2012/11/13号◆特集記事「終末期医療について早期に話し合う重要性を示す研究」 | 海外がん医療情報リファレンス

2012/11/13号◆特集記事「終末期医療について早期に話し合う重要性を示す研究」

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2012/11/13号◆特集記事「終末期医療について早期に話し合う重要性を示す研究」

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NCI Cancer Bulletin2012年11月13日号(Volume 9 / Number 22)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

終末期医療について早期に話し合う重要性を示す研究

新しい研究によれば、早い時期に終末期医療について医師と話し合った進行癌患者は、人生最後の1カ月間の積極的治療が少なく、ホスピス利用が多い傾向にある。早い時期の話し合いは、より患者の意向に沿った終末期ケアの助けとなるかもしれないと、著者は説明した。しかし、平均的には、患者とのそのような話し合いが行われたのは、患者が死亡する約1カ月前であったこともわかった。

この研究は11月13日付Journal of Clinical Oncology(JCO)誌電子版に掲載された。

患者の一部は終末期にあっても積極的な治療を望むかもしれないが「自身が末期癌であると認識している患者のほとんどはより優しい治療を望みます」と、この研究の責任医師であるダナファーバー癌研究所のDr. Jennifer Mack氏 はニュースリリースで述べた。

米国臨床腫瘍学会と他のグループは、緩和ケアおよび終末期医療についての医師と患者の話し合いを、患者が進行癌との診断を受けてから速やかに始めることを薦めている。進行癌患者と医師とのこのような話し合いは、行われたとしても終末期に入ってからであることが、複数の研究で判明している。

例えば、Mack氏らは以前の研究で、終末期医療について腫瘍医と患者が話し合いをするのは、患者の4人に1人であること、しかも、話し合いが行われたのは、多くが緊急入院していた時期であったことを報告している。

今回の新しい研究では、研究者らは1,200人以上の末期の肺癌あるいは大腸癌患者(または患者の代理人)から、終末期医療(蘇生やホスピスケアも含む)に関する話し合いについて聞き取り、カルテを分析した。対象の患者は全て癌の診断から少なくとも1カ月は生存し、またNCIが助成した癌治療転帰リサーチ・サーベイランス・コンソーシアム(Cancer Care Outcomes Research and Surveillance Consortium:CanCORS)への参加者であった。

患者のおよそ半数は人生の最後の1カ月間に、少なくとも1種類の積極的治療を受けていた。具体的には、患者の16%は死亡前の2週間以内に化学療法を受け、40%は最後の30日間に緊急入院し、また6%は最後の30日間に集中治療室に入室した。

しかし早期に医師と終末期医療についての話し合いをした患者では、積極的治療を受けるよりもホスピスケアを受ける方が多かった。この結果は「この長期的に未解決な問題に道筋をつけるには、さらに多くの努力が必要であることを示しています」と、緩和ケア研究プログラムを主導するNCIの癌予防部門の局長のDr. Ann O’Mara氏は述べた。

2012年3月のNCI キャンサーブレティンのインタビューで、ジョンズホプキンス大学シドニー・キンメル総合がんセンター緩和ケア部長のDr. Thomas Smith氏は、緩和ケアについての話し合いは、末期癌でなくても、診断後速やかに始めるべきであること、根治不能な癌患者にはこの話し合いは特に重要であると述べている。

「ほとんどの腫瘍医は、化学療法の選択肢がなくなるまで、ホスピス、蘇生不要指示(DNRオーダー)や事前指示書などについて話し合うことはありません」と同氏は続けた。「これで深刻な会話を避けることはできますが、その後に患者や家族が備えることへの助けとはなりません」。

終末期に積極的治療を控えることは、明らかに患者や家族のためになるとMack氏は述べた。

終末期の積極的治療は、患者死亡後の介護者のうつ病リスクが高まることと関連すると同氏は説明した。また患者にとって、積極的治療を控えることは、「人生最後の日まで良い生活の質(QOL)を保てることを意味します。なぜなら、症状緩和に重点がおかれ、自宅でケアを受けるケースも多いからです」と、同氏は述べた。

今ではいくつかの研究(例えば、こちらこちら)で、早期緩和ケアは患者のQOLを改善し、生存期間までも延長したとする試験も報告されており、「医師と患者の会話のタイミングと頻度、それが患者や家族に及ぼす影響(特に治療の決定と家族や介護者に及ぼす心理的な影響)を検討する介入試験」を実施する機は熟したとO’Mara氏は確信している。

—Carmen Phillips

本調査は以下の米国国立衛生研究所の助成金支援を受けた (U01 CA093344, U01 CA093332, U01 CA093324, U01 CA093348, U01 CA093329, U01 CA093339, U01 CA093326)。

参考文献:”The Last Days of Life“(人生最期の日々)、「進行性肺癌患者に対する緩和ケアにより生存期間延長およびQOLが改善

 

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岡田章代 訳
久保田 馨 (呼吸器内科/日本医科大学付属病院) 監修
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