新規分子標的薬セディラニブ+オラパリブの併用療法は再発性卵巣癌患者の無増悪生存期間を有意に延長させる | 海外がん医療情報リファレンス

新規分子標的薬セディラニブ+オラパリブの併用療法は再発性卵巣癌患者の無増悪生存期間を有意に延長させる

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新規分子標的薬セディラニブ+オラパリブの併用療法は再発性卵巣癌患者の無増悪生存期間を有意に延長させる

米国臨床腫瘍学会(ASCO) ASCO2014

 <治療が困難な一般的な4癌種に対する有望な分子標的薬(ASCO2014)> 折畳記事

 

この要約には演題抄録に含まれない更新情報が含まれています。

 

2種類の研究中の経口薬であるPARP阻害剤オラパリブと血管新生阻害剤セディラニブの併用療法はオラパリブ単剤療法と比べて、白金系抗癌剤感受性再発卵巣癌やBRCA遺伝子変異のある卵巣癌に対して有意に活性を示すことが、連邦政府およびNCIが資金供与する臨床第2相試験の結果で示された。併用療法患者の無増悪生存期間(PFS)は17.7カ月で、オラパリブ単剤療法患者では9カ月だった。

 

「本併用療法は標準的化学療法に代わる有効な治療選択肢になる可能性があることが、私たちが本併用療法で確認した顕著な効果から示唆されます」と筆頭著者であるJoyce Liu医師(公衆衛生学修士、ダナ・ファーバー癌研究所(マサチューセッツ州ボストン)腫瘍内科指導医)は述べた。「ですが、いずれの薬剤も現在のところ卵巣癌やその他の癌の治療薬としてFDAによる承認を受けていないため、本併用療法は臨床現場で使用するにはまだ準備が整っていません。本臨床試験の結果を裏づけるために、どの程度本併用療法が標準的治療法に匹敵するのかを検証するさらなる臨床試験を実施する必要もあります」。

 

PARP阻害剤と血管新生阻害剤の併用療法が卵巣癌に対する臨床試験で評価されたのは本臨床試験が初めてである。(PARPは、DNA損傷修復などの細胞内の多くの機能に関与する酵素である。PARPを阻害することで、癌細胞を死滅できる可能性がある。血管新生阻害剤は腫瘍内の血管増殖を阻害する)本臨床試験により、オラパリブとセディラニブが相乗的に作用する(お互いがより活性を高めるように、連携して作用することを意味する)ことを示唆した前臨床試験が確認された。Liu氏らは 、PARP阻害剤と血管新生阻害剤の併用療法がオラパリブ単剤療法と比べて高い活性を示すことを臨床現場で確認するために本臨床試験を計画した。

 

高分化度の漿液性卵巣癌患者のうち80%もが、最初の化学療法に反応した後でも再発する。卵巣癌が再発すると、骨盤や腹部、あるいは肺にも転移するため、その根治ははさらに困難になる。再発性卵巣癌に対する現在の標準的治療法は化学療法であるが、しばしば重篤な副作用を引き起こす。化学療法が最初のうちは反応しても、最終的にはそれに対する耐性が生じる。それ故研究者らは分子標的薬を使用した別の治療レジメンを研究しながら、この様な薬剤耐性の克服に結びつくことを最終目標としている。

 

白金系抗癌剤感受性(白金製剤を含む化学療法に反応する癌)の高分化で漿液性またはBRCA遺伝子変異のある再発卵巣癌患者90人を、オラパリブ単剤療法患者とオラパリブ+セディラニブの併用療法患者に無作為に割り付けた。患者には、再発卵巣癌に対する血管新生阻害剤の治療歴やPARP阻害剤の治療歴がなかった。

 

腫瘍縮小率は併用療法患者の方が、オラパリブ単剤療法患者よりも顕著に高かった(前者:80%、後者48%)。併用療法患者5人とオラパリブ単剤療法患者2人は完全奏効を得た。併用療法は顕著に増悪を遅延させた。併用療法の無増悪生存期間は17.7カ月で、オラパリブ単剤療法のそれは9カ月であった。白金系抗癌剤感受性卵巣癌に対する標準的化学療法に関する従来の臨床試験では、無増悪生存期間は8~13カ月であることが示されている。

 

ある程度の副作用(高血圧、倦怠感、下痢)が併用療法患者でより高頻度に生じたが、通常は対症療法や必要なら用量減量することで管理することができた。

 

PARP阻害剤は白金系抗癌剤感受性卵巣癌患者もしくはBRCA遺伝子変異のある卵巣癌患者のいずれかに対して最大の活性を示す傾向にあることが、従来の臨床試験から示唆されている。本併用療法が既知のBRCA変異が無い卵巣癌患者に対しても活性を示すと思われることが本研究の探索的解析から示唆された。本併用療法が白金系抗癌剤抵抗性卵巣癌患者にも同様に有効かを研究するのは理にかなっているとLiu氏は述べた。

 

本臨床試験は、米国国立衛生研究所所属米国国立癌研究所による支援を受けた。

 

*Liu氏は、2008年ASCOがん克服基金若手研究者賞の受賞者である。

 

ASCOの見解:
「セディラニブとオラパリブの併用療法により奏効率は有意に上昇したものの毒性の発現頻度も高くなった、。この奏効が生存期間の延長につながるかどうかは追跡調査がさらに必要です」とDon S. Dizon医師(米国内科学会名誉上級会員、ASCO専門家)は述べた。「しかし、本併用療法は、高分化の漿液性卵巣癌患者またはBRCA遺伝子変異のある卵巣癌患者に対する経口の非細胞毒性併用化学療法の治療選択肢を示しており、当然ですがさらなる研究が望まれます」。

 

抄録全文参照:http://abstracts.asco.org/144/AbstView_144_130933.html 

 

原文掲載日

翻訳渡邊岳

監修喜多川亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

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