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歯科X線撮影は頻度の高い脳腫瘍の発生と関連する

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歯科X線撮影は頻度の高い脳腫瘍の発生と関連する

キャンサーコンサルタンツ

過去―X線被曝線量が現在よりも高かった―に、歯科X線撮影を頻繁に受けた人は、頭蓋内髄膜腫の発症リスクが増加する。この研究結果は、Cancer誌電子版で発表された[1]。

 

髄膜腫は非常に高頻度で発症する脳腫瘍で、脳と脊髄を覆い、防護する膜(髄膜)に発生する。髄膜腫は、通常緩慢に増殖し、また、男性よりも女性に多く発症する傾向がある。大部分の髄膜腫は良性腫瘍と見なされる。しかし、良性腫瘍でも身体障害を引き起こす可能性があり、また、時には生命にかかわることがある。

 

髄膜腫の主要な環境危険因子は、電離放射線である。そして、米国での電離放射線被曝に関する最も多い人工的な原因は、歯科X線撮影である。歯科X線撮影と髄膜腫の関連を調べるために、2006年5月~ 2011年4月の間に、髄膜腫と診断された患者1,433人(20~79歳)由来のデータが調査された。年齢・性別・居住州が同様だが、髄膜腫と診断されない1,350人が比較対照となった。

 

この研究で、以下に述べる歯科X線撮影法3種の撮影頻度が調べられた。1つ目は咬翼X線撮影で、上下の歯で咬まれたタブで固定されたX線フィルムを用いる限局した範囲の単一撮影である。2つ目はパノラマX線撮影で、口腔外で撮影され、全口腔の俯瞰図が示される。そして、3つ目は全口腔X線撮影で、多数の全口腔の画像が含まれる。

 

この結果から、髄膜腫患者は、対照者の2倍以上の頻度で現在までに咬翼X線撮影を受けたことがあると回答することが示唆された。年1回(以上)の頻度で咬翼X線撮影を受けたと回答した人は、対照者の1.4~1.9倍の確率で髄膜腫を発症する可能性があった。髄膜腫リスクは、咬翼X線撮影を受けたときの年齢によって異なった。

 

パノラマX線撮影も、髄膜腫リスクの増加と関連する。10歳未満の時にパノラマX線撮影を受けた人は、髄膜腫発症リスクが4.9倍増加した。年齢に応じて、年1回以上の頻度でパノラマX線撮影を受けた人は、対照者の2.7~3.0倍の確率で髄膜腫を発症する可能性があった。

 

このデータは、現在の大部分の歯科X線撮影より高線量のX線を放出する、歯科X線撮影により被曝した可能性がある人々の調査であるという点について、研究者らは言及している。それを差し引いても、この結果から、歯科X線線量の減少が重要であることが示唆される。多くの歯科X線撮影はその必要性があるのかもしれないが、その使用時期や使用法については熟慮に基づいて決定することが重要である。米国歯科医師会(ADA)は、健常人に対する歯科X線撮影の使用指針を提供している。 ADAは、小児は1~2年ごとに歯科X線撮影を1回、10代の若年は1.5~3年ごとに1回、そして、成人は2~3年ごとに1回受けるよう、提案している。

 

何事にも当てはまるように、歯科X線撮影に関しても、その危険性と利益を個別に比較検討することが重要である。この研究結果より、歯科X線撮影が髄膜腫を引き起こす原因であることを証明するものではないが、歯科X線撮影と髄膜腫発症率の間に、相関関係があることが示唆される。歯科X線撮影による被曝は、多くの人が避けることができる減少可能な危険因子の可能性がある。

 

参考文献:

[1] Claus EB, Calvocoressi L, Bondy ML, et al. Dental x-rays and risk of meningioma. Cancer. Published early online: April 10, 2012.

 


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原文掲載日

翻訳渡邊 岳 

監修寺島慶太(小児科/テキサス小児病院)

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