FDAが慢性リンパ性白血病(CLL)の治療にオビヌツズマブを承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2013年11月1日
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FDAが慢性リンパ性白血病の治療にGazyva〔オビヌツズマブ〕を承認

画期的治療薬指定としての初のFDA承認薬

米国食品医薬品局(FDA)は2013年11月1日、未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者の治療として、chlorambucil(クロラムブシル)との併用療法でGazyva(オビヌツズマブ[obinutuzumab])を承認した。

 CLLは血液および骨髄の疾患であり、通常その進行は遅い。米国国立癌研究所によると、米国では今年15,680人がCLLと診断され、4,580人が死亡すると推測している。

Gazyvaは、免疫系細胞の癌細胞に対する攻撃を補助することで作用を発揮する。Gazyvaは、他のCLL治療薬であるchlorambucilとの併用を目的とした薬剤である。

Gazyvaは、画期的治療薬指定(breakthrough therapy designation)としてFDAの承認を受けた初の薬剤である。今回の指定は、販売承認の裏づけとなる生物学的製剤承認申請のFDA提出直後に、申請者により指定要請が出され、当該指定が付与された。FDAが申請者の要請に応じて画期的治療薬として指定できるのは、初期の臨床エビデンスから、重篤あるいは命に関わる疾患を有する患者に対する現行の治療法と比べ、指定要請の薬剤により大幅な改善が見込まれることが示された場合である。

FDAはまた、Gazyvaが重篤な病状の治療において安全性および有効性を有意に改善する可能性を示したことから迅速審査により審査を行った。さらにFDAは、 Gazyvaは希少疾患の治療を目的とする薬剤であることからオーファンドラッグとして指定した。

「今回の承認により、CLL患者に対する治療に重要な新治療法が加わったことになります」と語るのはRichard Pazdur医師、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長である。「今回の承認は画期的治療薬指定プログラムの目的を反映した結果であり、申請者と協力的に作業をすることで、重要な新薬の開発、審査および販売の迅速化が可能になります」。

GazyvaのCLL適応承認は、未治療CLL患者356人を対象にchlorambucil単剤とGazyva+chlorambucilの併用を比較した非盲検、多施設共同ランダム化比較試験に基づくものである。Gazyva+chlorambucil併用投与群では、無増悪生存期間の有意な改善が示され、chlorambucil単剤群の中央値は11.1カ月であったのに対し、併用投与群では23カ月であった。

Gazyva+chlorambucil併用投与群で認められた主な副作用には、投与時反応、感染症に対抗する白血球の減少(好中球減少症)、血小板減少症、貧血、筋肉や骨の痛み(骨格筋痛)および発熱があった。

Gazyvaは、B型肝炎ウイルス再活性化および脳の白質中の神経を覆い保護する組織に傷害を与える稀な疾患(進行性多巣性白質脳症)について、添付文書にて黒枠警告として表示することで承認された。これらは、同系統で他のモノクローナル抗体薬では既知のリスクであり、またこの稀な病態は他のGazyva試験の被験者においても確認されている。患者に対して、これらのリスクについて忠告すべきであり、またB型肝炎ウイルスおよびその再活性リスクについて評価を行うべきである。

Gazyvaは、カリフォルニア州南サンフランシスコに拠点を置くロシュグループのGenentech社が製造販売している。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products(血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Breakthrough Therapies  (画期的治療)〔原文〕
FDA: Drug Innovation  (薬剤のイノベーション)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers(承認薬:質問と回答)〔原文〕
NCI: Chronic Lymphocytic Leukemia(慢性リンパ性白血病)〔原文〕

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菅原宣志 訳
東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院・総合内科) 監修 
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原文

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