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ラパニチブのFDA承認

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ラパニチブのFDA承認

原文 2011/1/14更新

商標名:Tykerb®

ホルモン陽性、HER2陽性進行乳癌への承認(2010/01/29)
HER2過剰発現乳癌への承認(2007/03/13)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

ホルモン陽性、HER2陽性進行乳癌への承認
2010年1月29日、米国食品医薬品局(FDA)はトシル酸ラパチニブ錠剤(GlaxoSmithKline社製Tykerb®[タイカーブ])をレトロゾール(Novartis Pharmaceuticals社製Femara®[フェマーラ])との併用で、HER2が過剰発現するホルモン受容体陽性転移性乳癌でホルモン療法適用となる閉経後女性の治療薬として迅速承認しました。これまでラパチニブは、アロマターゼ阻害剤との併用において、転移性乳癌に対してトラスツズマブを含む化学療法と比較されたことはありませんでした。今回の承認は、EGF30008試験として知られている単一試験で、無増悪生存期間に臨床的に有意な改善が認められたことに基づくものです(臨床試験プロトコル概要参照)。

迅速承認の条件として、トラスツズマブ治療歴のある転移性乳癌患者に対するラパチニブの臨床効果を検証、評価するためにランダム化試験を続けていくことが求められています。

EGF30008は転移後に治療歴のないホルモン受容体陽性転移性乳癌患者をラパチニブ+レトロゾール投与群とプラセボ+レトロゾール投与群に割り付けた多国間ランダム化プラセボ対照試験です。対象患者はラパチニブ(1日1回1,500mg)+レトロゾール(1日1回2.5mg)投与群とプラセボ+レトロゾール(1日1回2.5mg)投与群に無作為に割り付けられました。対象患者1,286人の内訳は、219人(17%)がHER2陽性、952人(74%)がHER2陰性、115人(9%)がHER2受容体の状態が未確認でした。

迅速承認はHER2受容体を過剰発現する閉経後の転移性乳癌患者集団の試験結果が根拠となりました。主要評価項目は、無作為化日から腫瘍増悪を画像上で確認した日または原因に関わらず死亡した日までの期間である無増悪生存期間としました。ラパチニブ+レトロゾール併用群の無増悪生存期間中央値は35.4週間に対してプラセボ+レトロゾール群では13.0週間でした(HR 0.71、p=0.019)。全生存期間のデータは現時点ではまだ評価できるレベルに至っていません。

安全性データについてはホルモン受容体陽性閉経後転移性乳癌患者1,278人が評価の対象となりました。この試験対象集団のラパチニブの安全性プロファイルは過去の安全性データと一致しました。ラパチニブ+レトロゾール投与群に最もよくみられた(10%以上)有害作用は下痢、発疹、悪心および倦怠感でした。ラパチニブを投与した患者のうち、53%に肝酵素上昇の上昇、22%にビリルビン値の上昇が認められたことが報告されました。ラパチニブ+レトロゾールを併用投与した654人のうち、26人に左心室駆出率のグレード1または2の低下、6人にグレード3または4の低下が認められました。

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多和郁恵 訳
武田裕里子(薬学) 監修
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HER2過剰発現乳癌への承認
2007年3月13日、米国食品医薬品局(FDA)はトシル酸ラパチニブ錠剤(GlaxoSmithKline社製Tykerb® [タイカーブ] )をHer2(ErbB2)が過剰発現している腫瘍である進行性または転移性乳癌で、これまでにアントラサイクリン系薬剤、タキサン系薬剤およびトラスツズマブ(ハーセプチン®)などの治療を受けたことがある患者に対する治療のために、カペシタビン(ゼローダ®)と併用して使用することを承認しました。

カペシタビンと併用したトシル酸ラパチニブの有効性および安全性を乳癌患者対象としてランダム化臨床試験で評価されました(臨床試験プロトコル概要参照)。臨床試験の登録に関する選択基準に該当した患者は、HER2(ErbB2)が過剰発現した腫瘍(うち95%のErbB2がIHC法(免疫組織化学検査法)3+またはIHC2+で、さらにFISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション法)で確認された)を有するか、局所進行または転移乳癌で、タキサン系薬剤、アントラサイクリン系薬剤またはトラスツズマブなどによる治療後に増悪がみられた患者でした。

患者は、1日~21日にトシル酸ラパチニブ1250mgを1日1回及びカペシタビン2000mg/m2/日を21日毎に1日~14日併用投与する群か、カペシタビン単独を2500mg/m2/日を21日毎に1日~14日投与する群に、無作為に割り付けられました。

主要エンドポイントである無増悪期間(TTP)は無作為化割付日から腫瘍の進行まで、または乳癌による死亡までの期間として定義されます。324人の事前の中間解析の結果後に、予定していた528人のうち399人を登録した後、登録を中止しました。

中間解析4カ月後に更新された有効性解析(399人)には、独立審査委員会と臨床試験責任医師による評価の両方が含まれています。独立審査委員会に基づくTTP中央値は、トシル酸ラパチニブ併用群とカペシタビン単独投与群では、各々、27.1週及び18.6週間でした(HR 0.57, p=0.00013)。臨床試験責任医師による評価ではTTP中央値は、トシル酸ラパチニブ併用群とカペシタビン単独投与群,各々、23.9週間、18.3週間でした(HR 0.72、 p=0.00762)。奏効率は独立審査委員会の評価によると、トシル酸ラパチニブ併用投与群、カペシタビン単独投与群は、各々、23.7%、13.9%で、臨床試験責任医師の評価では、各々31.8%で、17.4%でした。この中間解析4カ月後の更新時では生存期間は十分に評価できませんでした。

トシル酸ラパチニブ併用投与群で認められた毒性はカペシタビン単独投与群で認められた毒性と類似していましたが、下痢、皮疹の発症率の上昇が併用投与群で認められました。併用投与による治療期間でもっとも頻度が高い有害反応は下痢(65%)、手足症候群(PPE、53%)、悪心(44%)、皮疹(28%)、嘔吐(26%)および倦怠感(23%)でした。

併用投与群の患者に5%以上の頻度で発生したグレード3またはグレード4の有害事象は下痢(13%)およびPPE(12%)でした。併用投与群の2%に,一般的には可逆的な左心室機能の低下が認められました。トシル酸ラパチニブを使用した場合、心電図上でQ波の始まりからTの終わりまでの時間の延長が認められました。Torsade de Pointes(心室の頻脈)は報告されていません。

トシル酸ラパチニブの推奨用量は1250mg(5錠)で、カペシタビン2000mg/m2/日(12時間毎に2回用量に分けて経口投与)を21日間サイクルのうちの1日~14日投与に併用して,21日間1日1回経口投与します。トシル酸ラパチニブは食事の少なくとも1時間前か1時間後に服用しなければならなりません。カペシタビンは食事中、または食後30分以内に服用しなければならなりません。トシル酸ラパチニブは1日1回服用しなければならず、1日量を分割して服用することは勧められていません。治療は疾患が増悪するか耐えられない毒性が発生するまで継続しなければならなりません。

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有田香名実 訳
瀬戸山修 監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。
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