に必要とするため、今回の結果はきわめて重要である」。

 

TH3RESAに参加したHER2陽性転移性乳がんの全患者602人は、過去にタキサンを含む化学療法を受け、転移疾患の診断後には、トラスツズマブおよびラパチニブを含むHER2標的治療法を2種類以上受けていた。

 

患者は、T-DM1投与群(3.6mg/kg、3週間ごと)、または医師の選択による治療法群に無作為に割り当てられた。

 

追跡調査中央値30.5カ月後、全生存期間中央値はT-DM1投与群患者404人で22.7カ月であり、医師の選択治療法群患者198人の15.8カ月に比べて有意に延長した。

 

全生存期間の有益性は、患者の年齢、ホルモン受容体の状態、内臓転移、前治療法の種類の数に関係なく確認された。

 

グレード3以上の有害事象発生率は、医師選択治療法群がT-DM1投与群より高かった(47.3%対40.0%)。

 

Wildiers氏は、「T-DM1投与群では全生存期間中央値が改善しただけでなく、グレード3以上の副作用発生率が低かった。これらの患者が低毒性で長く生存したという事実から、T-DM1はHER2標的治療法を2種類以上受けた患者においても、有用な治療選択肢となることを示唆する」と述べた。

 

この研究はロシュ社の支援による。Wildiers氏の研究施設は、同氏が行う全国的会議での講演、コンサルティング業務に対する報酬、および学術調査に対する無制限の研究助成金をロシュ社より受けている。

 


 


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

原文掲載日

翻訳岐部幸子

監修原 文堅(乳腺科/四国がんセンター)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3アルコールとがんについて知ってほしい10のこと
  4. 4個別化医療(Precision Medicine)に...
  5. 5専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  6. 6アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  7. 7リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  8. 8非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  9. 9ルミナールAタイプの乳がんでは術後化学療法の効果は認...
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他