FOLFOXIRI+ベバシズマブで転移性大腸癌患者の生存率が2倍に

キャンサーコンサルタンツ

転移性大腸癌患者に対する4剤化学療法レジメン+ベバシズマブ(アバスチン)治療は、標準的な3剤レジメン+ベバシズマブと比較すると生存率が2倍になるという臨床試験結果が、サンフランシスコで開催された2015年消化器癌シンポジウムで発表された。

米国癌協会によると、2013年、米国で新たに大腸癌と診断されたのは102,000人以上、また直腸癌と診断されたのはおよそ40,000人だという。また、50,000人以上がこれらの疾患により死亡した。しかしながら、米国では大腸癌に関する良い報告もある。大腸癌による死亡率は過去15年間低下し続けており、検診、予防、また治療における技術は進歩し続けている。しかし不幸なことに、初期治療に失敗し、転移性疾患が増悪する人も多くいる。転移性大腸癌のさらなる予後改善には、継続した治療薬の開発が不可欠である。

イタリアの医師らによる今回の研究に75歳未満の転移性大腸癌患者508人が参加した。そのうち、256人の患者はロイコボリン+フルオロウラシル(5-FU)+イリノテカン(カンプトサール)+オキサリプラチン(エロキサチン)(FOLFOXIRI)+ベバシズマブ治療群にランダムに割り付けられた。残り252人の患者はロイコボリン+フルオロウラシル+イリノテカン(FOLFIRI)+ベバシズマブ治療群にランダムに割り付けられ、それぞれ治療を行った。そして、転帰を直接比較した。

無増悪生存期間は、FOLFIRI群9.7カ月に対してFOLFOXIRI群では12.3カ月と、わずかに改善された。しかしながら患者の5年生存率はFOLFIRI+ベバシズマブ群でわずか12.4%であったのに対し、FOLFOXIRI+ベバシズマブ群では24.9%と、有意に延長した。

「FOLFOXIRI+ベバシズマブ化学療法はFOLFIRI+ベバシズマブ化学療法と比較して、5年生存率がおよそ2倍になります」と、Cremolini氏はシンポジウムに先立って行われた会見で述べた。「FOLFOXIRI+ベバシズマブ化学療法は転移性大腸癌の最新治療にふさわしい有効な選択肢です」と述べたあと、より厳しい治療が毒性の増加にも関連するが、それはコントロール可能であると付け加えた。しかしながら、この治療法は75歳以上の患者、あるいは70~75歳で健康状態が好ましくない患者には適さない可能性がある。

転移性大腸癌の第一選択化学療法レジメンとして、最も広く用いられている2つの化学療法はFOLFIRI化学療法とFOLFOX(ロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン)化学療法である。これらの化学療法にベバシズマブを追加すると、化学療法のみと比較して生存率が改善されることはすでに明らかになっている。

本試験により、忍容性がある進行大腸癌患者に対して、FOLFOXIRI+ベバシズマブ化学療法は安全かつ有効な選択肢だということが明らかになった。

参考文献:

Cremolini C, Loupakis F, Masi G, et al. FOLFOXIRI plus bevacizumab (bev) versus FOLFIRI plus bev as first-line treatment of metastatic colorectal cancer (mCRC): Updated survival results of the phase III TRIBE trial by the GONO group. J Clin Oncol. 33, 2015 (suppl 3; abstr 657).

監訳者注:第3三段落には原文に間違いがあったと思われ、学会発表された際の抄録(http://meetinglibrary.asco.org/content/139397-158)を確認した結果、この段落は監訳者が実際の抄録に沿って修正を加えております。


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翻訳担当者 宮本満里

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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