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OncoLog 2014年4月号◆House Call「動物介在療法」

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OncoLog 2014年4月号◆House Call「動物介在療法」

MDアンダーソンがんセンター月刊OncoLog誌2014年4月号

MDアンダーソン OncoLog 2014年4月号(Volume 59 / Number 4)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

動物介在療法
動物との触れ合いは回復を助ける

ペットの存在は人の心を癒す。しかし、動物介在療法で訓練されたペット達は、癌や他の重い疾患からの回復期にある患者を、実際に手助けすることができる。動物介在療法の目的は、セラピストが、患者の肉体的、社会的機能、また情緒や認知機能を改善するのを補助することである。

 

動物介在療法とは?

重い病気やその治療で弱まった患者の回復機能を助けるために、多くのプログラムを通じて動物介在療法が提供されている。たとえばテキサス大学MDアンダーソンがんセンターでも、医師はWelcoming Animals Giving Support(WAGS)という動物による支援プログラムを通じて動物介在療法を患者に適用することができる。

 

毎週土曜日にボランティアのドッグハンドラー6~8人がそれぞれ犬を伴い、MDアンダーソンを訪れてWAGSプログラムに参加する。このイベントは今年10周年を迎える。参加する犬とハンドラー達は、動物介在療法の非営利団体Caring Crittersから資金援助を受け、幅広いトレーニングプログラムを受けている。

 

参加している犬種は現在のところ、ゴールデンレトリバー、シェパード、フォックステリア、プードル、ダックスフンドである。それぞれの犬は、患者が理学療法をやり遂げられるように特別な役割を果たす。たとえば、長時間の立ち仕事をする必要がある患者は、テーブルの上の小型犬の毛を梳いたり、なでたりすることだろう。また小型犬は患者の膝の上に丸まり、患者は撫でることで触覚や微細な運動機能の向上を図ることができる。バランス感覚を養いたい患者は、大型犬の綱を引いて散歩をする。また大型犬は、ものを投げて取ってこさせるなどのゲームを通して、患者の調節能力を向上させる役に立つ。

 

これらの利点

個別の治療目標を達成する助けとなることに加え、犬は患者にとって情緒面や社会性においても支えとなる。リハビリテーションサービス部門において 理学療法の責任者であるMarifel Malacara氏(P.D.、D.P.T)は、「ベッドを離れず、理学療法にも参加したがらない少年がいました。なんとか参加させようとすると、毎回泣き出しそうになるのです。そんな少年が、犬を目にするとはしゃいで活発になりました。その様子が大きく変わったことはびっくりするほどです」と語った。

 

犬は病院という環境を、家庭の雰囲気に近づける役割も果たし、患者は病院を出たときの生活に思いを馳せるようになる。また犬は患者を勇気づけ、元気に回復して家に帰って自分自身のペットに会いたいという意欲を高める。

 

研究では、犬は人間にとって積極的な生理学的効果をもたらす可能性を示してきた。ある試験では、ベータエンドルフィン、オキシトシン、そしてドーパミンなど-幸福感を増し、ストレスや不安の低減を促進する脳内化学物質-の濃度が、好ましい関係を築いた後の人間と犬の両方で増加することが示された。このような交流はまた、不安やストレスへの反応により放出される「ストレスホルモン」と呼ばれる物質(コルチゾール)を低減させる。

 

他の複数の試験では、ペットと触れ合ったあとの患者の痛みのレベルについて発表している。ある試験では、20分間じっと静かに座ったままの患者では、同じ時間だけ動物と触れ合っていた患者と比べて4倍の痛みを感じたことが見出された。動物との交流が痛みを和らげることに役立つ可能性があるため、動物介在療法を提供している多くの医療機関が、近く医療処置を受ける子供の気を紛らわせて慰めるために動物を用いている。

 

米国国立衛生研究所(NIH)では2008年に、人間と動物の間の相互作用を科学的に探求するために基金を設けた。

 

禁忌

しかしながら、動物介在療法は必ずしも全ての患者に適しているわけではない。アレルギー性疾患、白血球数の低値、感染症の管理の問題、また精神障害を有する患者は動物介在療法の対象からは外される。

 

犬自体は感染リスクとして関与していない。多くの動物介在療法プログラムと同様に、WAGSプログラムでは参加する犬に獣医による検査を義務付けている。また複数の研究も動物が院内感染率を上げることはないことを示している。2,381頭の犬がカリフォルニア州にあるハンチントン記念病院の1,690人の患者を訪問した試験では5年にわたる期間で、人畜共通感染症(動物から人間へ伝染する)が増加しなかったことが明らかとなった。

 

Malacara氏は動物介在療法では得られるベネフィットの方が、それに伴うリスクよりも遥かに勝ると信じている。「動物介在療法は、協調的で積極的なプログラムであり、特に癌患者さんに適しています。肉体的、精神的、そして情緒的なベネフィットをもたらします。犬と触れ合った患者さんの回復には目覚ましいものがあります。私たちの患者さんは土曜日の集まりを、本当に楽しみにしています」。

— J. Delsigne

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.

OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳岡田章代

監修辻村信一 (獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所)

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免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

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