[ 記事 ]

癌患者の終末期ケア

ーNCIファクトシートー
癌患者の終末期ケア

  投稿日: 2013-05-28  原文掲載日 2012-05-10

キーポイント

  •   終末期ケアは、進行期の病を得て生き、その病で亡くなる人たちに、身体的、精神的、情緒的な安穏をもたらし、また社会的・交誼的な支えを提供します。
  •   終末期ケアに望むことをあらかじめ身近な人と話し合っておくと、患者自身も家族も、最期の時に感じるストレスが軽くなります。
  •   事前指示書とは、ある人が終末期ケアに何を望むかを記録した法的文書です。
  •   ホスピス・ケアによって、死へと向かう癌患者とその家族の生活の質が改善される可能性があることが、研究によって示されています。

 

1. 癌になった人にとって、終末期ケアはどんな意味がありますか?

 

ある癌患者の医療チームがもはや癌を制御できないと判断すると、多くの場合、医学的検査や癌治療は停止されます。しかし、その人のケアは継続されます。その場合のケアの重点は、患者と親近者の生活の質を向上させ、あと数週間ないしは数カ月間、安穏に過ごせるようにすることに置かれます。

終末期に受ける治療や投与薬によって、痛みやその他の症状、たとえば便秘、吐き気、息切れなどを緩和することができます。そのような治療を受ける間、在宅のままの人もいれば、病院その他の施設に入る人もいます。いずれの場合でも、死の前後の医療的、心理的、社会的およびスピリチュアルな諸課題に直面する患者とその家族を助けるケアが用意されています。ホスピス・プログラムは、最も包括的かつコーディネートされた形でこれらのケアを提供します。

人生の終末期は、一人ひとりみな違います。病が進行するにつれて人が経験する徴候や症状はさまざまであり、一人ひとりが必要とする情報や支援はそれぞれ異なります。終末期について家族が抱く疑問や心配事があれば、そのつど、医療チームに相談したり、家族同士でも話し合いましょう。

終末期ケアと人生最後の数カ月における意思決定に関するコミュニケーションは、とても重要です。 進行した癌になった人が自分のケアの選択肢について早いうちから医師と相談すれば、その人のストレスの度合いは下がり、病に対応する能力が高くなることが、研究によって示されています。また、患者は病歴の浅いうちから終末期ケアの選択肢について主治医とオープンに正直に会話をするほうがよいと思っており、そのような会話をした方が満足度が高いことも、研究によって示されています。

患者が事前指示書を完成しておくことを、専門家は強く勧めます。事前指示書は、自分がどのようなケアを希望するかを記した書類です。事前指示書はまた、患者自身に意思決定の能力がないときに自分に代わってケアに関する意思決定をする者として、患者が誰を選ぶかを指定します。癌にかかった人にとって、意思決定ができないほど重篤になる前にケアや代理人についての決定を下しておくことは重要です。しかし、事前指示書の作成を完了する前に病気が重くなりすぎてしまった場合には、患者がどのようなケアを受けたいと思っているのかを身内の介護者が知っておくと役立ちます。事前指示書に関する詳細は、このファクトシートの末尾の「関連記事」の欄をご覧下さい。

 

2. ある人がこの先どれくらい生きるか、医師はどうやってわかるのですか?

患者とその親族は、癌にかかった人がこの先どれくらい生きるのか知りたいと思うことがよくあります。将来に備えたいと願うのは当たり前のことです。しかし、誰かがどのくらい生きるのかを予測するのは困難です。癌のタイプ、部位、癌以外に他の病気があるか否かなど、数多くの要因がこれから起こることに影響し得るからです

医師はおそらく、その人についてわかっていることにもとづいて、誰かが生きる時間がこの先どれだけあるかを推測することはできますが、そのような推測をすることをためらうかも知れません。その人に残された生存期間を長く見積もりすぎたり短く見積もりすぎたりするのではないかと、医師が懸念することもあるでしょう。医師はまた、過剰な期待を抱かせたり、生きる意志を打ち砕いてしまったりするのではないかと危惧しているかも知れません。

 

3. 癌患者のケアを在宅でしている場合、専門家の支援はいつ求めるべきでしょうか?

 

家で患者のケアにあたっている人は、患者に楽かどうか、痛みは感じないか、痛み以外に身体の不具合はないかを尋ねましょう。

ときには介護者が、患者を担当する医療チームの助けを必要とすることがあるかも知れません。 次のような場合にはいつでも、介護者は患者を担当する医師または看護師に連絡して支援を求めることができます。

  •  患者に痛みがあり、処方された量の鎮痛剤では軽減されないとき。
  •  たとえば悪心、嘔吐、錯乱・不安・不穏状態の増悪など、これまではなかった新たな症状が出はじめたとき
  •   以前は十分制御されていた症状がぶり返したとき。
  •   顔をしかめたりうめいたりといった不快感を患者が示したとき。
  •   呼吸が困難で、苦しそうなとき。
  •   患者が排尿や排便をすることができないとき。
  •   患者が倒れたとき。
  •   患者に強い抑うつがあったり、自殺を口にしたりするとき。
  •   介護者が患者に薬を投与するのが難しいとき。
  •   介護者が、患者のケアが手に負えないと感じたり、悲しみや恐怖のあまり患者のそばに居られなくなったとき。
  •   ある状況にどう対処してよいのか、介護者にはわからないとき。

 

患者がどの病期にあっても、このような問題に手をさしのべるために、主治医は緩和ケアの専門家に依頼することができるのだということを忘れないで下さい。昨今は、入院中だけではなく外来の場合でも緩和ケアの専門家の支援が得られることが、ますます多くなっています。

 

4. ホスピス・ケアはいつ利用するのが望ましいのでしょうか?

ホスピス・ケアは人生最後の数日ないしは数週間だけにふさわしいものだと思い込んでいる人は少なくありません。しかし、メディケア〔米国の公的医療保険の一つ〕では、死亡が推定される6カ月前からホスピス・ケアを使ってもよいとされています。また、身近な人を亡くした人たちは、もっと早くからホスピス・ケアを利用していればよかったと言っています。

研究によれば、ホスピスのサービスを利用する患者と家族は、利用しない人に比べ、自分の生活の質を高めに評価することが知られています。ホスピス・ケアは、医療、カウンセリング、〔一時的に代替する〕レスパイト・ケアなど、多数の有益なサービスを提供しています。通常、その病型・病期の患者が平均で余命が6カ月に満たないことを証する文書に医師が署名することによって、ホスピスを利用する資格が得られます。ホスピスに関する詳細は、このファクトシートの末尾の「関連記事」の欄をご覧下さい。

 

5. 癌をかかえて生き、癌で亡くなる人に対して提供される精神的サポートには、どのようなものがありますか?

ニーズは一人ひとり違っているのですが、死期が迫った患者のほとんどに共通する悩みがいくつかあります。一つは、さじを投げられ見放されるのではないかとおそれることであり、もう一つは、自分が厄介なお荷物になるのではないかとおそれることです。死が迫った人はまた、尊厳を失うことと、コントロールできなくなることを心配しています。 介護者は、たとえば以下のような方法で、そのような心配事を抱えた人に安らぎをもたらすことができます。

 

  •   ひとりぼっちにせず、寄り添って下さい。一緒に話したり、映画を観たり、本を読んだり、あるいはただそばに居て下さい。
  •  死ぬことに関わる恐怖や心配事、たとえば身内や友人を後に遺すことについて、その人が話しやすいようにして下さい。いつでも耳を傾ける構えを持っていて下さい。
  •  その人の人生を振り返ることを厭わず、よろこんで思い出話をして下さい。
  •  言いにくい情報を内緒にして口をつぐむのは止めて下さい。ほとんどの患者は、蚊帳の外に置かれることなく、自分に関わる問題は一緒に話し合いたいと思っているものです。
  •  尊厳死の宣言書などの事前指示書をきちんと守る意思があることを告げて、患者を安心させて下さい。
  •  何か自分にできることはないか、尋ねて下さい。
  •  その人がプライバシーを守る必要性を尊重して下さい。
  •  その人のスピリチュアルな精神世界を支持して下さい。その人にとって大事なことを話してもらい、その人が望むならば共に祈り、聖職者や同じ教会の人たちが訪ねてくるのがふさわしければ、その手配をして下さい。その人にとって意味のある大切な物を手近に置いておいて下さい。

 

 

6. 介護者は、他にはどんなことに気をつければよいですか?

この時期には、介護者自身の健康に留意することも重要です。身内の介護者は、自覚している以上に、愛する身近な患者の健康状態の影響を受けるものです。 病人の世話をすることが、身体的・情緒的な疲労、ストレス、抑うつ、不安を引き起こすことはよくあります。そのため、介護者が自分自身の身体や精神、意気(スピリット)に気を配ることが重要です。自分自身に気を配ることによってエネルギーが充ちてきて、ストレスに対処する助けともなり、その結果もっと良い介護者となることができます。

友人や他の親族のサポートを介護者が求めることも有用です。そのような手助けは、病を得て死を迎えようとする身近な人の世話にかかわるさまざまな仕事を少しでも減らすために大切です。

 

7. 患者と親族は、どのような話題について話すべきですか?

たいていの人にとって、終末期の人に何と声をかけるべきかは難題です。死について語ることなく、前向きで楽観的でありたいと願うのは、普通のことです。しかしながら、病の重篤さを現実的に直視することは重要です。なにも偽りの希望を与えなくても、介護者は身近な患者を元気づけることができます。命の終わりは、たしかに悲哀の時であり、また喪失受容の時でもあるでしょうが、それはまた、意味を探るべき時、何が重要かを再考すべき時でもあります。

多くの人は一生の終わりに、生や、築いた財産や、遺してゆく大切な人のことを振り返って再考する傾向があります。以下、人生の幕引きをする患者とともに探求すべき問いをいくつか挙げます。

  •    共に過ごした中で一番しあわせだったとき、一番悲しかったときはいつでしょうか?
  •    共に過ごした人生の中で、もっとも重要で決定的な瞬間は何でしょうか?
  •   自分たちが最も誇りに思い、自慢できるのは何でしょうか?
  •   教えたこと、教えられたことは何でしょうか?

 

命にかかわる重病を患った方たちは、積極的であることやユーモアを添えることは、気持ちを発散させるうえで、相変わらず自分にとって大切だと言っています。このような試練の時に際してもなお、笑いは最善の薬でしょう。

 

 

8. 介護者は、進行性の癌について子どもにどう話せばよいでしょうか?

 

たとえ子どもでも、愛する身近な人が亡くなったときに大きなショックを与えないために、家族の予後について事実を話すべきです。子どもが実際以上に悲惨な物事を想像することがないよう配慮しながら、子どもの質問にはすべて穏やかに、正直に答えることが大切です。何が起こってもみんながついているから大丈夫だと子どもたちが安心できるようにしなければなりません。

介護者は、答えにくい質問にもたじろがないことが必要です。そのためには、今の状況を自分自身がどう感じ何を思っているのか、介護者は自覚していなくてはなりません。身近な人が死ぬかも知れないと心の準備をし、その可能性を受容しつつ、同時に、最善の結果を希望するにはどうしたらよいのか、子どもに手本を示すことができなくてはなりません。

 

9. 癌の人はどのようにして死ぬのですか?

患者は一人ひとりみな異なり、癌による死亡の原因もさまざまです。経過は、癌種、部位、増殖の速度などによって違います。

癌がもはや制御できなくなり、正常な組織や臓器にどんどん拡がる人もいます。 すると、癌細胞は正常な臓器が必要とする空間を占領し、正常な臓器が使うはずの栄養を使い尽くしてしまいます。 その結果、正常な臓器は機能できなくなってしまいます。 いっぽう、治療の合併症によって亡くなる人もいます。

癌の最終段階には、身体のあちこちで問題が起きる可能性があります。

 

  • 消化器系:癌が消化器系(胃、膵臓、腸など)にある場合は、食物や排泄物が通過できず、膨満感、悪心、嘔吐などを引き起こすおそれがある。 癌のせいで食物の消化・吸収が妨げられる場合は、患者が栄養不良に陥ることもある。
  • 肺:残された正常な肺組織があまりにも少ない場合や、癌が肺の一部を塞いでいる場合、患者は呼吸が困難となり、十分な酸素が得られないおそれがある。 あるいは、肺が虚脱してつぶれると、感染の結果、進行癌の人には耐えきれなくなるおそれがある。
  • 骨:癌が骨にあると、血流中にカルシウムが過剰に流れ出し、意識不明となったり死亡したりすることがある。 また、腫瘍に冒された骨は折れて治らないこともある。
  • 肝臓:肝臓は血液から毒を取り除き、食物の消化を助けて、食物を生存に必要な物質に変える。 正常な肝組織が十分にない場合は、身体の化学的バランスが崩れる。 患者はやがて昏睡状態に陥るかも知れない。
  • 骨髄:癌が骨髄にある場合、身体は正常な血球を十分に造ることができない。 赤血球が足りないと貧血が起こり、身体は血中の酸素が足りなくなる。 白血球が不足すると、感染と闘うことが難しくなる。 血小板が減少すると、血液が凝固しなくなり、異常な出血を制御することが困難になる。
  • 脳:脳の大きな腫瘍は記憶障害、平衡障害、脳内出血、脳以外の器官の機能喪失などを引き起こし、やがて昏睡状態に至ることがある。

 

ときには、明確な原因が特定できず、患者はただゆっくりと衰弱し、だんだんと弱った末、癌に屈することもあります。

繰り返しますが、患者は一人ひとり異なり、病気の経過には必ずいろいろな病期や進行速度があります。 そして病状の中には、進行を遅らせたり患者を楽にしたりする治療手段があるものもあります。 患者を担当する医療チームとずっと対話し続けることは大変重要です。

 

 

10. 死が近づいている徴候とはどのようなものですか?また、この時期に患者を楽にするために、介護者は何ができますか?

最期の時が近いのだと介護者が予見することを助けるいくつかの徴候や症状があります。 それを以下に挙げ、またそれにどう対処すればよいか助言を記します。 しかし、終末期に何を経験するかは一人ひとり違います。 ある人に起こる出来事が、別の人には起こらないかも知れません。また、徴候が一つ二つあるからと言って、必ずしも患者の死が近づいているとは限りません。医療チームのメンバーは親族や介護者に対して、どんなことが予想されるかもっと詳しく説明してくれるでしょう。

 

友人や家族からの引きこもり:

命の最後の数週間に、人が内面に集中することはよくあります。 それは必ずしも、患者が怒っているとか、鬱ぎ込んでいるとか、介護者に愛情を感じていないなどということを意味するわけではありません。 もしかしたら、それは脳の酸素低下や血流の低下によって生じる事象であったり、死に臨んでの精神的準備であったりするかも知れません。

  • 以前は楽しんでいたこと、たとえばお気に入りのTV番組や友人、ペットなどに、患者が関心を示さなくなることもあります。
  • 介護者は患者に、自分はいつでも支えになれるようにここに居ると知らせることができます。 患者は、たとえ反応できなくても、意識があり聞こえていることがあります。 患者に対して「もう行ってもいいよ」と許可を与えるのはよいことだと、専門家は助言しています。 患者が話をしたいと思う場合には、喜びや哀しみを振り返ったり、やり残したことを片付けて清算したりしたいと思うでしょう。

 

睡眠の変化:

  • 眠気がある、睡眠が増える、寝たり覚めたりうつらうつらするなど、また、目覚めたばかりのときに錯乱がみられることがあります。
  • 悩みや心配事で、夜に寝られないこともあります。 介護者は患者に、眠りにつくまで傍にいましょうかと尋ねることができます。
  • 時が経つにつれて、睡眠がどんどん増えるかも知れません。たとえ患者に意識がなくても、介護者は話しかけ続けましょう。なぜなら、患者はまだ聞こえている可能性があるからです。

 

制御困難な痛み:

  • 癌が増悪するにつれて、だんだん痛みをコントロールするのが困難になるかも知れません。 痛み止めは、規則正しく投与することが大切です。 介護者は緩和ケア医または疼痛専門医に面会を申込み、正しい薬剤と用量について助言を得ましょう。マッサージやリラクゼーションなど、痛みをコントロールする代替的手段を探ることも役立つかも知れません。

 

衰弱の進行:

  • 時間が経つにつれ、衰弱や倦怠感はだんだんと増してゆきます。 患者の体調には波がある場合もあり、調子が悪い日には身支度や身の回りのことに普段以上の介助が必要かも知れません。
  • 患者自身にとってもっとも大切なことのために患者がエネルギーを温存できるように、介護者は援助することができます。

 

食欲の変化:

 

  • 身体が自然に死に向かう行程では、癌患者が以前ほど食物を必要としなくなり、また欲しなくなることはよくあります。食欲不振は、身体がエネルギーを節約する必要があり、また食物や水分を適切に利用する能力が低下することに起因します。
  • 飲食するかどうか、そしていつ飲食するのかを、患者が選択できるようにしてあげましょう。介護者は、患者が喜ぶ食物を少量だけすすめるとよいでしょう。 咀嚼にはエネルギーを要するので、ミルク・シェイクやアイスクリーム、プディングなどが好まれるかも知れません。 嚥下に問題がなく飲み込める患者ならば、飲物を数口すすめて下さい。座れない場合は、曲がるストローを使いましょう。 もはや飲み込むことができない患者には、氷片をすすめて下さい。 リップクリームで患者の唇を保湿し、湿らせた柔らかい布で口をきれいにしましょう。

 

意識:

  • 最期が近づくと、錯乱や白昼夢を経験する人は少なくありません。時間、場所、身近な人が誰であるかがよくわからなくなることもあります。 介護者は穏やかに、患者がどこにいて誰が一緒にいるのかを教えてあげてもよいでしょう。 落ち着いて、安心感を与える懐の深い態度で接しましょう。 もし患者が動揺したときは、抑制しようとしてはいけません。  激越な動揺がみられた場合は、医療者に伝えましょう。症状を抑えたり元に戻したりする治療法があるからです。
  • 患者が、身近な故人と会ったとか話したとか言うことが、時々あります。 患者は、旅立ちについて語ることもあれば、光、蝶、その他われわれには見えない実体の姿を見たと言うこともあります。 患者がそれらのものを見て苦しんでいない限り、介護者はもっと話しをするように患者を促してもよいでしょう。 介護者は、患者が見えると思っているものを訂正するのではなく、患者に幻覚や夢を話してもらえばよいのです。

 

プロセスとしての死:

 

  • 骨盤内の筋肉が弛むことによって、膀胱や腸の制御ができなくなることがあります。 介護者は引き続き、寝具を清潔で乾いたものにし、優しく身辺の世話を続けましょう。 ベッドに使い捨てパッドを敷いた上に患者を寝かせ、汚れたら取り外すこともできます。 また、腎臓の機能が衰えたり、水分の摂取が減るために、尿の量が減ることもあります。 尿は色が濃く、臭いが強くなることもあります。
  • 呼吸のパターンは周期的に、遅くなったり速くなったりすることがあります。 患者は気づかないかもしれませんが、介護者にとって呼吸の変化が気になるようであれば、医師に知らせましょう。 唾液と、喉や上気道に溜まった水分のせいで、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴があるかも知れません。介護者はこの音が大変辛く感じるかも知れませんが、この段階の患者は普通、何も苦痛を感じていません。 患者の身体を横向きにして、背中の後ろや頭の下に枕を数個あてると、呼吸が少し楽になることがあります。 患者に息切れがあれば、患者の呼吸を楽にするために加湿器や外部供給の酸素を使えるかどうか、介護者が医療チームに尋ねることもできます。
  • 血流がだんだん遅くなるにつれ、皮膚は青みを帯びた色となり、触ると冷たくなるでしょう。 患者にとって、これは苦痛でも不快でもありません。 介護者は、電気毛布やアンカなどで患者を暖めないで下さい。火傷の原因となることがあります。 しかしながら、薄手の毛布で患者をくるんでおくのは構いません。

 

 

11. 人が死んだことを示す徴候は何ですか?

  •  もはや息をしておらず、脈がない。
  • 目の動きがなく、まばたきもせず、瞳孔が散大している(大きくなっている)。瞼がやや開いていることもある。
  • 顎がゆるみ、口が半開きになっている。
  • 尿や便が体から排出される。
  • 触っても話しかけても反応しない。
  • 皮膚が蒼白で、触ると冷たい。

 

 

12. 死亡後に何をする必要がありますか?

亡くなったからといって、慌てて段取りをつける必要はありません。 家族や介護者は、遺体のそばに腰を下ろしたり、話をしたり、祈ったりしたいと思うかも知れません。 心の準備が整ったと家族が感じてから、以下のステップを踏めばよいでしょう。

 

  • 頭の下に枕を一つ入れて仰向けに遺体を安置します。 必要であれば、介護者か家族の希望によって義歯その他の人工補装具をつけても構いません。
  • 故人がホスピス・プログラムに入っている場合は、当該プログラムのガイドラインに従って下さい。 介護者または家族はホスピス看護師に死亡確認を依頼することができます。
  • 地域の規則に従って、適切な機関に連絡をとって下さい。 故人の主治医と葬儀社に連絡をとって下さい。
  • 患者家族の心の準備が整ったら、他の親族や、友人、僧職者を呼んで下さい。
  • 喪失に対処するために、親族や友人の心の支えとなってあげたり、なってもらったりして下さい。

 

関連記事

 

原文ページへ

*************************

盛井有美子 訳

小宮武文(腫瘍内科/NCI Medical Oncology Branch) 監修

*************************

 

翻訳盛井有美子

監修小宮武文(腫瘍内科/NCI Medical Oncology Branch)

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事