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2013/01/08号◆特別リポート「米国の癌死亡率は長期的な減少が継続」

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2013/01/08号◆特別リポート「米国の癌死亡率は長期的な減少が継続」

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NCI Cancer Bulletin2013年1月8日号(Volume 10 / Number 1)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇ 特別リポート ◇◆◇

米国の癌死亡率は長期的な減少が継続

米国での癌による全死亡率は、最新の全国データによると2000~2009年にかけて減少し、1990年代初頭以来の水準を維持している。米国における最も頻度の高い4つの癌(肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌)を含む、ほとんどの癌において死亡率は減少した。しかし、この傾向は癌の種類や人種または民族間で異なる。1月7日付のJournal of the National Cancer Institute誌に「1975~2009年米国癌年次報告」が掲載された。

報告書ではヒトパピローマウイルス(HPV)に関連する癌についての特集が組まれ、2008~2010年の間にHPVに関連した中咽頭癌、肛門癌、外陰癌の発症率が上昇したことも示している。2010年のHPVワクチン接種率は、米国では対象集団である思春期の女児のあいだで低迷していた。

これまでと同様に、NCI、アメリカ癌協会(ACS)、疾病対策予防センター(CDC)、および北米がん中央登録協会(NAACCR)が年次報告書作成に協力した。癌発症率のデータは、NCIのSEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)データベースおよびCDCのデータ、またNAACCRによって集積されたデータの解析により得た。死亡率のデータは、CDCの全米保健医療統計センターから得た。

発症率の変化は様々であるが、死亡率は減少し続けている

2000~2009年における男性の癌全体の発症率は年間平均0.6%減少した。同期間中の女性の癌発症率は一定しており、小児では年間0.6%増加した。(表を参照)

2000~2009年の癌による死亡率の低下は、男性で年平均1.8%、女性では1.4%、小児(0~14歳)では1.8%であった。同期間中、男性で頻度の高い17の癌のうち10の癌で死亡率が低下し、3つの癌で上昇した。女性の死亡率は頻度の高い18の癌のうち15の癌で低下し、3つの癌で上昇した。

「過去20年間の癌死亡率の継続的な低下は喜ばしいことです」とACS会長の Dr. John R. Seffrin氏は述べた。 「現在われわれが直面している課題は、肥満やHPV感染症のような新たな障害が発生した場合に、いかにして死亡率を継続的に低下させるかということです。われわれは癌を予防し制御するために、実績のある戦略を広く利用することにより、集中的に滞りなくこれらの困難な課題に真っ向から向き合わなければなりません」。

HPVワクチンの低い接種率

HPV関連癌の部門では、2000~2009年まで、HPVに関連した中咽頭癌の発症率は白人の男女で増加し、肛門癌の発症率も白人と黒人の男女で増加したことを示した。外陰癌の発症率も、白人と黒人の女性で増加した。一方、子宮頸癌の発症率は、アメリカインディアン/アラスカ先住民以外のすべての女性で減少した。また、子宮頸癌の発症率は低所得地域に住む女性でより高かった

年次報告書によると、2010年には、13~17歳までの女児の半数弱(48.7%)が、1回以上のHPVワクチン接種を受けていたことが明らかになった。推奨される3回すべての接種を受けたのは32%のみで、接種率は保健社会福祉省の「Healthy People 2020」の目標である80%にはるかに届かない。また米国での接種率はカナダ(50~85%)、英国、オーストラリア(両国共70%以上)で報告されたワクチン接種率よりもはるかに低い。

ワクチン接種完了率は南部居住の女児、貧困レベル以下で暮らす女児やヒスパニックの女児など特定の集団でも全体的に低かった。

「特定のウイルス感染が癌の発症率に与える影響は大きく、HPV感染の影響、特に子宮頸癌の発症率においては継続した注意が必要です」とNCI所長であるDr. Harold Varmus氏は述べた。「しかし、ワクチン接種率が増加してこそ、われわれがHPVの研究に行った投資が多大な利益をもたらし得ることに気付くことが重要なのです」。

癌の発症および死亡率(2000~2009年)

男性 女性
発症率 増加・腎臓癌・膵臓癌・肝臓癌・甲状腺癌・黒色腫・骨髄腫減少・前立腺癌・肺癌・大腸癌・胃癌・喉頭癌

 

 

増加・甲状腺癌・黒色腫・腎臓癌・膵臓癌・白血病・肝臓癌・子宮体癌減少・肺癌・大腸癌・膀胱癌・子宮頸癌

・口腔、咽頭癌

・卵巣癌

・胃癌

死亡率 増加・黒色腫・肝臓癌・膵臓癌減少・肺癌・前立腺癌・大腸癌・非ホジキンリンパ腫・腎臓癌・胃癌・骨髄腫・口腔、咽頭癌

・喉頭癌

・白血病

増加・膵臓癌・肝臓癌・子宮体癌減少・肺癌・乳癌・大腸癌・白血病・非ホジキンリンパ腫・脳および神経系癌・骨髄腫・腎臓癌

・胃癌

・子宮頸癌

・膀胱癌

・食道癌

・口腔、咽頭癌

・卵巣癌

・胆嚢癌

 

— Bill Robinson

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渉里幸樹 訳
後藤 悌 (呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科) 監修
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