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高リスク神経芽細胞腫に対する免疫療法の新たな投与方法により小児患者の疼痛が軽減

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高リスク神経芽細胞腫に対する免疫療法の新たな投与方法により小児患者の疼痛が軽減

米国がん学会(AACR) プレスリリース

 

再発・難治性の高リスク神経芽細胞腫の小児の治療で、ch14.18/CHO抗体(欧州で開発されているタイプのジヌツキシマブ[dinutuximab]であるジヌツキシマブ-beta)を長期注入(LTI)で他剤との併用で用いると、現在標準の短期注入(STI)治療で発生する主な副作用である神経因性疼痛を軽減することが、CRI-CIMT-EATI-AACR国際がん免疫療法会議(9月16日~19日)で発表された第1/2相臨床試験の結果から明らかになった。

 

「神経芽細胞腫は、死亡率の最も高い小児がんのうちの一つです」と、ドイツ、グライフスヴァルト大学医学部小児科教授および部長のHolger N. Lode医学博士は述べる。「FDAに承認された神経芽細胞腫に対して特異的に働くモノクローナル抗体ch14.18を、インターロイキン2と13-cis-レチノイン酸[13-cis-RA]とを併用する治療は、米国で神経芽細胞腫の患者さんに有効性を示しています」。

 

「欧州では、欧州の慈善基金の資金援助を受けているヨーロッパ神経芽腫研究グループ(SIOPEN)の委託により、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)胞を利用してch14.18を再製造し、さらにApeiron社が開発を行っています。ジヌツキシマブ-betaは、最初、第1相臨床試験での安全性の評価において忍容性が確認され、20mg/m2の8時間注入を5日間連続で行うSTIレジメンで活性を示しましたが、重度の神経因性疼痛がみられました」と、Lode氏は述べた。

 

ch14.18抗体は、GD2を標的とする。GD2は神経芽細胞腫に多く発現する分子で、正常な組織で発現するのは痛みを伝達する神経線維などに限られている。したがってch14.18抗体の投与は、神経芽細胞腫の患者にとって重大な副作用である痛みの誘発に関連している、とLode氏は説明する。

 

「STIに耐えるには、大量のモルヒネの静脈内投与が必要です。さらに、炎症性の副作用の発生率が非常に高いです。われわれは、高リスク神経芽細胞腫の患者において、抗体注入時間を十分に延長[LTI]することで、臨床活性と効果を維持しながら良好な忍容性が得られると仮定しました」と、Lode氏は言う。

 

同氏はまた、「われわれの研究では、抗体の投与方法をSTIからLTIに変更すると、さまざまなバイオアッセイにおいてch14.18/CHOが、6カ月間コンスタントに免疫調節効果と神経芽細胞腫の破壊を仲介する能力を示したように、全治療期間を通じて効果的な薬物濃度が維持される一方で、本来の標的である(on-target)[痛み]と本来の標的とは異なる(off-target)[炎症]の副作用が顕著に減少しました」と、述べた。

 

進行中の第2相SIOPEN試験(APN311-202)と、終了している単施設試験(APN311-303)の2試験において、Lode氏と研究チームはそれぞれ44人と53人の再発・難治性の高リスク神経芽細胞腫の患者を組み入れた。LTIで、ch14.18/CHOの1サイクル総投与量100mg/m2を、連続した10日間かけて持続投与した。5週間の間隔で5サイクル行った。また全患者は、インターロイキン2と経口で13-cis-レチノイン酸の投与を受けた。
妥当性があり、年齢別に調整された痛みのスコアシステムを用いて、両親および医療チームにより1日3回痛みの判定が行われ、それにより研究者らは治療に関連する痛みの評価を行った。また、各サイクルで静脈内投与によるモルヒネの1日量を患者毎に記録した。研究者らは、LTI試験から得られた痛みのデータおよび有害事象を、過去に発表された研究で、ジヌツキシマブのSTI投与を行った神経芽細胞腫患者のデータと比較した。再先端の初発または再発治療を行った患者からの臨床試験データを統合して求められた全生存率(OS)と無増悪生存率(PFS)を、歴史的な標準と比較した。

 

痛みの評価スコアと静脈投与によるモルヒネ量の分析から、ch14.18/CHOのLTIでの投与は、STI治療を行った小児患者の過去の試験データと比較して、痛みの軽減と関連していることを示した。またLode氏によるとLTI群では、STI群と比較して嘔吐の頻度が同程度であったことを除いて、グレード3以上の有害事象の頻度は減少した。

 

中央値で2.9年の追跡後、SIOPENコホートで、LTI治療を受けた患者の1年および4年の全生存率はそれぞれ94%と61%であった。過去の報告ではそれぞれ56%と14%であった。

 

中央値で2.8年の追跡後、SIOPENコホートで、LTI治療を受けた患者の1年および4年の無増悪生存率はそれぞれ54%と32%であった。過去の報告ではそれぞれ19%と8%であった。

 

「これは神経芽細胞腫の子供達にとって大きな第一歩です」と、Lode氏は述べる。「今回のデータは重要な基準となります。STIとLTIを比較するランダム化比較臨床試験で、さらに検証が必要でしょう」。そうすることで、直接比較のためのSTI治療群が不在であった今回の試験の限界を解決するだろうと同氏は説明する。

 

本試験は、小児腫瘍医による研究グループSIOPEN-R-NET、Hector-Stiftung、グライフスヴァルト大学医学部、ドイツ小児がん基金、PolymunScientific社、Apeiron Biologics社、欧州での寄付などから資金提供を受けた。Load氏は、Apeiron Biologics社の顧問である。

 

原文掲載日

翻訳平沢沙枝

監修寺島慶太(小児血液・神経腫瘍/国立成育医療研究センター 小児がんセンター)

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