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予防的全脳照射が非小細胞肺癌患者の生存期間を延長させる証拠は未だにない

キャンサーコンサルタンツ

ステージⅢの非小細胞肺癌患者にとって、予防的全脳照射は脳転移の危険性を低減させるが、記憶障害の危険性を伴い、全生存率を改善するように見えない。これらの結果はJournal of Clinical Oncology誌で発表された。

 

肺癌は米国における癌死亡の首位のままである。非小細胞肺癌(NSCLC)はすべての肺癌の約85%を占める。

 

NSCLCにおいて、脳は転移する部位の1つである。脳転移は生存および生活の質に計り知れない影響を与える可能性がある。

 

予防的全脳照射(PCI)とは、脳転移が明らかになる前の脳へ放射線を照射することを言う。PCIの目標は、脳転移の予防である。以前の研究では、PCIが脳転移の発生を抑えることが可能であることが示されたが、副作用に対する懸念とPCIが生存期間を延長するという証拠に欠けていることから、PCIはNSCLC治療の標準治療にはなっていない。

 

局所的に進行したNSCLCの治療におけるPCIの役割についてさらに調査するため、研究者はステージIIIAまたはIIIBのNSCLC患者において第3相臨床試験を行った。研究者は、初めは、1000人以上の患者を参加させることを計画していたが、NCSLCは脳転移遅発型であるため、356人の患者しか参加させられなかった。研究参加者は、PCIまたは観察のどちらかに割り付けられた。研究の主目的は、PCIが全生存を改善するかどうかを決定することである。

• 脳転移は、PCIグループの7.7%の患者と観察グループの18%の患者に発生した。
• 1年全生存率は、PCIグループの患者では75.6%であり、観測グループの患者では76.9%であった。
• PCIグループの患者は記憶衰退を経験する傾向にあった。

 

グループの間には、生存率に有意差はなかったが、研究者は「より長期の追跡調査で延命効果が明らかになり得る」と述べている。

 

要約すると、予防的全脳照射はNSCLC患者において脳転移の危険性を低減させるが、記憶障害を引き起こし、全生存率を改善しない可能性がある。研究者は現時点では「[局所的に進行した]NSCLC患者における延命効果の証拠はないため、PCIは本研究あるいは有効データに基づいた標準的治療としては推奨されない」と述べている。

 

参考文献:
Gore EM, Bae K, Wong SJ et al. Phase III comparison of prophylactic cranial irradiation versus observation in patients with locally advanced non-small-cell lung cancer: primary analysis of Radiation Therapy Oncology Group Study RTOG 0214. Journal of Clinical Oncology. 2011;29:272-278.
Sun A, Bae K, Gore EM et al. Phase III trial of prophylactic cranial irradiation compared with observation in patients with locally advanced non-small-cell lung cancer: neurocognitive and quality-of-life analysis. Journal of Clinical Oncology. 2011;29:279-286.

 

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翻訳林 くれは

監修中村 光宏(医学放射線/京都大学大学院医学研究科)

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