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FDAがハイリスク神経芽細胞腫に対する初の治療薬ジヌツキシマブを承認

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FDAがハイリスク神経芽細胞腫に対する初の治療薬ジヌツキシマブを承認

米国食品医薬品局(FDA)ニュース

速報

米国食品医薬品局(FDA)は、幼児に最も多く発症するがんの一種であるハイリスク神経芽細胞腫の小児患者に対する初回治療の一環として、ジヌツキシマブ[dinutuximab](商品名:Unituxin)を本日承認した。

 

神経芽細胞腫は、未熟な神経細胞から形成される希少がんの一種である。通常は副腎から発生するが、腹部、胸部または脊椎付近の神経組織にも発症することがある。神経芽細胞腫は、5歳未満の幼児に発症する特徴がある。米国国立癌研究所(NCI)によると、神経芽細胞腫は約10万人に1人の割合で発症し、男児での発症の方がわずかに多い。米国では毎年、推定650例が新たに神経芽細胞腫と診断されている。ハイリスク神経芽細胞腫患者が長期生存する見込みは、積極的治療にもかかわらず40~50%である。

 

ジヌツキシマブは神経芽細胞腫の細胞表面に結合する抗体の一種である。ジヌツキシマブは、以前に初回治療として多剤・集学的治療を受け、少なくとも部分奏効を示した患者を対象に、外科手術、化学療法および放射線治療を含む集学的治療計画の一環として使用することで承認されている。

 

「ジヌツキシマブはハイリスク神経芽細胞腫患者に特化した療法を目指した初めての承認治療となりました」。FDAの薬剤評価・研究センターの血液学・腫瘍学製品部長であるRichard Pazdur医師は話した。「ジヌツキシマブは、ハイリスク神経芽細胞腫の子供たちの生存期間を延長させるという治療の選択肢を提供することで、重要なニーズを満たしています」。

 

FDAはジヌツキシマブに優先審査とオーファンドラッグ指定を認めた。優先審査は薬剤承認申請の審査にかかる概算時間を標準審査より4カ月間短縮するもので、承認により深刻な状態にある患者の治療の安全性または有効性に顕著な改善をもたらすであろう薬剤に認められる。オーファンドラッグ指定は希少疾患治療を目的とした薬剤に与えられる。この承認とともに、FDAはUnited Therapeutics社に希少小児疾患の優先審査バウチャーを交付した。このバウチャーを受けることにより、優先審査の資格がないような疾患での、その後の薬剤承認申請への優先審査が認められるようになる。これは希少小児疾患審査バウチャープログラム施行以来、FDAにより認められた2番目の優先審査バウチャーである。このプログラムは、ある種の希少小児疾患の予防や治療のための新しい治療法の発展を推奨することを目的としている。

 

ジヌツキシマブの安全性および有効性はハイリスク神経芽細胞腫の小児患者226例を対象とした臨床試験で検討された。対象患者は、多剤化学療法および外科手術後に実施した追加の強化化学療法後に腫瘍の縮小または消失がみられ、その後に骨髄移植と放射線治療を受けた者とした。試験参加者は、経口レチノイド化合物isotretinoin(RA)単剤群または、ジヌツキシマブと、免疫系を刺激することでジヌツキシマブ活性を強化するといわれるIL-2およびGM-CSFと、RAとの併用群に無作為に割り付けられた。

 

試験開始3年後、生存し腫瘍増殖または再発が認められなかった患者の割合は、ジヌツキシマブ併用療法群63%に対し、RA単剤群では46%であった。生存率の最新解析では、ジヌツキシマブ併用療法群73%に対し、RA単剤群では58%であった。

 

ジヌツキシマブの添付文書には、患者および医療従事者に対する警告欄を記載して、本剤が神経細胞を刺激して静脈内麻酔剤による治療を必要とするほどの重大な疼痛を引き起こす可能性、神経損傷や投与中または投与完了直後に、上気道腫脹、呼吸困難、低血圧を含む重篤な注入部位反応を起こす可能性について警告している。ジヌツキシマブはまた感染症、眼障害、血中電解質異常、および骨髄抑制などの重篤な副作用を起こすおそれがある。

 

ジヌツキシマブで最もよくみられる副作用は、激痛、発熱、血小板数減少、注入部位反応、低血圧、血中塩濃度低下(低ナトリウム血症)、肝酵素上昇、貧血、嘔吐、下痢、血中カリウム濃度低下、毛細血管漏出症候群(血管から血漿やその他の血液成分が付近の体腔や筋肉内に大量に漏出することを特徴とする)、感染症防御に働く白血球数の減少(好中球減少症およびリンパ球減少症)、蕁麻疹および血中カルシウム濃度低下である。

 

ジヌツキシマブ(Unituxin)はメリーランド州、シルバースプリングにあるUnited Therapeutics社が販売している。

原文掲載日

翻訳大澤 朋子

監修辻村 信一(獣医学/農学博士、メディカルライター)

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