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胃癌に関する遺伝子変異を調査し、個別化医療への道を開く

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胃癌に関する遺伝子変異を調査し、個別化医療への道を開く

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AFCR援助による国際共同研究

国際研究者チームがこのほど明らかにした新たな遺伝学的見解によって、癌専門医の胃癌治療法が変わる可能性がある。胃癌は世界で第4位に多い癌であり、癌の死因の第2位である。この共同研究は、Asian Fund for Cancer Research (AFCR)の援助を受けている。

 

中国および米国の研究者らは高度な全ゲノム配列決定技術を用い、数百個の胃癌組織標本を調査した。解析により、3種類の細胞シグナル経路(BRCA2、Wnt およびPI3-K-ERBB4)の異常など、胃腫瘍の化学療法への奏効に影響を及ぼす可能性がある多数の重要な遺伝子シグネチャーが同定された。

 

これらの遺伝子異常を標的にした多くの治療薬が現在、使用可能であり、乳癌や卵巣癌など、胃癌以外の癌種においてはすでに試験が実施されている。今回の研究は、胃癌患者においてもこうした治療薬が有効となる可能性を示唆している。さらに、一部の胃癌患者においては自分の遺伝子によって決められる特定の治療を受けられる、すなわち「個別化医療」と称されるアプローチが可能になることも考えられる。

 

本プロジェクトは、2007年よりAFCR が援助しているTissue Bank Consortium in Asia (TBCA)の一部である。TBCAは、米国のNational Foundation for Cancer Research (NFCR)が設立した共同プラットフォームであり、生物検体を中心とした国際的癌研究を助成、推進し、さまざまな癌種に関する個別化癌医療の進展を加速させることを目的としている。TBCAの一環として大きな成功を収めた本プロジェクトは、胃癌患者における個別化医療実現への重要な一歩である。

 

この研究結果は橋渡し研究として意義が大きい。また、今回の研究で同定された遺伝子異常を標的とする治療法が現行の癌標準治療よりも効果的であることが証明される可能性があることから、今回の研究結果の正当性が検証されれば、すみやかに患者の臨床的有益性につながるであろう。

 

AFCR 代表Sujuan Ba博士は次のように述べている。「胃癌は致命的な病気である。とりわけ、胃癌発生の半分以上を占める東アジアの患者にとっては。研究者、組織や国レベルでも単独では癌を克服することはできない。われわれAFCRは、胃癌、その他いかなる癌種でもそれを克服するためには共同研究が重要であると認識している。本プロジェクトは数々の優れた成果を上げているが、それらは地理的境界を超えて資金や専門技術を集めて成し得た成果である。われわれは今後も継続してアジア、そして世界中の癌患者のために治療法の開発を加速させ、有望な共同研究の支援に全力で取り組む構えである」。

 

研究結果は1月12日付で電子版Proceedings of National Academy of Sciences誌にて公表された。

 

国際共同研究パートナー:
天津医科大学癌研究病院(中国)、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター(米国)

 

北京ゲノム研究所(中国)、香港中文大学(香港)、エモリー医科大学(米国)、メイヨー・クリニック(米国)、アムジェン(米国)、イーライリリー・アンド・カンパニー(米国)、アッヴィ(米国)、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(米国)、ルドウィッグ癌研究所 (米国)、オハイオ州立大学(米国)、米国癌研究基金 (米国)、アジア癌研究基金 (香港)、コペンハーゲン大学(デンマーク)、ピッツバーグ大学(米国)

 

Asian Fund for Cancer Researchについて

 

The Asian Fund for Cancer Research, Ltd.(AFCR)は、アジアの人々に重大な影響を及ぼす癌の治療に尽力する非営利団体である。香港を拠点とするAFCRの位置づけは他に類を見ないものである。すなわち、世界中から集められる最新癌研究の発見や科学技術をアジアで実践し、革新的な遺伝学的、分子学的研究を通してアジア人特有の癌の原因を調査し、アジアの癌患者に合わせたより効果的な治療を開発することを目的としている。AFCRは、癌研究と公教育における国際共同研究の推進、調整、資金援助を通して、アジア諸国と世界の他の国々との間の、癌の研究と予防に関する科学的、教育的格差の解消に専念している。われわれはアジアにおける癌の発生率の減少および生存率の上昇に全力で取り組んでいる。

詳細情報および電話による問い合わせ:
www.AFCR.org.hk
(852) 2156 9684

 

Tissue Bank Consortium in Asia (TBCA)について

TBCAは生物試料を中心とした国際癌研究を助成、推進する共同プラットフォームである。TBCAは、米国および中国のトップ研究機関、癌専門病院および医療業界の主要研究者から成る実行運営委員会により運営される。活動にあたり、生物検体の収集およびデータ解釈に関する最高の国際基準を完全に遵守している。TBCA はこれまでAFCRの援助を受け、地理的境界を超えた癌研究における官民提携と産学共同研究の新しいモデルを確立している。

 


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原文掲載日

翻訳岐部幸子

監修小坂泰二郎(乳腺外科/順天堂大学附属練馬病院)

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