乳癌に対する放射線治療により心臓病および心臓発作のリスクが上昇する | 海外がん医療情報リファレンス

乳癌に対する放射線治療により心臓病および心臓発作のリスクが上昇する

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

乳癌に対する放射線治療により心臓病および心臓発作のリスクが上昇する

キャンサーコンサルタンツ

New England Journal of Medicine誌に発表された試験結果によれば、乳癌に対する放射線治療により、後の人生で心臓発作または心臓病のリスクが上昇するかもしれない。

 

多くの女性乳癌患者に対して、乳房温存手術(乳腺腫瘤摘出術)後に、癌再発のリスクを低減するための放射線治療が行われる。乳癌の放射線治療では、しばしば心臓への偶発的な被ばくがあり、そのリスクは明らかでなかった。

 

研究者らは、1958年から2001年にスウェーデンおよびデンマークで、乳癌に対し放射線治療が行われた2168人の女性を母集団としたケース・コントロール試験を実施した。解析では、963人の女性に心臓発作、動脈閉塞疎通の手術または虚血性心疾患による死亡などの重大な冠動脈事象があったことが示され、重大な冠動脈事象がなかった1205人の女性と比較された。

 

試験結果から、重大な冠動脈事象のリスクは「グレイ」単位の放射線量に正比例して上昇することが示された。重大な冠動脈事象のリスクは、グレイごとに7.4%ポイント上昇した。試験において女性が受けた平均の放射線量は4.9グレイであり、これは心臓障害の36%のリスク上昇に換算された。最も多く被ばくした女性(平均で15.8グレイ)には心臓障害の116%のリスク上昇があり、通常のリスクの2倍よりやや高かった。心臓はやや左側に位置しているため、左乳癌を治療した女性では心臓障害のリスクがより高かった。

 

放射線後の冠動脈のリスクは、被ばく後数年以内に始まり、少なくとも20年間持続した。心臓病のリスク因子がある女性は、他の女性に比べて放射線治療のリスクが明らかに上昇した。

 

研究者らは、放射線量に伴って上昇したリスクは必ずしも警告の理由とならないと言及した。特定の条件に関連づけると、健常な50歳の女性には80歳までに虚血性心疾患の発症が1.9%の確率で発生する。もし同条件の女性が3グレイの放射線を被ばくすると、リスクは22%上昇して2.4%となるが、なおかなり低い。さらに今日では平均の放射線被ばく量は低くなっている(1~5グレイ)。

 

研究者は乳癌に対する放射線治療は虚血性心疾患のリスクを上昇し得ると結論付けた。既に心臓病のリスクが上昇した女性は、放射線にかわる方法について医師と話し合いを希望するかもしれない。

 

参考文献:
Darby SC, Ewertz M, McGale P, et al. Risk of ischemic heart disease in women after radiotherapy for breast cancer. New England Journal of Medicine 2013;368:987-998.

 


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

原文掲載日

翻訳木下秀文

監修中村光宏(医学放射線/京都大学大学院医学研究科)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  3. 3リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  4. 4ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  9. 9専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  10. 10免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他