OncoLog2014年2月号◆分子標的薬(palbociclib)が進行性乳癌に有望 | 海外がん医療情報リファレンス

OncoLog2014年2月号◆分子標的薬(palbociclib)が進行性乳癌に有望

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OncoLog2014年2月号◆分子標的薬(palbociclib)が進行性乳癌に有望

MDアンダーソンがんセンター月刊OncoLog誌2014年2月号

MDアンダーソン OncoLog 2014年2月号(Volume 59 / Number 2)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

分子標的薬が進行性乳癌に有望

臨床試験薬のキナーゼ阻害剤パルボシクリブ(palbociclib)を標準ホルモン療法に追加すれば、エストロゲン受容体(ER)陽性でHER2陰性の進行性乳癌患者の病勢進行を遅らせる可能性がある。

 

アナストロゾールやレトロゾールなどのアロマターゼ阻害剤は、エストロゲンの血中濃度を下げることによってER陽性腫瘍の増殖を阻害し、経口試験薬パルボシクリブ(別名PD 0332991)はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4および6を阻害する。

 

「CDK4と6の阻害剤は細胞周期を妨げ、癌細胞の分裂を阻止します。癌細胞内のこの機構を標的とする化合物がいくつかありますが、パルボシクリブはその多くに比べずっと開発が進んでいます」と、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科准教授のStacy Moulder医師は言う。

 

臨床研究

閉経後のER陽性HER2陰性進行性乳癌患者にレトロゾールを単剤投与またはパルボシクリブと併用投与する第2相臨床試験の予備的結果が、2012年サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。試験結果によれば、パルボシクリブ併用レトロゾール治療を受けた患者の無増悪生存期間中央値(26.1カ月)は、レトロゾール単独治療を受けた患者の値(7.5カ月)に比べ有意に長かった。

 

第2相試験の最終結果はまだ確定しておらず公表されていないが、予備的結果が有望であったことから第3相試験が開始され、現在MDアンダーソンその他の施設で参加患者を登録中である。臨床試験に参加する患者は、レトロゾールとパルボシクリブ、またはレトロゾールとプラセボ(偽薬)の治療に無作為に割り付けられる。この治療は、病勢進行が証明されるか、それ以外の理由によって患者が試験への参加を中止するまで継続される。

 

臨床試験に参加できるのは、ER陽性HER2陰性の転移性または局所再発乳腺癌で、治癒の可能性がある外科治療または放射線療法の適応がなく、化学療法の臨床適応もない閉経後の女性乳癌患者である。アナストロゾールまたはレトロゾールによる術前または術後の補助化学療法中、もしくはその終了後12カ月以内に再発した患者は、この臨床試験から除外される。

 

第2相試験でもっとも多くみられたパルボシクリブの副作用は、骨髄抑制であった。MDアンダーソンにおける第3相臨床試験の治験責任医師である Moulder医師よれば、もしパルボシクリブが有効であると判明し標準療法に組み込まれれば、併用療法を受ける患者は毎月血液検査が必要であるという。これに対し、単独ホルモン療法を受ける患者の通院は、通常2~3カ月に一度で済む。また、パルボシクリブによる骨髄抑制の可能性があるため、発熱その他の徴候がある患者は速やかに検査するなど、その他の予防策も必要であるとMoulder医師は言う。

 

将来の展望

Moulder医師によれば、もし転移性乳癌患者における安全性と有効性が継続して示されれば、パルボシクリブ開発の次段階は、この新薬を術前術後療法に使用することである。パルボシクリブがいずれ、早期も含めたER陽性HER2陰性乳癌患者全体の治癒率を向上させることができればよいと思う、と彼女は言う。

 

パルボシクリブ以外にもCDK 4と6の阻害剤が開発されており、CDK 2の阻害剤も開発中である。 「この類の化合物の開発にわれわれは高い関心を持っています。近い将来、いくつかの臨床試験を開始することになるでしょう」とMoulder医師は述べた。

 

— Bryan Tutt

 

【画像キャプション訳】

「CDK 4と6の阻害剤は細胞周期を停止させ、癌細胞の分裂を阻止します」
――― Stacy Moulder医師

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳盛井有美子

監修上野直人(乳癌、幹細胞移植・細胞療法/MDアンダーソンがんセンター)

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