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パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤のFDA承認

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パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤のFDA承認

商品名:Abraxan

転移性膵癌患者への治療に使用することを承認(2013/09/06)
非小細胞肺癌に適用(2012/10/11)
乳癌に適用(2005/01/07)
薬剤に関する警告

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文) で参照できます。

転移性膵癌
2013年9月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、パクリタキセル・アルブミン安定小粒子製剤(アブラキサン®点滴静注用、Celgene Corporation社の完全子会社 Abraxis BioScience社製)を、ゲムシタビンとの併用において、転移性膵癌の一次治療として承認しました。

この承認は、転移性膵癌患者861人が参加した国際多施設共同ランダム化非盲検臨床試験で全生存期間(OS)の改善が証明されたことに基づいています。患者は、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群(n=431)とゲムシタビン単独投与群(n=430)に無作為に割り付けられました。本試験は、地理的地域(豪州、西欧州、東欧州、北米)、全身状態、肝臓への転移の有無で層別ランダム化されました。主要有効転帰尺度はOS、副次転帰尺度は無増悪生存期間(PFS)および全奏功率(ORR)で、RECISTガイドライン(version1.0)を採用した独立画像中央判定機関によって盲検下で評価されました。

患者の年齢中央値は63歳(年齢範囲=27歳~88歳)で、全体では65歳以上が42%、58%が男性でした。また、全体の60%のカルノフスキー・パフォーマンス・スコアが90点または100点でした。半数近く(46%)に3カ所以上の転移巣があり、84%に肝転移がありました。原発病変の発生部位は、43%が膵頭部、31%が膵体部、25%が膵尾部でした。

本試験において、無作為にパクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群に割り付けられた患者では、統計学的に有意なOSの延長が認められました。パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群の全生存期間中央値は8.5カ月、ゲムシタビン単独投与群の全生存期間中央値は6.7カ月でした[HR 0.72(95 percent CI:0.62, 0.84); p < 0.0001、層別ログランク検定]。パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群のPFS中央値は5.5カ月、ゲムシタビン単独投与群のPFS中央値は3.7カ月で、ともにPFSの有意な改善が認められました[HR 0 .69(95 percent CI:0.58, 0.82)p < 0.0001、層別ログランク検定]。客観的奏効率は、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群が23%、ゲムシタビン単独投与群が7%でした(p<0.0001, カイ2乗検定)。

最も高頻度(20%以上の頻度を意味する)に発現した有害反応は、(この有害反応発生頻度は、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群の方がゲムシタビン単独投与群より少なくとも5%以上高い結果でしたが)、(最小発生率20%)好中球減少、全身倦怠感、末梢神経障害、悪心、脱毛、四肢の浮腫、下痢、発熱、嘔吐、食欲減退、皮疹、脱水でした。

パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤とゲムシタビンの併用投与群で最も高頻度に発現した重篤な有害事象は、発熱、脱水、肺炎、嘔吐でした。また、敗血症が併用群の5%、肺臓炎が4%に生じたと報告されています。

パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤の推奨投与量および推奨スケジュールは、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目に125mg/㎡の静脈内投与を30~40分間、疾患の増悪または不耐容になるまで継続します。ゲムシタビンは、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤投与に引き続き、直ちに各28日サイクルの1日目、8日目、15日目に投与します。

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並木恵 訳
大渕俊朗(呼吸器外科/福岡大学医学部)監修
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非小細胞肺癌
2012年10月11日、米国食品医薬品局(FDA)は、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤(Abraxane®、Celgene Corporation社の完全子会社Abraxis Bioscience社製)を根治目的の手術または放射線治療の対象でない局所進行性または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の初期治療にカルボプラチンと併用することを承認しました。

この承認は、米連邦医薬品・化粧品法の505(b)(2)項の下、局所進行性または転移性NSCLCの初期治療を対象に行われました。この適応はFDAがタキソール(パクリタキセル)注射液すでに承認していることに基づいており,それをタンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液,すなわちアルブミン結合製剤が,カルボプラチンとパクリタキセルの併用と少なくとも同程度有効(全奏効率で判断)であると証明した追加試験により支持されています。

追加の臨床試験(Protocol CA031)は、局所進行性または転移性NSCLC患者1052人が参加したランダム化非盲検多国籍試験でした。患者はタンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤を週1回100 mg/m2 静注する群(n=521)またはパクリタキセル注射液を3週間毎に200 mg/m2 静注する群(n=531)に無作為に割り当てられました。両治療群の患者はまた、3週間毎に同じ投与量、投与計画(AUC 6 mg•min/mL)でカルボプラチンの投与を受けました。パクリタキセルで治療を受けた患者全員がコルチコステロイド剤および抗ヒスタミン剤の前投与を受ける必要があった一方で、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤で治療を受けた患者は試験担当医師の判断で前投与を受けていました。

有効性の主要目的は、パクリタキセルとカルボプラチンの投与を受けた患者と比較して、全生存率が大幅に低下するエビデンスなしに、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤とカルボプラチンの投与を受けた患者の全奏効率(ORR)が有意に高いことを証明することでした。ORRの主要エンドポイントは、持続的に完全奏効または部分奏効に達した患者の割合とし、治療の割り当てを隠した放射線学審査委員会(radiological review committee)で決定しました。

CA031臨床試験は、パクリタキセルで治療を受けた患者が25%(95 percent CI: 21, 28)に対し、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤で治療を受けた患者の全奏効率が33%(95 percent CI: 29, 37)と統計的に有意に高いことを証明し、初期エンドポイントに達しました(p = 0.005, chi square test)。OSSの絶対的増加率は8%でした。反応があった患者の奏効期間は、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤で治療を受けた患者の奏効期間中央値が6.9カ月、パクリタキセルで治療を受けた患者は6.0カ月と両治療群とも同等でした。両治療群の全体生存率に統計的に有意差はありませんでした。

安全性の評価は、計画された治療量で1回でも投与を受けたことのある1038人の患者で行われました。タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤で治療を受けた患者から報告を受けた最も頻繁に見られるグレード1~4の副作用(発症率10%以上)は、貧血、好中球減少、血小板減少症、脱毛症、末梢神経障害、吐き気、倦怠感、食欲減退、無力症、便秘、下痢、関節痛、嘔吐、呼吸困難、末梢浮腫、発疹、筋肉痛でした。最も頻繁に見られるグレード3~4の副作用(5%以上)は、好中球減少、貧血、血小板減少症でした。

両治療群の患者の18%に重篤な副作用が見られました。タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤で治療を受けた患者で最もよく見られた重篤な副作用は、貧血(4%)および血小板減少症(3%)でした。

局所進行性および転移性NSCLC患者の初期治療で推奨される投与量および投与計画は、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤100 mg/m2を21日サイクルで1、8、15日目に30分以上の静脈内投与です。カルボプラチンの推奨投与量は、21日サイクルで1日目にタンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液アルブミン結合製剤の投与後、AUC = 6 mg•min/mLです。

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松長えみ 訳
廣田裕(呼吸器外科、腫瘍学(呼吸器、消化器、乳腺、肝臓)、細胞生物学)監修
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乳癌
2005年1月7日、FDAは、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合(AbraxaneはAmerican BioScience, Inc.の商標)を、転移への併用化学療法に失敗した乳癌あるいは術後化学療法6ヶ月以内に再発した乳癌の治療に承認ましした。小粒子パクリタキセルはまた、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤と呼ばれています。前の治療としては、禁忌でない限りアンスラサイクリン系の薬剤が使われていなければなりません。

この臨床データベースは、合計106人の患者を登録した2つのシングルアームスタディと、ひとつの多施設臨床試験です。多施設試験は、460人の転移性乳癌患者に小粒子パクリタキセル 260 mg/m2注射を30分間か、パクリタキセル175 mg/m2を3時間以上にわたって投与の群に無作為に割り付けました。

59%の患者が以前に一つ以上の化学療法レジメンを受けており、77%がアンスラサイクリンを含むレジメンを受けていました。中央レビューによる全客観的反応率は、小粒子パクリタキセル21.5%(95% CI: 16.2% to  26.7%)、パクリタキセル11.1%(95% CI: 6.9% to 15.1%)でした。(p=0.003)

無作為試験における小粒子パクリタキセルとパクリタキセルの臨床上重要な有害事象(全グレード)は、好中球減少(小粒子パクリタキセル80%、パクリタキセル82%)、貧血(33%対25%)、感染症(24%対20%)、過敏反応(4%対12%)、感覚性神経障害(71%対56%)、浮腫(10%対8%)、吐き気(30%対21%)、嘔吐(18%対9%)、下痢(26%対15%)、粘膜炎(両群とも7%)でした。

重篤な副作用(グレード3,4)は、好中球減少(小粒子パクリタキセル9%対パクリタキセル22%)、筋肉痛/関節痛(8%対4%)、嘔吐(4%対1%)、小粒子パクリタキセル治療群が10%(24人)でグレード3の末梢神経障害がみられ、そのうち14人は、中央値22日目で末梢神経障害がある程度改善しました。パクリタキセル投与群では2%にグレード3の末梢神経障害がみられました。

小粒子パクリタキセルの推奨投与量は3週間ごと静注で260 mg/m2を30分かけて投与します。小粒子パクリタキセル投与前に、過敏反応を防止するための前投薬は必要ありません。

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野中希 訳
林正樹(血液・腫瘍科)監修
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薬剤に関する警告
ベースライン時の好中球数が1,500 cells/mm3.未満の患者にタンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤を投与しないこと。骨髄抑制の発生、主に重度の場合があり感染を引き起こす結果となる好中球減少をモニターするため、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射液、アルブミン結合製剤の投与を受ける患者全員の末梢血球数を頻繁に測定することを推奨します。アルブミン製剤のパクリタキセルは、溶液状のものと比較して、実質上薬剤の機能特性に影響する場合があります。その他のパクリタキセル製剤に代用したり、置き換えたりしないこと。

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松長えみ 訳
廣田裕(呼吸器外科、腫瘍学(呼吸器、消化器、乳腺、肝臓)、細胞生物学)監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

 

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