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利益相反情報開示の全国的再編成

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利益相反情報開示の全国的再編成

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

重要報告の焦点
速報:
CONTACT:Mary Rappaport
571-483-1374


健康、生命科学研究分野における開示報告の非効率性、非一貫性を軽減するシステムの提案

 

バージニア州アレクサンドリア――米国医学研究所(IOM)が本日掲載した情報によると、Perspectives(訳注:IOMホームページ右上のカテゴリーリストの1つ)内の報告で、臨床医、研究医、医学生、研修医、その他が利益相反になるおそれのある金銭的関係を開示するための全く新しいシステムを提案している。[IOMの掲載内容は、本日発行のJournal of the American Medical Associationに著者らが寄稿した「Viewpoint」コラムにも書かれている。]

 

情報開示は医療や生命科学分野にとってきわめて重要な問題であり、ほとんどの専門誌、研究機関、専門職学会、医学および科学学会が利益相反を管理する基本的な手法である。医療や生命科学分野の権威を含む、Harmonizing Reporting on Potential Conflicts of Interest(利益相反になりうる報告の統一化)というIOMの討議文書の著者らは、一元的な全国データベースを開発し、そこにそれぞれの研究者、科学者、医師がすべての開示情報を入力し、第三者がそれぞれの報告要件に合った書式で利用可能にするよう推奨した。

 

現在、医科大学、研修病院、専門誌、専門職学会、生涯教育機関、連邦機関が、さまざまな活動ごとに開示書を要求し、複数の書式での提出や更新を行うため研究者には二度手間で負担の大きい作業となり、うっかり誤った情報を提供する事態が発生しかねない。さらに、医療費負担適正化法サンシャイン条項では、医療関連の営利企業に対してさらに別の開示報告要件(現在策定中)により医師への支払額を報告するよう義務づけることが盛り込まれている。

 

「これ以上面倒でややこしいシステムは考えられませんよ。どんなにまじめな研究者でも誤った報告をするリスクのあるシステムですね」と語るのは、討議文書の筆頭著者であり米国臨床腫瘍学会(ASCO)の最高責任者であるAllen S. Lichter医師。「システムを統一化すれば、研究者が管理作業に費やす時間を節約できるだけでなく、開示報告の正確さや明確さが向上することは間違いないでしょう」。

 

討議文書では、医療に携わる様々な組織や機関に共通した開示報告の内容(サービス料、知的財産、助成金、投資額や所有権、また旅費、食費、宿泊費、贈答品といった項目など)を特定し定義している。コアデータ管理の原則を基準に、討議文書ではデータ保存/保守、データ入力/削除、また包括的情報開示システムの管理についての選択肢をまとめている。医学研究や臨床現場の透明性を向上しつつデータの安全性が確保された、非営利運営による集約的データベース構築を著者らは提案している。

 

「国内の医療研究者と営利団体との間の必要かつ生産的な協力関係を抑えることなく、業界との金銭的関係の開示における標準化がこの新しいシステムによりようやくなされるでしょう」と語るのは、討議文書の共著者であるRoss McKinney, Jr.医師(Trent Center for Bioethics, Humanities & History of Medicine所長、デューク大学医学部小児感染症学教授)。「このように集約的に扱うことで、わが国の科学および医学研究事業の透明性と公共の信頼性が向上するのです」。

 

IOMの討議文書の推奨と同じく、ASCOも腫瘍業界において、度々の繰り返し作業で時間の浪費になる開示要求への負担軽減に取り組んでいる。新しいASCOの開示管理システム(現在試験段階)では集約的データベースを提供し、これに腫瘍専門医が一元的に全般的な開示情報の登録や更新を行い、その後委員会の作業報告や専門誌の記事、学会抄録など、さまざまな目的で開示情報を公開できるようにする予定である。「新しいASCOのシステムでは、腫瘍専門医がその年のさまざまな目的ごとに開示情報を提供しなくてはならない負担を減らし、かつ開示報告の透明性と正確性を最大限に確保するという点で大きな飛躍となります」とLichter医師は述べた。

 

The Harmonizing Reporting on Potential Conflicts of Interest Discussion Paperは、医学研究の指導的立場にある専門家の個人的意見や見解を掲載する、PerspectivesというIOM刊行の新しい1部門ある。Perspectivesは、国家的に差し迫った問題に関する討議を紹介したものである。それらは個人的意見として著者の見解を述べたものであり、IOMの見解ではない。The Harmonizing Reporting on Potential Conflicts of Interestの著者らは、さまざまな関係団体から幅広く集まった指導的専門家である。

 

• Allen S. Lichter医師(議長) – 米国臨床腫瘍学会(ASCO)
• Ross McKinney, Jr.医師 – デューク大学医学部
• Timothy Anderson – American Medical Student Association(全米医学生協会)
• Erica Breese – 連邦保健・福祉省メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)
• Niall Brennan – 連邦保健・福祉省メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)
• David Butler – 米国消費者同盟(CU)
• Eric G. Campbell博士 – マサチューセッツ総合病院、Mongan Institute for Health Policy
• Susan Chimonas博士 – コロンビア大学
• Guy Chisolm博士 – クリーブランドクリニック
• Christopher Clark法務博士 – Partners HealthCare
• Milton Corn医師 – 米国国立医学図書館(NLM)
• Allan Coukell薬学修士 – The Pew Charitable Trusts
• Diane Dean博士 – 米国国立衛生研究所(NIH)
• Susan Ehringhaus法務博士 – Partners HealthCare
• Phil Fontanarosa – ノースウェスタン大学
• Mark Frankel – アメリカ科学振興協会(AAAS)
• Raymond J. Hutchinson医学修士 – ミシガン大学医学部
• Timothy Jost – ワシントン・アンド・リー大学
• Norman B. Kahn, Jr.医師 – Council of Medical Specialty Societies(米国専門医学協会)
• Robin King協会理事 – The Alliance for Continuing Medical Education
• Christine Laine – Annals of Internal Medicine誌
• Mary LaLonde法務博士 – Partners HealthCare
• Lorna Lynn医師 – American Board of Internal Medicine
• Patrick McCormick – Neurological Network社
• Pamela Miller – New England Journal of Medicine誌
• Heather Pierce – 全米医科大学協会(AAMC)
• Jill Hartzler Warner – 米国食品医薬品局(FDA)
• Paul Weber (前職) – The Alliance for Continuing Medical Education
• Dorit Zuk博士 – 国立衛生研究所(NIH)

 

The Harmonizing Reporting on Potential Conflicts of Interest Discussion Paperは、www.iom.edu/COIperspectiveで閲覧可能です。
ASCOの優先施策についての情報は、http://ascoaction.asco.orgで閲覧可能です。

ASCOについて

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、がん患者の治療に携わる医師を代表し世界をリードする専門機関です。3万人以上の会員と共に、ASCOは学会や教育プログラム、審査を行う専門誌を通じて、がんに対するケアの改善に取り組んでいます。ASCOは関係機関であるConquer Cancer Foundationの支援を受けており、同機関は画期的な研究やプログラム、がん患者の生活を確実に変化させるプログラムに対して資金提供を行なっています。ASCOの情報やリソースはwww.asco.org、患者向けのがん情報はwww.cancer.netで閲覧可能です。

 

米国医学研究所について

米国医学研究所は、健康改善のため国に対して助言を行う立場にあります。全米科学アカデミーの要請のもと1970年に設立され、米国医学研究所は政府、医療専門家、民間団体および国民に、独立した客観的、かつエビデンスにもとづいた助言を行います。米国医学研究所の使命は、国民だれもが健康を享受できることです。

 

原文掲載日

翻訳渋谷武道

監修久保田 馨(呼吸器内科学/日本医科大学)

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